存続危機から部員がV字回復した合同チーム|大内スパークス

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2022年12月23日 12:25  ベースボールキング

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山と海に囲まれた大分県杵築市は少年野球の活動が盛んな地域だ。しかし、少子化の影響もあり、現在は合同チームを結成するチームも多く、市内中心部とそれ以外の地域で部員数の二極化が進んでいる。中心部から少し外れた「大内スパークス」も近隣2チームと合同チームを結成して活動を続けている。2014年には部員が6人まで減少したチームだが、それから部員は徐々に増え続け、現在は19人(3チーム合同では27人)にまで回復している。そこにはどんな要因があったのか? 2014年からチームを率いる平石光一郎監督にお話を伺った。



【子ども達が楽しそうにやっている姿が何よりの宣伝】
——チームの指導方針から教えてください。

基本は楽しく野球をすることですね。全国大会とか県大会に出ることを目標にはしていません。もちろん、試合に勝たなくても良いとは思っていないですが、楽しくやりながらも、子ども達にだんだんと「勝ちたいな」という思いが出てくることが理想だと思っています。
ただ、いくら楽しくやるといっても、毎回コールド負けやボロ負けだと子ども達も楽しくないと思うので、楽しくやりつつ、技術はしっかり教えていきたいとは思っています。

——2014年に監督に就任後、6人だった部員が徐々に増えていますね。要因としてどんなことが考えられますか?

放課後に大内小学校の校庭で練習をしていますが、それを見て「楽しそうだな」「野球をやってみたいな」「仲間に入りたいなと」と思ってくれているのかなと思います。子ども達が楽しそうに、良い雰囲気で練習をやっていますから。



——良い雰囲気を作るために具体的にはどんなことをしているのでしょうか?

具体的にこれといったことは特にありませんが、子どもが今までできなかったことができたときにはめちゃくちゃ褒めてあげること、練習メニューもゲーム性を持たせて楽しくするとか、そういったことの積み重ねですね。

——子ども達はみんな私服で練習をしていますね。

僕らの子どもの頃って、学校帰りに公園で野球したりしていましたよね。そんな感覚で気軽に野球を楽しんで欲しいという思いからですね。ユニフォームを洗濯するのも大変ですしね。

——練習を見ていると怒声や罵声もなく子ども達も楽しそうですね。確かに雰囲気が良いですね。

怒声や罵声は基本的にないですね。そこも意識している部分ではあります。もちろん危険を伴うようなことをふざけてやっていたりしたら怒ることもあるかもしれませんが。でも試合でのミスやエラーなどには怒りません。「あーー!!」とは思いますけどね(笑)。

——エラーそのものではなく、その後の対応が大事ですね。

エラーをしてへこたれる子が多いんです。だから「野球にミスはつきものだから、それでへこたれていたらダメやぞ」って言うんですけどね。だから失敗しても良いんだ、という雰囲気を作ることですよね。失敗したら怒られる、打てなかったら怒られるような雰囲気だと子ども達も思いっきりプレーができないですからね。
だから、守備にしてもバッティングにしても、僕からの指示で動くのではなくて、間違っても良いから自分で感じて、考えて動いてみる、その繰り返しで少しずつ経験していっているという感じですね。



——現時点の結果よりも将来を見据えているということですね。

そうですね。練習の量や強度を高めた方が勝てる確立は高まるとは思います。でも小学生の体は成長段階ですし、勝つことを第一に考えるのは体と技術が噛み合った、上のカテゴリーに進んでからで良いかなと思っています。

——その方針だと保護者から不満は出ないですか? 子ども以上に勝ちたい親御さんもいませんか?

強いチームではないですけど、子ども達が伸び伸び楽しそうにやっている姿を見て頂いていますから、ご理解を頂けていると思っています。入部されるときも、「勝ちとか優勝とかにこだわるのであればうちのチームは合わないと思いますよ」ともお伝えしていますしね。


■技術よりも子ども達の身体能力を高めたい
——練習の中で大事にされていることはありますか?

キャッチボールですね。狙ったところに強いボールをしっかり投げられるようになってもらいたいですから。そのために、メンコを地面に叩きつけるという練習は8年間ずっと行っています。「肘の使い方はこう」とか指導するよりも、遊びを通じて自然に技術を身につけることが小学生年代では理想だと思っていますから。



——今日の練習は平日の放課後2時間だけですが、バットは握らず走りまわるメニューが多いですね。これは技術よりも体を大きく動かすとか基礎体力を養うなどの狙いがあるのでしょうか?

シーズン中ですとノックやバッティングももちろん行いますけど、大会も全部終わりましたので、この時期は技術よりも子ども達の身体能力を高めたいというのがありますね。小学生年代で身体能力を高めておけば、この先野球を続けるにしても繋がるでしょうし、野球以外のスポーツに進んだとしても役に立つと思いますから。

——小学生年代の子ども達と接する上で意識していること、注意していることなどはありますか?

子ども達の表情を普段からよく見て、ちょっとした変化があれば声をかけるようにしています。子ども1人ひとり、それぞれ性格も家庭環境も違いますので、野球よりもむしろそっちを気にすることの方が多いですね。



——今後の目標があれば教えてください。

野球をやる子どもを増やしたいですね。チームには1年生がいま3人いますけど、遊びに来る感じで構わないので、子どもを預ける感覚でも構いませんので、どんどん入ってきて欲しいですね。

平石監督、ありがとうございました。

(取材・写真:永松欣也)

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