室井佑月「女性支援を考える」

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2023年01月26日 07:00  AERA dot.

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室井佑月
 作家・室井佑月さんは、女性支援団体をめぐる問題を発端に、被害を受けている女性たちを救うために必要なことは何かを考える。


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 去年の年末からネットでもっとも注目を集めたのは、「女性支援団体Colaboを『誹謗(ひぼう)中傷』投稿繰り返した男性を提訴」(11月29日、朝日新聞デジタルより)という話題だ。メディアはこの問題を、「声を上げる女性への差別」のように一方的に報じた。それを野党議員がそのまま国会で取り上げたりもした。


 たしかに、支援団体を攻撃する者の中には、女性への薄暗い誹謗中傷を楽しんでいる者も複数いる。声をあげる女性たちが不当な攻撃に晒(さら)されるなんて、あってはならないことだ。が、この問題はそれだけの話なのか?


 新聞に「『誹謗中傷』投稿繰り返した男性」と書かれた彼は、東京都へColaboに関する文書の開示請求をした。公開された文書の一部は、素人のあたしの目から見てもかなりずさんに思えた。


 しかも、この話題を追っていると、女性支援のための様々な国の審議会の有識者たちが、公金が投入される支援団体の人間だったりする。これはリベラル側が憤慨していた竹中平蔵氏問題と一緒。ルールから自分たちを有利にしていくという。


 そして、文書は黒塗りばかり。もちろん、守られるべき女性たちの個人情報が晒されることがあってはならない。しかし、それだけとはいい切れないほどの黒塗りだ。


 こういうことをいうと、「被害を受けている女性はどうでもいいのか」といわれる。「行政ができないから、それを支援団体が助けているのに」と。


 そう、もっとも肝心なのは、被害を受ける女性を無くすことだろう。


 だとしたら、年々増える男女共同参画費用は、多くの女性たちがきちんと救われるものとして有効に使ってもらいたい。


 それには、こんなに活動内容が不透明でいいのか。限られた有識者たちで、秘密裏の取り決めをしていていいのだろうか。



 たとえば、行政ができないというのなら、チェックを含めて行政職員を増やす方向じゃダメなのか。そうしたら雇用も増えるし、不透明な公金の使い方もマシになるのでは。それでも完全にサポートできない部分を、民間団体に任せるというのじゃダメなのか。公と民間のバランスを取った方がいいと感じる。


 彼女たちが正しいところもある。が、間違っているところもある。こんなに話題になっているのに、政治家はそのジャッジもしやしない。野党サイドは彼女たちが支援者だということでいいなりに見えるし、与党サイドは首を突っ込んだら損、という感じだ。かなり面倒くさい人たちなのは間違いない。そういった面倒くさいことの公平なジャッジを、政治家には期待するのに。


 肝心なのは、被害を受けている女性たちが全員きちんと守られること。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2023年2月3日号


このニュースに関するつぶやき

  • やはりコイツはアホだな。お前のこれまでの理屈では「女性」って限定してる時点で差別だろ?ところで、colabo問題を左巻きメディアで取り上げちゃ、マズいんじゃねーのか?他の新聞が必死に報道しない自由を行使中だぜ?www
    • イイネ!13
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