有能な秘書か、大ぼら吹きか 「ChatGPT」をスプレッドシートで使えるアドオンを試してみた

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2023年01月27日 20:12  ITmedia NEWS

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GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオンが「ChatGPT in Google Sheets and Docs」

 話題のAIチャットボット「ChatGPT」だが、普通の人にはまだちょっと身近にはなっていない。またAIとやりとりしても「AIと会話できるのは分かった。すごいけど、だから何?」と感じる人もいる。しかし、ビジネスツールであるスプレッドシートからChatGPTが呼び出せると、景色はちょっと変わる。



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 新人に「このリストを調べて埋めておいて!」と依頼するような感じで、AIにちょっとした調べ物や、データづくり、問題づくりなどをさせられるようになる。UIは慣れ親しんだスプレッドシートで、依頼の文字を変更すれば自動的に内容が書き換わる。



 先日、Twitterでも「『ChatGPT』×『スプレッドシート』でビジネスに革命が。たった数分の設定でリサーチ工数がほぼゼロに。行列の見出しを入力するだけで、自動で無限に欲しい情報が手に入る」というツイートが話題になっていた。



●GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオン「ChatGPT in Google Sheets and Docs」



 先のツイートと同じように、GoogleスプレッドシートからGPTが利用できるアドオンが「ChatGPT in Google Sheets and Docs」だ。



 これを使うと、セルに社名を入れるだけで、何年創業で社員数が何人で売上高がどれくらいか、事業内容は何か? といった項目をAIが(一応)埋めてくれる。セルの質問内容を変えれば、数秒でAIが答えを書き直す。まるで超有能な秘書のようだ。



 ただ使ってみると限界もいろいろと見えてくる。「社長の名前を簡潔に」と聞くと、次のようになる。Teslaのイーロン・マスク氏はいいとして、ほかの会社の社長はどこから来た? という感じだ。



 続いて住所を聞いてみる。うーん。ソニーグループはともかく日本マイクロソフトとトヨタはどうもおかしい。東京本社でもなく、いったいどこから持ってきた?



 そんなわけで、ChatGPTはどんな問題にも答えてくれる秘書ではあるが、よく知らない問題にも平気でウソをつく知ったかぶりの秘書でもある。これは間違わないだろうという質問にも平気で誤った答えを返してくるので、そこが最大の問題だ。



 一方で、AIだけあって数字周りは流石に強い……。と思い込んでいたのだが、意外なことにそうでもなかった。下記は、数字のリストを渡して「次を平均して」と依頼したものだ。



 なんとなくそれっぽい数字を出してくるが、微妙に違っているのが厳しい。さらに、「次の数値の平均値を計算して」など問いを変えると、違う数字が返ってくる。ほんと、それっぽいウソをつかせたら一級品だ。現時点の使い方として、正確さというよりももっともらしい文章や数字をでっち上げるのに最適だと思っておいたほうがいい。



●ChatGPT in Google Sheets and Docsの使い方



 では、ChatGPT in Google Sheets and Docsの使い方を解説しよう。



 まず、Googleスプレッドシートの「拡張機能」から「アドオン」−「アドオンを取得」を選択。「ChatGPT in Google Sheets and Docs」を検索したら「インストール」する。



 次に、OpenAIからGPTのAPIキーを取得する。OpenAIのページでアカウントを新規作成し、「API Keys」のページで、「Create new secret key」のボタンを押して新たなAPIキーを作成する。これをコピーして、



 「拡張機能」の「ChatGPT in Google Sheets and Docs」から「Set API Key」を選び、出てきたフォームにAPIキーを貼り付ける。「Check」ボタンを押して「Success」と表示されればOK。



 ちなみにここまでで分かるように、このアドオン「ChatGPT」の名を冠してはいるが、実際に使っているのはGPT-3のAPIだ。ChatGPTはGPT3.5系のアルゴリズムで動いているといわれているが、現在のところはAPIを公開していない。



 そしてGPTのAPIは利用が無料ではない。ChatGPT in Google Sheets and Docsでは、最も高価な「Davinci」モデルをデフォルトとしていて、こちらは1000トークンあたり0.02ドルとなっている。1トークンは1単語だが、日本語の場合、1文字が1トークン以上という計算だ。新規ユーザーには18ドル分の無料クレジットが付与されているので、課金しなくてもけっこうな量を使うことができる。



●関数のパラメータなど



 インストールが終わったら、ほかの関数と同じようにGPT関数にパラメータを指定してあげれば、GPTが答えを返してくれる。



=GPT(prompt, value, temperature, model, maxTokens)



・prompt:問いの文



・value:プロンプトを適用させたいスプレッドシートのセル



・temperature:忠実度(0-1)



・0は、、AIがプロンプトに忠実に従うようにする(デフォルト)



・1は、AIを非常に創造的にする



model



・text-davinci-003: (デフォルト) GPT-3の中で最も高性能なモデル。



・text-curie-001: Davinciよりも高速で低価格



・text-davinci-edit-001: テキストを新しいスタイルで書き直す



maxTokens:補完の際に生成するトークンの最大値。デフォルトは16



 この関数は“prompt”以外はオプションなので、最小限で使うなら、次のように入力すれば動く。



=GPT(A1)



A1=” アインシュタインは何年生まれ?”



 しかしスプレッドシートであることを有効活用するには、下記のように入力すれば、関数らしい使い方ができる。



=GPT(B1,A2)



B1に「何年生まれ」、A列に名前



 GPT-3のモデルも選択できるので、モデルごとに答えがどう変化するかを簡単にチェックすることもできる。



 GPT-3を使ったサービスはいろいろとあるが、まさにスプレッドシートを使って自分専用のAIアプリを作成できるともいえる。



 なお、ChatGPT in Google Sheets and Docsを開発したのはTalarianという会社で、Google Workspace向けのアドオンを主に開発している。OpenAIのAPIは、先述したように無料分を超えたら費用がかかるが、ChatGPT in Google Sheets and Docs自体は無料で利用できる。


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