ジェンダーや性問題を考える「足場作り」が大事と清田隆之 大原則は「自分には基本的人権がある感覚」

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2023年01月28日 11:00  AERA dot.

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きよた・たかゆき/1980年、東京都生まれ。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。共編著に『どうして男はそうなんだろうか会議』(photo 本人提供)
 学校で性教育だけでなく、家庭での親の役割も重要だ。大人は子どもにどのように接したらいいのだろうか。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表・清田隆之さんに聞いた。AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。


*  *  *


「性教育」というものを、学校や両親から受けた記憶がないんです。小学校で男子と女子が部屋を分けられて何やら……という記憶は一度だけありますが、中身は覚えてないし、中学からは男子校になり、もうまったく何もわからないままでした。


 最初に夢精したときは驚いて、自分の体が変になっちゃうんじゃないかと恐怖だったし、体に毛が生えてきた時も嫌悪感がありました。「そういうものなんだよ」という科学的な知識と、体の変化に対する戸惑いや不安は何ゆえなのか話を聞ける場があったらよかったと思います。また性差・性別というけれど、異性愛、同性愛もあれば性愛の感覚がない人もいるなど、ジェンダーの話も当事者に触れる機会も含めて、学校であったら理想だなとは思いますね。


 私は3歳の女の子の双子を育てています。お風呂ではお尻とかおちんちんとか、キャッキャ言いながら興味を持ってきますし、「なんで違うの」など聞いてきます。男の子と女の子でこういう違いがあって、でもおしっこのときは違わないんだよ、と説明します。学校の性教育カリキュラムも大事だと思いますが、日常の雑談レベルで大人と言葉を交わしながら、徐々にジェンダーや性の問題を考える足場を作っていくことこそが大事かなと感じます。


 そのときに大原則とすべきは「基本的人権」だと思います。自分は、自分のもの。自分の体や心には境界線があって、その内側には誰だって勝手に入れない。嫌なら嫌と言っていいし、違和感をもったら逃げていい。そういう権利が誰にでもあると。


 知識のない小さな子どもにも、「嫌だ/嫌じゃない」は身体的にわかる。その感覚は日々養われていくものだと思います。なので私たち親が、子どもが「嫌だ」と言っているのに無理やりに服を着せてしまうとか、どこかに連れていくなどあまりにしすぎてしまうと、「嫌だと言っても、その意思を拾ってもらえないじゃん」という経験を重ねることになり、「基本的人権が云々(うんぬん)」と言っても実感がわかないことになります。


 面倒だなと思うことも多いですが、子どもが「やだ。行きたくない」と言ったらいったんその気持ちに付き合う。でもさすがにもう行かなきゃいけないならコミュニケーションをとった上でこっちの要望も伝えていく。そこを心掛けないと「自分のことは自分で決めていい」「嫌なことは拒絶していい」、つまり自分には基本的人権があるという感覚が、ちゃんとインストールされないと思います。


 性教育もジェンダー教育も、基本的人権という「土台」があってこそ、正しい知識や価値観が入ってくる。その土台を作ることがまず、大切だと思います。


(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2023年1月30日号



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  • 忘れてはいけない大原則はそれではない。「社会的な性は唯一DNAのみで決まる」「特権要求をしてはいけない」「社会はモラルの崩壊を許容しない」だよ。
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