阪神・佐藤輝明 阪神・佐藤輝明はWBCの日本代表メンバーから選外となったが、その悔しさをバネにプロ入り3年目を迎える今季“大化け”できるのだろうか。
【写真】2022年は期待外れだったセ・リーグの選手がこちら「(WBCのメンバー落選は)悔しかっただろうが、ある意味では良かった。鳴り物入りで阪神に入団して、それなりの結果が出たことで少し天狗になった部分も見えた。負けん気が強い奴なので、ここからすごい打者になるはず」(阪神OB)
近畿大時代に大学日本代表としても活躍したスラッガーはドラフトの目玉となった。2020年のドラフトでは巨人、ソフトバンクなど4球団が1位指名。競合の末に阪神入りし、地元・西宮市出身の生え抜きスター誕生に大きな期待が持たれた。
プロ1年目の2021年は126試合に出場し、打率.238、24本塁打、64打点をマーク。粗さが見える場面もあったが、4月9日のDeNA戦(横浜)での場外弾や、5月28日の西武戦(メットライフ)で1試合3本塁打を放つなど強烈なインパクトを残した。そして、さらなる成長が期待された2年目の昨季は143試合フル出場を果たして打率.264、20本塁打、84打点。打率と打点の成績は上がったが、期待値を考えれば物足りないというのが本音だろう。
「1年目が一番良かったという岡田彰布監督の評価が全て。もっと言うと1年目の前半戦が素晴らしかった。(今のところ)肉体、精神の両方でシーズンを通して活躍できる力が足りていない。筋力を生かした身体能力の高さは球界トップクラスなので、それを継続的にうまく使うことが求められる」(在京球団編成担当)
1年目はオープン戦からシーズン前半戦にかけて爆発的に打ちまくり新聞の一面を多く飾ったが、後半戦に失速して数字を落とした。昨季も三振の数が減少して確実性は上がったが、本塁打が出ない時期もあり、安定して自身の打撃を見せることができず。また、ヤクルトとのCSファイナルステージ2戦目でスタメン落ちをするなど、チーム内で絶対的な信頼を勝ち取ったとは言い難い。岡田監督もシーズンを戦い抜く体力面が課題だとし、佐藤に対しては厳しいコメントも度々発している。
昨年11月には侍ジャパンの強化試合「侍ジャパンシリーズ2022」で日本代表に初招集され、4試合に出場。チャンスが与えられたが13打数2安打と結果を残すことができず、本大会のメンバー入りを逃すことにも繋がった。侍ジャパンの栗山英樹監督は「これから日本の野球を背負ってくれる人」の一人として佐藤を評価しているが、ここぞの時に期待できる打者にはなれていないというのが実情だ。
今回の日本代表メンバー選外となった理由とも考えられる安定感のなさについては、今後飛躍するためにも気がかりではある。
「調子の波が大き過ぎて、良い時と悪い時は別人のようになる。各球団が徹底的に研究しているのもあるが、主力打者はその中で結果を残さないといけない。WBCは短期決戦だけに、波が大きい選手は怖くて招集できなかったのではないか」(在京球団編成担当)
身体能力の高さ、スイングスピードの速さが生み出す飛距離などはずば抜けている。球界を代表する長距離打者になれる素質は持っているが、今ひとつ殻を破れないでいる。また、体力面が今後の成長のカギにもなるが、精神面での課題を指摘する声もある。
「岡田監督があえて厳しいことを言ったのは、少し浮ついた雰囲気を感じたのかもしれない。明るく物怖じしない性格はプロ向きだが、グラウンド上ではしゃぎ過ぎに見える時もある。かつての松井秀喜氏のような、不動心、メンタル面の安定感が出てくれば手がつけられない打者になれる」(阪神担当記者)
「打てない時にイライラする部分も見える。また、阪神は本塁打を打った選手にメダルをかけるが、一番ノリノリでやっている。ヘアバンドやユニフォームのボタンを開けるなど、着こなしも見苦しい時がある。時代の変化もあるだろうが、伝統球団の中心選手という気持ちを持って欲しい。精神的に安定した状態を保てれば、結果もついてくる」(阪神OB)
秋季キャンプでは岡田監督の指導で打撃フォーム改造に着手し、技術面での向上には余念がない。そこに精神力が加わってくることで、初めてそのポテンシャルを生かせるのかもしれない。
「アマチュア時代は黙っていても結果が出せていた。プロのレベルの高さを知り、試行錯誤を始めただけでも大きな変化で進歩。WBCのメンバーから外れたことについては、屈辱的だと感じているはず。持っているものは飛び抜けているので、やる気になれば、とんでもない選手になることができる」(阪神担当記者)
岡田監督も期待しているからこそ、苦言を呈して佐藤の成長を促そうとしているのは明白だ。悲願のアレ(=優勝)を実現するためには“サトテル”の活躍は不可欠。破れそうで破れない殻を破ることができた時には、阪神の歴史に残るスラッガーになれるはず。ドラフトで4球団が競合した大砲は今季こそ本格的にブレイクすることができるか。プロ入り3年目の大爆発に期待したい。