求められているのは恋愛よりも“呪い”からの解放 女性コミック誌「FEEL YOUNG」がいまだヒット作品を生み出す背景

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2023年01月30日 08:40  ORICON NEWS

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(左から)『ジーンブライド』高野ひとみ(著)、『後ハッピーマニア』安野モヨコ(著)(画像提供:「FEEL YOUNG」編集部)
 映画やドラマ化された名作漫画を数多く輩出する女性コミック誌「FEEL YOUNG」(祥伝社刊)。掲載作品が「このマンガがすごい!」に毎年ランクインするなど、質の高いラインナップに定評がある。その同誌が1989年の創刊から現在も一貫して編集方針に掲げているのが"フェミニズム"だ。電子コミックとスマホの普及でスキマ時間に読めるライトな漫画が溢れる今の時代、深い読後感を起こす漫画を送り出し続ける同誌編集部の矜持について聞いた。

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■“私のことを描いてくれている”、20代からの反響に「まだまだ社会で女性が踏み付けられている場面は多い」

 女性コミック誌「FEEL YOUNG」で連載中の『ジーンブライド』(高野ひと深)が、「このマンガがすごい!2023」オンナ編の2位にランクインした。

 仕事相手からのセクハラや変質者との遭遇といった「女であるがゆえの生きづらさとの戦い」が描かれてきたかと思いきや、物語は「遺伝子管理をされた子どもたちが集められた学園」というまさかのSF展開に突入。「漫画としてとにかく面白い!」と幅広い層の漫画ファンから反響を呼んでいる。

「特に大学生や新卒数年目くらいの若い女性からは『私のことを描いてくれている』という声をいただきます。『こんな扱いをされて我慢できないのは自分が弱いだけだと思っていたけど、ちゃんと怒っていいんですね』という思いを綴ってくださったファンレターには胸を締め付けられましたね。まだまだ社会で女性が踏み付けられている場面は多いんだなって」(担当編集者・神成明音さん)

 同作には「FEEL YOUNG」が一貫して編集方針としてきた"フェミニズム"のスタンスが現れている。とは言え、昨今とみに議論を呼ぶこのテーマを色濃く打ち出すのは、相当の覚悟が必要だったはずだ。

「当初は恋愛もので考えていましたが、『恋愛よりも今の私たちの苦しさを描いたほうがいいんじゃないか』という話になり、現在の形になりました。私も高野先生もフェミニズムは人権問題だと確信しているので、何も怖がることはないと思っています。ただ、この言葉に対して叩きの風潮があることも事実。先生に安心して執筆していただけるよう、どんな強い風当たりにも私たちが盾になります、という気持ちでいますね」(神成さん)

■80年代後半“フェミニズム”をテーマに創刊 女性が主体的に生きていくことを提示

「FEEL YOUNG」が創刊したのは1989年。先だって発行されていた「FEEL」(現在休刊)の姉妹誌として誕生した。それまで青年誌を中心に活躍していた岡崎京子、桜沢エリカ、内田春菊、やまだないとなどの作家陣を迎え、少女漫画誌で執筆していた安野モヨコをブレイクに導いた。

 ヒット作品は、2012年に蜷川実花によって映画化され話題となった、美容整形をテーマにした『ヘルタースケルター』(岡崎京子 1995年-1996年)、女性主体のセックスを描いた『ハッピー・マニア』(安野モヨコ 1995-2001年)、恋と仕事に失敗を繰り返しながらも人生を突き進む『サプリ』(おかざき真里 2003-2009年)、多様な生き方の包摂と連帯をテーマにした『違国日記』(ヤマシタトモコ 2017年-連載中)など。エンタメ性と骨太さを共存させた漫画を通して社会を生きる女性たちに力強いメッセージを伝えてきた。

「少女漫画を卒業してちょっと背伸びをしたい世代が最初に手に取り、それ以来ずっと愛読してくれている読者が多いイメージですね。年齢層でいうと、30代〜40代が雑誌で読んでくれています。私もそうでしたが、最初はおしゃれで洗練された絵柄に惹かれて。だけどそこに描かれているのは1人の男性に愛されてハッピーエンドではない、自分の幸せを求めて突き進む女性の姿でした。女性にも性欲はあるし、才能を発揮したら認められるべきだし、恋愛、結婚だって人生においてマストではない。弊誌が脈々と取り組んできたのは、固定化された社会規範の中で女性たちがかけられてきた呪いからの解放でした」(編集部・松永朋子さん)

 これまで『中学聖日記』(かわかみじゅんこ 2013年-連載中)や『ジェンダーレス男子に愛されています。』(ためこう 2018年-連載中)、『婚姻届に判を捺しただけですが』(有生青春 2017年-2022年)など、連載作品はテレビドラマや映画などメディアミックスされることが多くなっているのも、「弊誌が掲げてきたテーマ作品が、ありがたいことに、今の時代に取り上げる意味があるとドラマ制作者側のアンテナ引っかかっているのかもしれません」と話す。

 一方で読者にウケる男性像にも時代の変化が現れているという。

「たとえば少し前に胸キュン要素として流行った"壁ドン"も今ではちょっとウケないというか、『何それ怖い』という感覚の方が増えている気がします。」(松永さん)

「今は『アヤメくんののんびり肉食日誌』のアヤメくんや、『ジェンダーレス男子に愛されています。』のめぐるくんのように、男性性を振りかざさないタイプのほうが読者の好感度が高い傾向がありますね。」(神成さん)

 映画やアニメ化された『うさぎドロップ』(宇仁田ゆみ 2005-2012年)では"イクメン"という当時としては新しい男性のあり方を提示した。しかし家事や育児が「ジェンダーロールではない」という価値観も徐々に浸透しつつある。「FEEL YOUNG」では現在、男性漫画家・じゃんぽ〜る西による育児エッセイ漫画『おとうさん、いっしょに遊ぼ〜わんぱく日仏ファミリー!〜』が連載中だ。

■「今ある価値観をただ再生産して強化しているだけでは社会は停滞したまま」「FEEL YOUNG」の使命

 良質な作品群が漫画ファンを魅了してきた「FEEL YOUNG」。しかし昨今は漫画の発表媒体も雑誌だけではなくなった。電子コミックやウェブトゥーン、SNSにはライトな感覚で読める漫画が溢れ、読者のスキマ時間を埋めている。

 そうした現状について「私たちは編集者である以前に一漫画ファン。作品数が増えるのは大前提としてうれしいことです」と口を揃える。その上で昨今は同誌の役割をより強く意識するようになっているという。

「紙も電子も商業である以上、売上げを立てないと成り立たない。大きなパイを取るために変に読者をザワつかせない、大衆に迎合した作品を提供せざるを得ない側面もあるかと思います。だけど今ある価値観をただ再生産して強化しているだけでは社会は停滞したまま。作品を送り出す側としてそれはちょっと責任放棄じゃないかな? と思う時もあります。咀嚼に時間がかかるかもしれないけど、もっといい未来に進むためにも、今より半歩くらい先にある価値観を提示していきたい。それが『FEEL YOUNG』という媒体の役割でもあると思っています」(松永さん)

 読者の共感を呼び、女性たちをエンパワメントすることで社会をアップデートしてきた同誌の名作の数々。それでも『ジーンブライド』をヒリヒリした感情で読む読者が多いように、女性の生きづらさは社会に根深く存在している。

「女性が社会で抱えるモヤモヤには言語化できない事象や空気、感情がたくさんあります。それを『こういうことだよね』と鮮やかに表現してくれるのが漫画の素晴らしいところ。描かれたテーマを受け取ってくれたたくさんの読者の皆さんが共感し、時に声を上げ、時代の空気を変えてくれた。それによって社会は少しずついい方向に進んできたのだと思います。

 編集者としては、作家から選ばれないといけない時代。いかに選ばれる編集者になるかということを、私たちは頑張らないといけないと考えます。編集者と作家の関係性がいい意味でフラットになり、いい時代だと思っています。

 誰もが生きやすい世界になるように、漫画が直接的に社会を変えることはできなくても、一助には絶対になっていると信じて。これからもそういう意識を持って、作家と一緒に作品作りをしていきたいです」(神成さん)
(取材・文/児玉澄子)

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  • フィーヤン最近マジで見かけない このあたりの本屋にもコンビニにもネカフェにもない どこで売ってるんだろう・・・
    • イイネ!1
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