
「なるほど」は失礼? 目上の人に使うと失礼な相槌7つ
相槌は、「話を聞いていますよ」という姿勢を表すものです。態度やしぐさと同じく、会話が弾むか・弾まないかまで左右します。しかし、敬語などの誤りには敏感でも、相槌となると自分では気づかないことも多いもの。一方で、相手の相槌が気になる、不快だと感じる人が多いのもまた事実です。
目上の人との会話の際には、失礼な印象を与えかねない相槌があります。「実は失礼な7つの相槌」と、その問題点、好ましい言い換え例を見てみましょう。
実は失礼な相槌7つ
【1】なるほど/なるほどですね〜【2】まあ、そうですね
【3】それも一理ありますね
【4】それもひとつの手かとは思いますが
【5】えー!/ほんとですか!/うそ!/まじですか!
【6】うん、うん
【7】たしかに
相槌が失礼に聞こえる理由は「偉そう」「うるさい」「繰り返し」
それぞれどのような点が気になると言われるのでしょうか。まずは、理由から見ていきましょう。【1】〜【4】に共通してよく言われるのは、相手の話を評価しているような印象を与えかねない、偉そうにも聞こえかねない言葉だということです。
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【2】の「まあ、そうですね」は、「まあ」の部分が気になると言われる点でしょう。とりあえず、一応と積極的に同意しているわけではない様子が不快感を与えるのだろうと思われます。
【3】の「一理ありますね」の「一理」は、一つの道理、理屈というような意味をもちます。意味上はおかしいわけではありませんが、「あちらの言い分も一理ある」という用例があるように、その言い分、理屈もありますねと、やはり評価している感じが残るのでしょう。
【4】の「それもひとつの手かとは思いますが」の「手」とは、手段、方法という意味です。ですから、こちらも意味としては決して間違いではありません。しかし、【2】に同じく、一応話を合わせているという感があるのでしょう。
それらの点を考えますと、先に述べた通り、【1】〜【4】の例は、聞き手である自分のほうが「上から目線」に聞こえるのが、不快感を与える原因です。
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【6】の「うん、うん」は、自分では気づかずに連発している例も見られますが、同年齢同士のくだけた会話ならばまだしも、改まった場面や目上の人への相槌としては失礼なものです。
【7】の「たしかに」は、たしかにそうだねという同意を述べているのでしょうが、【6】の「うん、うん」と同じく「たしかに、たしかに」と何度も同じ言葉を繰り返す点が煩わしさの原因とも言われます。
失礼な相槌の言い換え具体例
では、上記の点に注意して、より好ましい言い方を考えてみましょう。【1】なるほど/なるほどですね〜
→「ほんとうにおっしゃる通りですね」「私もそう思います」など。
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→「そうですね」「お話の通りです」など。
【3】それも一理ありますね
→「はい、(私のような者が申しますのもおこがましいのですが)それが道理と存じます」など。
【4】それもひとつの手かとは思いますが
→「お話いただくまで考えつきませんでしたが」「本当にそのような方法がございますね」など。
【5】えー!/ほんとですか!/うそ!/まじですか!
→「えっ初めて伺ってびっくりいたしました」「ほんとうに驚きました」など。
【6】「うん、うん」
→「はい」「はい、そうですね」、または無言で深くうなずく、など。
【7】たしかに
→「たしかに、そうですね」「たしかにおっしゃる通りと存じます」など。
相槌は、口癖に同じくあまり意識もせず、自分では気がつきにくいものです。しかし、相手とのコミュニケーションを図るためには欠かせない重要な役割を持ちます。時にはちょっと注意して、気を配ってみるというのも工夫のひとつと言えるでしょう。
(文:井上 明美(手紙の書き方ガイド))