テックワンから発売されている、中国のONE-NETBOOK Technologyが開発した小型WindowsゲーミングPC「ONEXPLAYER mini Pro」。既にIntelのCPUを搭載したモデルは発売されていたが、このラインアップにRyzen 7 6800Uを搭載したモデル(以下、Ryzen版)が加わった。
省電力かつパワフルな動作を期待できるRyzen 7 6800Uだが、このCPUを搭載したことでどの程度“イケてる”マシンに仕上がったのか、この記事で確かめていこう。
なお本製品はゲーミングPCのカテゴリーに分けられるが、後ほど紹介するように携帯して持って行ける小型PCとしても活用できる。こうした視点からも本製品を見てほしい。
・片手で握れる小型PC「ONEXPLAYER mini Pro」にRyzen 7 6800版を追加!
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・小型で軽量なポータブルPC「ONEXPLAYER mini」がどこまでイケてるのか確かめた
・テックワン、Core i7-1260Pを搭載した7型ポータブルゲーミングPC「ONEXPLAYER mini Pro」の取り扱いを開始
●7型で約612gのボディーに8コア16スレッドのCPUを内蔵
Ryzen版のCPUは、Zen3+アーキテクチャを採用したRyzen 7 6800Uを搭載する。8コア16スレッドで、最大4.7GHzで動作し、TDPは28Wとモバイル向けに設計されたCPUだ。グラフィックス機能はCPUに内蔵するRadeon 680M(RDNA2/GPUコア数12/2.2GHz)を使用している。従来モデルのRyzen 7 5800Uから順当な進化を遂げている形だ。
メモリはLPDDR5、ストレージはNVMe M.2 SSDとなり、容量違いで3モデル用意される。メモリ16GB/ストレージ512GB、同16GB/1TB、同32GB/2TBという構成で、直販サイトとでの価格は16万2800円〜19万8000円(税込み、以下同様)となっている。
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液晶ディスプレイは7型のIPS方式で、解像度は1920×1200ピクセル(323ppi)表示に対応する。10点マルチタッチをサポートしており、タッチ操作も利用可能だ。
ボディーサイズは約262(幅)×107(奥行き)×23〜35(厚さ)mmで、重量は約612gと両手で持つにしてもそれなりの重量がある。正面下部の左右にスピーカーを内蔵しているが、小型ゆえ音質はいまひとつで低音域がとぼしい。音ゲーやFPSなどでは3.5mmのイヤフォンジャックやBluetooth接続のヘッドフォンなどを使いたい。
本体左右にコントローラーやボタン、グリップを配置しているのは、ONEXPLAYERシリーズとしてはおなじみの形だ。ただしRyzen版ではRGBライティングが可能なLEDがグリップ両端に内蔵されており、きれいに光る。本体を持つと手のひらあたりにちょうどライティング部が当たるので、そこから光が漏れ出るようなイメージだ。
グリップはS字カーブデザインとなっていて、手のひらにちょうどよくフィットするように握りやすくなっている。
ボタン配置は「Xboxワイヤレスコントローラー」と同じで、左にジョイスティックと十字ボタン、LB/LTボタン、右側にA/B/X/Yボタンとジョイスティック、RB/RTボタンなどが配置されている。
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本体にバイブレーターや6軸のジャイロセンサーが内蔵されており、本体を傾けてのプレイやゲームに応じて振動する。
右側のコントローラーには、CPUや画面解像度、TDPやファンの回転数を設定できる「GAME CENTER」をワンタッチで起動するボタンが用意されている。GAME CENTERでTDPを調整することで、バッテリー持続時間を延ばすことも可能だ。どの程度伸びたのかについては、後述のテストで紹介する。
続いて、別売のドッキングステーションなどを見ていこう。
●インタフェースはシンプルな構成 ドッキングステーションも用意
本体上部にUSB 3.0 Type-AポートとUSB4(USB Type-C)ポート、3.5mmのイヤフォンジャックがあり、底面にUSB4(USB Type-C)ポートが配置されている。USB4はUSB Power DeliveryとDisplayPort Alternate Modeにも対応し、対応モデルを使えばデュアルディスプレイも実現できる。
8型のONEXPLAYERは2基の冷却ファンを備えていたが、本機では1基となり背面に設けられている穴から給気し、天面の排気口で熱を排出する仕組みだ。そのおかげか、ONEXPLAYERよりも静音性はアップしている。
なお、ONEXPLAYERシリーズには「ONEDOCKING」というドッキングステーションが別売(9790円)で用意されている。これに接続すれば、1基のUSB Type-Cと3基のUSB 3.0 Type-Aポート、4K出力をサポートするHDMI出力、有線LANを利用できる。
普段は本体のみを持ち歩いて、帰宅したらドッキングステーションと合体し、ドッキングステーションに接続した外部ディスプレイ、マウスやキーボードを利用すれば小型のデスクトップPCとしても利用可能だ。オフィスアプリなどを利用する分には申し分ないパワーを持っているので、会社のポリシーが許せば自宅と会社の両方で使うというのもアリだろう。
●ベンチマークテストで実力をチェック
ここからは各種ベンチマークテストなどにより、Ryzen版の性能を見ていこう。
まずストレージ回りだが、CrystalDiscMarkの結果は以下の通りだ。CrystalDiskInfoで見てもメーカーなどは不明だったが、シーケンシャルリードで毎秒3500MBと、十分な速度が出ている。
続いては、CPUの性能を測るCINEBENCH R23とPCの性能を測るPCMark 10の結果についても見ていこう。TDPは28Wの設定で測定しているが、結果を見るといずれのスコアも従来モデルを上回っているのが分かる。
続いて、ゲームタイトルでのテストをチェックする。
●従来モデル以上にパワフルな性能
まずは3Dの性能を測定する3DMarkによりベンチマークテストを実施した。TDPは28Wの設定だ。こちらについては以前紹介した「ONEXPLAYER mini」と比較していきたい。その結果が下のグラフだ。ONEXPLAYER miniはCPUにCore i7-1195G7を搭載するが、CPUに加え内蔵GPUの差が大きく、ほぼダブルスコアと言ってもいいほどの結果となった。
続いてテストしたのが「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」だ。こちらもONEXPLAYER miniと比較してみたい。その結果が以下のグラフになる。先ほどの3DMarkの結果と同様に、本機が大きくリードしている。
一方、TDPによってどれだけ性能が変化するのか、標準品質/1280×720ピクセルで測定したのが下の結果だ。画面解像度を落としたこともあるが、TDP 10Wでも「やや快適」というスコアとなっている。TDPを下げれば駆動時間も長くなるので、このあたりは参考になるだろう。
なお比較的処理が重いタイトルの1つである「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」では、TDP 28W/1920×1080ピクセルでテストした。軽量品質と標準品質では「普通」、高品質では「重い」という結果になった、標準品質で十分に遊べるのは喜ばしいところだ。
最後に、バッテリーの動作時間をPCMark 10 Battery Profileでチェックした。今回はゲームでの利用を想定してGamingで実施し、TDPは10W/15W/20W/28Wに変更して行っている。
結果を見ると、TDP 28Wの場合はさすがにバッテリーを消費するため1時間程度になったが、15Wであれば1時間42分という結果だ。
先ほどテストしたファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークなどを参考にすると、TDP 15W程度でも十分プレイできるスコアだったので、このあたりのTDPを維持しつつプレイすれば、モバイルバッテリの併用しつつゲームのクオリティーを保ちながら長時間のバッテリー駆動も期待できるだろう。もちろん、通常のWindows PCとしてビジネス用途で使うならば、さらに長時間動作する。
●ゲームも仕事もこなせるポータブルゲーミングPC
ここまで見てきたように、Ryzen版はCPUとGPUのパワーアップもあって、これまでよりも多くのタイトルをスムーズに楽しめるようになったのが分かった。ポータブルゲーム機としてもはもちろん、ONEDOCKINGを使って超小型デスクトップPCのように活用できるのもうれしい。
Steam DeckなどポータブルゲーミングPCは続々と新モデルが投入され、競争が激化している。価格も高くなりがちだが、本機は16万円台で購入できるモデルもある。小型でいつも持ち歩けるゲーミングPC、たまに仕事でも使うという人なら、選択肢に入れてもよいだろう。
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