見た目も音のリアルさも進化した新型「HomePod」 初代モデルと聞き比べて分かった決定的な違い

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2023年01月31日 23:12  ITmedia PC USER

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Appleのスマートスピーカー「HomePod」が5年ぶりに刷新された。空間オーディオの標準対応はもちろん、温度/湿度センサーを新たに内蔵している

 Apple純正のスマートスピーカー「HomePod」に新モデルが登場した。iPhoneやiPad、Macで再生している音楽をAirPlayで飛ばして、原音に忠実で迫力ある音で再生してくれるのはもちろん、映像コンテンツを映画館に迫る立体的な音響で楽しんだり、高品質のスピーカーフォンとして通話を楽しめたりする。さらに、Siriを通して見失ったiPhoneを探したり、今日のニュースや明日の天気を聞いたり、対応家電を操作したり、家庭内のインターコム代わりに使うことも可能だ。



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●洗練、そして進化 初代とは似て非なるデザイン



 最初のHomePodが発表されたのは2018年1月(日本での発売は2019年7月)と、実に今から5年も前のことだ。その後、2020年に小さいながらも原音をAI処理して驚きの立体音響を実現するたコンピュテーショナルオーディオを前面に打ち出した「HomePod mini」が登場し、カラーバリエーションが増加するなどして話題はすっかりそちらにシフトしていた。そのような中で、2021年3月にAppleはついに初代HomePodの生産終了まで発表してしまう。



・Appleの「HomePod」はシンプルであることの魅力を再認識させてくれる製品だった



 しかし、だからといってAppleが、この製品に見切りをつけたわけではなかった。低音もしっかりと響き、原音に忠実な音を再生してくれる大型HomePodの必要性はAppleも引き続き認識していたようで、今回新モデルが登場した。



 新発表の2代目HomePodは、一見すると初代製品に似て見えるが、実は中身はもちろん外観や機能まで大幅にアップデートされている。



 HomePodは、リビングルームなどの人目に触れる場所に置いて使う製品だ。まずはその外観デザインの違いからじっくり見ていこう。



 HomePodと言えば、最大の特徴は本体360度を取り囲む樹脂を織り込んだファブリックによるメッシュ(網目)構造だろう。前後/左右がなく、まるで製品全体がスピーカーグリルのような見た目になっている。



 この特徴の基本は2代目でも変わらないが、実はブラックモデルでは使われる素材が変更となり、100%リサイクルの樹脂を採用している。ちなみに白モデルは、リサイクル素材だとここまで明るい白色を出せなかったのか、従来通り30%リサイクルのプラスチックを織り込んだファブリックとなる。



 HomePodのもう1つの特徴は、本体の上部がほぼフラットな樹脂性の円状タッチパネルになっており、ここをタッチしてオン/オフや音量調整、音声アシスタント「Siri」の呼び出しなどを行えることだ。



 この部分、初代製品ではメッシュ構造の上に樹脂の円盤がフタのような形で乗っている構造だったが、新モデルではメッシュでできた本体の上に火山のカルデラのような凹みが作られ、その凹みの底面にタッチパネルが設置されるという、より高度な作りに進化した。この部分、実はHomePod miniも同じデザインで、製品シリーズとしての統一感を実現したとも言える。



 置いた状態だと見ても分からない底面、湯飲みでいうところの高台の部分も変更された。初代製品では、この部分が本体内側に向かって凹んで本体の表面積を稼いでいたが、新モデルでは凹みのないフラットな面となり、設置面積が大きくなった分、設置面にしっかりと固定できるようになっている。



 もう1つ、初代HomePodではファブリックの電源ケーブルが本体の中から伸びていて、取り外しできない作りになっていたが、新型では取り外しができるようになった。取り外しができるのだが、本体にくっつけた状態だと取り外しできず本体と完全に一体化しているように見えて美しい。非常にささいな部分ではあるが、こんなところの美しさにまでこだわっているのはなんともAppleらしい。



●立体的に進化した「原音に忠実」というコンセプト



 HomePodがどのように使う製品かは、冒頭でも少し触れたが改めて説明しよう。



 製品としての基本は、音質の良いスマートスピーカーだ。面倒なBluetoothの設定が不要なのはもちろん、ほぼ自動的に初期設定が完了し、一度設定をすればAirPlayの操作すらいらない。音楽を再生中のiPhoneを本体に近づけるだけで曲の再生をハンドオーバーできるなど、他製品とは一線を画す使い心地の良さを備えている。



 では、その音質はというと、基本姿勢は原音に忠実な音の再現と言えるだろう。



 世界中のクリエイティブ プロフェッショナルが使うApple Proシリーズの製品の画面の色再現もそうだが、Appleは基本的にはウケがいいように過剰な演出をしたり、他と差別化したりするためにクセを出すことを嫌う会社だ。



 これは音の再現に関しても同じで、HomePodの音も基本的に狙っているのは「オリジナルに忠実な音」となる。iPhoneでの音楽再生も、HomePodから再生する場合に限りイコライザー機能が無効になるが、それも徹底して原音の再現に力を入れている証拠かもしれない。



 新旧のHomePodを比べると、低音域を担当するスピーカーのウーファーは初代製品と同じで4型サイズを1基搭載しているが、高音域を担当するスピーカのツイーターは旧製品では7基あったのに、新製品では5基へと減っている。



 しかし、だからと言って音が弱くなったり、音質が悪くなったりした印象はない。スピーカーは数が多ければいいというものではなく、数が増えればその分、音の干渉などの問題が起きることもある。これは設計を見直し、音の出方を整理した結果と見るのが正しいだろう(同様に内蔵マイクも6基から4基に減っている)。



 プロセッサもS7という新型に進化し、処理速度が向上していることも関係している。このプロセッサの進化で新たに実現したのが、Appleが今、全面的に推している立体的な音を再現する「空間オーディオ」の再現性能の向上だ。新型では音質の解像感はそこまで変わらないが、空間的な解像感がかなり向上した印象がある。



 特に2台のHomePodをステレオモードという設定でペアリングすると、映画館に迫るDolby Atmosの立体音響を再現できるようになる(iPhoneの「ホーム」アプリから、ペアにするスピーカーを選択するだけの簡単な操作でペアリング可能だ)。



 初代HomePodもバージョン15.1から空間オーディオに対応していたが、ステレオペアリングした新旧のHomePodで空間オーディオ用にマスタリングされた曲や映画の音を聞き比べると、音の立体感が増しているのが分かる。音がどこから鳴っているかのメリハリが、かなり違うように感じた(設置した部屋の音響条件などで多少の差はあるかもしれない)。



 初代HomePodが、音の解像感を高めることで立体感を出していたのに対して、新型HomePodは空間オーディオの音を本当に立体的にしてしまった。まるで4Kに対応してTVの解像度が上がったら、映像がこれまで以上に立体的に見えたというのと、本当に立体的に表示してしまう3D対応TVの映像を見るような質的な違いで、同じ音をステレオペアリングした初代HomePodと、ステレオペアリングした新型HomePodで聞き比べると、良かったはずの初代HomePodの音が少し色あせてしまう。



 Appleは既に初代iHomePodで、この価格帯のスピーカーとしての音そのものの質としては完成させたと判断して、新型HomePodでは今後、Appleが力を入れていく空間オーディオの立体音響の質の向上に力を入れ始めているのかと感じた。



 3D対応TVは、そもそもコンテンツが少なかったり、わざわざメガネをかける必要があったりで、未だに成功しているとは言い難いが、空間オーディオには、既にApple Musicで提供されている1億曲近い楽曲が対応している。



 また、Dolby Atmosや360 Reality Audioという規格に対応した映画コンテンツやYouTubeの動画なども、立体的な音響で楽しめる。特に空中戦などのシーンでは新型HomePodの音の方が、部屋の広い範囲に回り込んでいるように感じた。



 もちろん、さすがの新型HomePodでも単体、つまり1台だけで再生した場合には、そこまでの立体感は出ない。それでも従来のHomePodと比べて音が広がっているように感じるのは設置時に音の反響などをチェックして音を最適化する室内検知機能が、プロセッサ性能向上などで改善されているからかもしれない。



●警報を伝える認識機能や温度/湿度センサーも内蔵



 初代HomePodが出てからHomePodの役割は進化した。中でも有用なのが、音声で命令する声が誰の声かを見分けて、その人のカレンダーの予定など個人情報をSiriに聞くことができる「パーソナルリクエスト」と呼ばれる機能だ。最大6人までを識別して、再生する曲の好みを合わせたり、その人のiPhoneを(音を鳴らして)探し出したり、連絡先から誰かに電話をかけたりできる。



 パーソナルリクエストに関連した機能で使う機会が多いのが、違う部屋にいる家族に録音音声を送信する「インターコム」と呼ばれる機能だ。例えば「みんなに夕飯の支度ができたと伝えて」と命令して、家中のHomePod(やHomePod mini)に声のメッセージを伝えたり、「リビングルームに音量を下げてと伝えて」と特定の部屋のHomePodにメッセージを送ったりすることも可能だ。



 実はこれらの機能は初代HomePodでも使えるが、新型HomePodではこのように家族の声を聞き分けるだけではなく、火災警報器や一酸化炭素の発生を知らせる警報器の音も、今後登場するファームウェアのアップデートで聞き分けられるようになる。



 リビングなどに設置されたHomePodがこれらの音を感知すると、例えば外出中であっても家族のiPhoneに「緊急事態」を知らせる通知が届き、必要ならiPhoneと家に置いてあるHomePodを直接声で繋ぐこともできる(HomeKitやMatterに対応した監視カメラがあれば、監視カメラの映像を確認することも可能だ)。



 例えば、子供を家に置いたまま買い物にでかけている間に、こういった事態が発生した場合など、この機能が人命を救うことになるかもしれないし、聴覚障害などを持っていて警報を聞くことができない人でも、この機能を使えばiPhoneの通知で危険を知ることができる(なお、同様の警報を認識する機能は、既にiOSの「アクセシビリティ」設定にも「サウンド認識」という機能として組み込まれている)。



 新型HomePodには、あと2つ新たに追加された機能がある。温度センサーと湿度センサーだ。これらのセンサー、実はHomePod miniにも先行して搭載されていたが、これまで隠し機能として使われずにいた。第2世代HomePodの発売と同時リリース予定となるバージョン 16.3にアップデートすることで、HomePod miniでも利用可能になる。



 アップデートすると、iPhoneの「ホーム」アプリでHomePodを設置した部屋を開いた時、上に温度と湿度が表示されるようになる。またSiriに「リビングルームの湿度は?」などと聞いた場合も音声で答えてくれる。



 ホームアプリには、オートメーションを設定する機能がある。これを使えば、今後対応のエアコンや加湿器が出てきたら、温度が一定の温度以下になったら暖房を、一定の温度以上になったら冷房を入れるといったオートメーションや、湿度が一定の値未満になったら加湿器を入れる、といったオートメーションを組むことも可能になる。



 エアコンに内蔵されたセンサーと違って、利用者のそばで温度や湿度を測れることも強みなら、外出中でも家の温度や湿度を確認できることも強みと言えよう。



 iPhoneなどと連携する、HomeKit対応のスマート家電が少ないことを嘆く人もいるかもしれない。Appleは新たにHomeKitに加えて業界標準のスマート家電規格「Matter」もサポートしており、多くの家電メーカーが同規格のサポートを表明していることから、これまでよりかは期待が持てそうだ。



 第2世代HomePodの価格は税込み4万4800円(ステレオペアだと8万9600円)で、2月3日からの販売開始となる。


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