旭川女子中学生凍死 ネット上に「被告の実名報道を」の声が続出も弁護士は「難しい」

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2023年02月01日 18:50  AERA dot.

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広瀬爽彩さんの遺体が見つかった公園の管理事務所入り口には、多くの市民が冥福を祈って花などを飾った(2022年3月28日撮影)
 北海道旭川市でいじめを受けていた当時中学2年の廣瀬爽彩さん(14)が遺体で見つかった事件で、廣瀬さんの母親がインターネット上の投稿で名誉を毀損され、精神的苦痛を受けたとして、投稿した女性に対し、約250万円の損害賠償を求めて旭川地裁に提訴したことが報じられた。被告側は争う姿勢を示しているという。


【写真】「加害者」と名指しされた男性を誹謗中傷する書き込み 弁護士法人LEONの田中圭祐弁護士は「名誉棄損での民事訴訟において裁判所が認める金額は低額になりやすく、100万円程度の請求であっても、満額請求が認められるケースは少ないです。約250万円の損害賠償請求は、事の重大性を分かってほしいという被害者の思いを強く感じます。名誉棄損は具体的事実の摘示があること,その事実の摘示が人の社会的評価を低下させるものであれば成立します」と話す。


 誹謗中傷は、大きく分けて侮辱と名誉棄損に分かれる。侮辱は「度を超えた言葉」の線引きが難しい。例えば、芸能界で問題になった「ブスいじり」は受け取る側の認識や、発言者との関係性で侮辱と判断するのか変わってくる。一方、名誉棄損は「具体的事実の摘示で社会的評価が低下した」と判断のハードルが比較的、低いとされている。ネット上の書き込みで、「あの人はうざい」だけでは社会的評価が低下する内容とみなされないが、「あの人は覚せい剤をやっているから、ああいう事件を起こしたんだな」、「あの人は社内の人間と不倫している」など書き込めば、名誉棄損に該当するとみなされる可能性が高い。


 田中弁護士によると、被害者を傷つける誹謗中傷の書き込みをする人間はネット上に流れている真偽不明の情報を信じ、「他の人も書き込んでいるからいいや」と軽はずみな気持ちで書き込んでしまうケースが多いという。被告の立場になり、「本当に訴えられると思わなかった」と後悔する。田中弁護士は「『ネット上で誹謗中傷の内容を書き込んでしまった』と弊社に来る相談者は増えています」と明かす。


 間違った正義感で人生が暗転することもある。


「『あの人に詐欺でだまされました』というYouTube動画やネット上の情報を見て、『許せない』と怒りに任せて誹謗中傷の書き込みをして、名誉棄損で訴えられるケースもあります。『SNSで書いてあったから自分も書いた』という言い分は通らない」


 匿名で書き込むことも、倫理観を麻痺させている部分があるのだろう。もし、ネット上で誹謗中傷の書き込みをしたとして、名誉棄損で訴えられた場合はどうなるのか。


「被害者の弁護士から内容証明郵便が送られてきます。名誉を棄損されたとして慰謝料と発信者の情報開示請求費用を求められるので、100万円〜150万円程度が相場になります。誹謗中傷の文章の中身、書き込んだ件数によってさらに高額になるケースもあります。加害者側が示談で解決するケースは5、6割で、残りの人たちは支払いに応じず、民事裁判になります。支払いに応じない人たちの中で働いていないなど返済能力がない割合が2、3割。残りは『私のネット上の書き込みは名誉棄損に当たらない』と争うことになる」


 今回、SNS上で話題になっているのが、インターネット上の投稿で名誉を毀損され、精神的苦痛を受けたとして、廣瀬さんの母親に訴えられた女性が争う姿勢を示していることだ。


 ネット上では、「誹謗中傷を正当化させるなら実名報道でいいのでは」、「反省する姿勢が全く見られない。こういう人間がなぜ実名で報じられないのか。匿名で報じているから、被害者家族に対する誹謗中傷の書き込みがなくならないんだよ」など女性が匿名で報じられていることに怒りの声が多い。


 田中弁護士は「ネット上の書き込みを巡り、名誉棄損で争う姿勢を示すことは決して珍しくはありません。弁護側は色々な事情があると思いますが、反論の余地があるならばせざるを得ない。加害者の実名報道については、そもそも名誉毀損に該当するかどうか不明確な状況であり、難しいと思います。仮に民事上違法と裁判所に認定されたとしても民事と刑事ではハードルが若干異なり、刑事事件としては立件されないケースもありますので、やはり実名報道は難しいと思います」と語った上で、こう続けた。


「これだけ社会的反響が大きい事件で示談に応じず、民事裁判で争うことはリスクが伴います。誹謗中傷は、被害者側から名誉棄損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪などで刑事告訴される可能性があるほか、これは許される行為ではないですが、ネットの『特定班』に加害者の本名、職場などの個人情報をさらされる恐れもある」


 旭川地裁がどのような判決を下すか注目される。(今川秀悟)


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  • 特定班が誤爆して関係ない人が被害に遭ってもえぇのんか! 二次被害を防ぐためにも顔と名前全部晒せば良いんや!
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