
節分の「恵方巻き」の由来・起源、食べる理由とは
恵方巻きとは、節分に恵方を向いて食べると良いとされる巻きずしです。節分といえば恵方巻きという方も多いはず。今やすっかり浸透していますが、全国的に認知されるようになったのは2000年以降で新しい習わしです。
いつのまにか定着した恵方巻の、由来や起源について説明します。
恵方巻きの発祥は? いつから流行った?
恵方巻きの起源・発祥には諸説あり、なかには後付けと思われるものも少なくありません。不明な点も多いため定かではありませんが、有力な情報をおおまかにまとめると、次のようになります。・大正時代:大阪の花街で、節分の時期にお新香を巻いた海苔巻きを恵方に向かって食べて縁起を担いでいたらしい。
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・1970年代半ば:節分に巻き寿司を丸かぶりするイベントがマスコミに取り上げられるなど、知名度が上がっていった。
・1980年代:ファミリーマート、セブンイレブンが地域限定で販売開始。
・1990年代:セブンイレブンが販売エリアを拡大していき、全国展開をしたことで知名度が急速にあがる。大手スーパー、百貨店、小売店なども参入。
・2000年代以降:全国のコンビニ、地方の小規模スーパーなども販促に力を入れ、全国で認知されるようになる。
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豆まきは奈良時代に伝来した「追儺(ついな)」という疫鬼や疫神を払う儀式に由来しますが、平成時代に全国区になった恵方巻きには定かな起源がなくイベント的要素が強いため、さまざまなアレンジが可能です。今では、巻き寿司に限らずスイーツなどになったり、豪華さや巨大さを競うなど、多様化しています。
誰が恵方巻きを流行らせた?
セブンイレブンが「恵方巻」と名付けて展開したことで普及しました。もともと明確な名前があったわけではなく、節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりすると説明されているだけでした。
そのため、「恵方巻き」以外にも、「丸かぶり寿司」「恵方寿司」「幸福巻」「招福巻」「開運巻き寿司」など、いろいろな呼び名があります。
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節分に恵方巻きを食べるのはなぜ?
節分の行事には、年の変わり目の行事という意味合いがあり、新年の幸せを祈願します。旧暦(太陰太陽暦)の1月は新暦(太陽暦)の2月頃にあたり、春を意味していました。立春前日の節分は、正月前日の大晦日のようなもので、年越し行事にあたります。節分の豆まきも、もともと大晦日に行われていた疫鬼や疫神を払う儀式「追儺(ついな)」に由来しています。
恵方巻の「恵方」とは、年神(歳神、正月さま)の異称である歳徳神(としとくじん)のいる方角で、その方角に向かって事を行えば万事に吉とされています。
そこで、節分に恵方を向き、願い事をしながら無言で巻き寿司を丸かぶりすると願いが叶う、幸せになるといわれるようになったようです。
(文:三浦 康子(暮らしの歳時記ガイド))