濱田岳、“就職&失業”を繰り返す役者の仕事が好きな理由「頑張ればまた会える」【連載PERSON】

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2023年02月02日 10:11  TVerプラス

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON〜人生を変えたテレビ番組」。今回は、西島秀俊さん、上白石萌歌さんが出演する『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系、毎週木曜21:00〜)で桜町中央署刑事課のエース・蓮見光輔を演じる濱田岳さんです。

濱田さんは、9歳の時にスカウトされて芸能界に入り、ダウンタウンの浜田雅功さんが出演するドラマ『ひとりぼっちの君に』でデビューを果たします。その後、2004年に放送された『3年B組金八先生』や、『釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜』などの作品に出演。主演からバイプレイヤーまで幅広い役をこなせる実力派俳優の一人として映画やドラマ、舞台などで活躍しています。

その濱田さんが出演する『警視庁アウトサイダー』は、見た目が極道の元マル暴オヤジ刑事・架川英児(西島)と、一見さわやかなのに大きな秘密を抱えたエース刑事・蓮見光輔(濱田)、安定した就職先として警察を選んだ新米刑事・水木直央(上白石)という、誰にも言えない秘密を腹の底に潜ませる3人が、自らの思惑のために手を組み、互いに互いを利用しながらさまざまな難事件に挑む姿を描くミステリー作品です。第1話の見逃し配信が配信数200万回を突破したことも話題になりました(※1/13、TVer・テレ朝動画・GYAO! ・ABEMA合算値 ビデオリサーチ調べ)。

今回、濱田さんにドラマの見どころや、撮影の様子、本作への意気込みなどを聞きました。

悪であったとしても自分の役を弁護できるのは僕しかいない

――いろいろな刑事ドラマがある中で、『警視庁アウトサイダー』はこれまでの刑事ドラマとは少し違った魅力を持ったドラマだと思います。濱田さんから見て、その魅力はどんなところにあると感じていますか?

1話の最後からして他のドラマとは全く違う作品になっていると思いました。普通の連続ドラマの最終話の一個前の回を見るような終わり方を迎えるし、そこは僕もいち視聴者として「うわぁ!」と思いましたし、すごく欲張りなドラマになっていると思います。王道も目指すし、コメディの部分も目指すし、そこにさらに木村ひさし監督のエッセンスも加わってくる。いろいろなジャンルを網羅するような作品になっている手応えを感じながら撮影をしています。

――蓮見光輔はなにか大きな秘密を抱えているという、ミステリアスな雰囲気を纏った役だと思うのですが、ご自身の役についてはどのような印象を持って演じられていますか?

冒頭から“僕は秘密を抱えています”という風に描かれるのですが、秘密というのは後半の方まで明かさないようになっているので、いち俳優として、そういう役を演じられることは素直に嬉しいことです。でもそれはそれでプレッシャーにもなります。より責任を持って挑まないといけないなと。連続ドラマの性質上、台本は最初から全てが完成されたものではないので、何が来ても嘘がないように、最後に見た時にきちんと整合性が取れているように演じることが、僕の仕事かなと思って臨んでいます。とてもやりがいのある素敵な仕事をいただいたなと感じています。

――今回のドラマの役作りでこだわっていること、大切にしていることはありますか?

今回のドラマのように、警察組織で秘密を抱えている男の役だと、演じる上で、何か悪いことをしているというか、人の道に反したこともして来ているだろうということが最初の段階で推測できるんです。そうなった場合にその人を弁護してあげられるのはこの世界で僕しかいないと思うんです。

悪い部分もきっちり演じたいし、でも、そこに人としての部分、ちゃんとした赤い血を流してあげるのも僕の仕事だと思っています。蓮見を僕自身が好きになる、愛情を持って接することが役作りとして大事な部分ではないかと思います。どんな役を演じる時でも、僕自身「この人のことがこんなに好きなんだよ」とプレゼンできるようになっていかないといけない。それが例えばぶっ飛んだ金太郎の役であったとしてもです(笑)。

――現場で、西島さんや上白石さんとは、どんな雰囲気で過ごしているんですか?

お二人には役作りの上でも本当に助けていただいているんです。例えばコメディのシーンなどで、計画がうまくいかなくて困っているのか、それとも二人のキャラが立ちすぎて困っているのかとか、自然とミスリードが生まれたりするんです。

最初のプロットの活字だけで読んだ蓮見はすごく大変そうな役だったんですが、いざ現場に来てみると、お二人の役への向き合い方のおかげで、自然体で臨めるんです。あと、カメラが回っていないところでのお二人は底抜けに明るくて。しかもにぎやかな明るさではなく、温かい雰囲気で。お二人のお人柄だと思います。現場も当然いい雰囲気になるし、自由にプレッシャーを感じず、自然体で役に臨めるようになるんです。感謝しています。

――視聴者の方に向けて、今回のドラマの見どころを教えてください。

かなりのスピード感で話が進んでいきます。急展開なところがこのドラマの売りの部分だと思います。台本を読んでいる僕らでも、「あ、こんな展開になるんだ」と思っているので。後半に向けても、まだまだびっくりすることが起きると思います。そこに僕らが作り上げる人間ドラマが加わればおそらく新しいドラマになっていくんじゃないかなと思っています。楽しみに待っていてください。

キャリアを積む中で“人間力”の重要さを痛感

――ここからは、“濱田さんとテレビ”をテーマに話を聞きたいのですが、濱田さんが役者をする上で影響を受けたテレビ番組はありますか?

ありがたいことに、9歳からご縁があってこの仕事をすることができたんですが、初めての現場はすごく覚えています。最初の現場が楽しくなかったら続けていなかったと思うし、『ひとりぼっちの君に』という僕の最初のドラマが、テレビという中では一番影響を受けたと思います。もちろんターニングポイントという意味では、『金八先生』に携わっていたことで学校を辞めることになったり、『釣りバカ日誌』で大先輩である西田(敏行)さんが大事に育て上げたキャラクターを若輩者の僕がやることにとてもプレッシャーを感じたりと何回かありました。

――『ひとりぼっちの君に』は、9歳当時ご覧になっていたんですか?

もちろん見ていたんですが、演技について知識がないこともあり、内容に関して、何かを感じるということはなかったかもしれません。俳優業は、スカウトしていただいて、経験として受けてこいと言われて受けたオーディションで、早く帰りたくて悪態をついていたら受かってしまったという感じでスタートしたんです。撮影も“普通の子が撮影現場に来ちゃった”という感じで、9歳の子供にとっては刺激的でした。学校と家庭がある中、大人が働く社会にいきなり“ぽん”と入れられた感じです。そういう意味では最初のドラマは刺激的で楽しかったんです。

――濱田さんはプライベートではどんな番組を見ますか?

日本のドラマだけではなく、海外ドラマもよく見ます。あのスケール感に夢を見るんです。日本にはないスケールのものが多いじゃないですか。こういうスケール感で撮るとこういうものに仕上がるんだということをキラキラした目で見ています。ドキュメンタリーもよく見ます。知らないことを知るというか、「何?」「なんで?」が多い人なので、そういうものを埋めてくれる番組が好きです。

――お気に入りに登録して見るような番組はありますか?

ナショナル ジオグラフィックでしょうか。その他、ドラマだと意外と身近に感じるのが戦争ものだったりします。海外の戦争ものです。あのシーンはどうやって撮っているんだろうと気になるんです。マーベルの作品だと、グリーンバックでの撮影が多くて大変そうという感じなんですが、リアリティのある作品などはロマンを感じて見ています。

――役者をしている上で大切にしている言葉や軸、信念があれば教えてください。

技術的なことはもちろん大事だと思うんですが、9歳から始まった不思議なご縁で役者をはじめ、いろいろな仕事をする中で素敵な先輩だなと思った人は、“男女を問わずかっこいい人”です。容姿とかそういうことではなく、人としての深みや大きさを持った人のことです。おそらくどんなお仕事に就いても上の位置に立つんだろうなという人間力を感じる人が多いんです。僕もこの仕事を長く続けていくのであれば、技術の修行ももちろん大切ですが、人間力がすごく大事なのかなと思っています。

――最後に役者の仕事をしていて一番楽しい瞬間があれば教えてください。

一個の作品に“就職”して、その作品が終わったらまた“失業”して……。その繰り返しというのは、この仕事にしかないような気がするんです。一つの会社にいると好きな人もそうでない人もずっと一緒。でも僕らの仕事はどんな人でも一回お別れをしないといけない。この経験はデビューの頃から寂しくもあり、頑張ればまた会えるかもという始まりであり、そういう感情を子供の頃から持ったまま僕はこの仕事を続けているかもしれないです。それがこの仕事の好きなところかもしれないです。

取材・文:名鹿祥史
撮影:フジタヒデ
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