ロッテに復帰した澤村拓一 メジャーから日本球界に復帰する選手は、野球人生のピークを越えて戻ってくるケースが多い。だが、この男は違うかもしれない。レッドソックスから3年ぶりにロッテに復帰した澤村拓一だ。
【写真】2022年は期待外れだったセ・リーグの選手がこちら スポーツ紙記者は、「制球力と34歳という年齢でメジャー球団から高い評価は得られなかったが、まだまだ力は十分にある。現役時代にメジャーを経験し、野球理論に精通している吉井理人監督の存在もロッテに戻る決め手になった。150キロを超える球威十分の直球をストライクゾーンに投げ込めば、簡単には打たれない。高速スプリットも大きな武器になるでしょう」と活躍に太鼓判を押す。
ロッテからレッドソックスにFA移籍したのは20年オフ。1年目に55試合登板で5勝1敗10ホールド、防御率3.06をマークし、チームのポストシーズン進出に貢献した。昨年は49試合登板で1勝1敗3ホールド、防御率3.73。8月にメジャー選手登録の40人枠から外れた。
セットアッパーとして計算できるだけに、NPBの複数球団が獲得に興味を示していたが、澤村はFAで快く送り出してくれたロッテに対して仁義を感じていた。ロッテが球団公式YouTubeで配信した1月28日の入団会見で、「僕が2年目に居させてもらった時にロッテというチーム、組織は素晴らしいなと思っていましたし、ただ、その素晴らしい組織が勝てていないという状況を打破するためには、一人一人が同じ方向を向いているというか、同じ方向を向いているからといって同じものが見えているわけじゃなくて、選手一人一人のピントをしっかり合わせた状態で1年間戦っていけば、今の戦力でも十分優勝できると思うので、その先頭に立って引っ張っていけるような存在になりたい」と熱弁。動画のコメント欄では、「巨人に憧れ巨人に入れたことに涙を流し、メジャーが夢だった男がロッテに帰ることを選んだかっこよさ。澤村は漢だね」、「自分がチームを優勝させるっていう気迫が伝わるし、澤村ほどの投手がこんだけ本気でいてくれたら監督もチームメイトも嬉しいし頼もしいだろうな」など称賛の書き込みが多く寄せられた。
メジャーからもう1人、日本球界に復帰した右腕がいる。元レンジャーズの有原航平だ。日本ハムで最多勝を獲得するなどエースとして活躍し、20年オフにポスティングシステムで、レンジャーズに移籍。澤村と同じタイミングでメジャー挑戦したが、思うような結果を残せなかった。21年は5月下旬に右肩動脈瘤の手術を受けて戦線離脱。9月に復帰したが乱調の登板が続き、マイナー降格した。昨年もメジャーキャンプに招待選手で参加したが結果を残せず、開幕はマイナースタートに。8月にメジャー復帰したが、結果を残せずマイナーに逆戻りした。去就が注目されたが、日本球界復帰を決断。複数球団による争奪戦となったが、セ・リーグの球団編成はこう指摘していた。
「有原は右肩を手術したのが気がかり。ソフトバンクは先発ローテーションの一角として期待しているが、直球の球速は故障前より明らかに落ちている。変化球の球種が多いのが強みだが、力強い直球を取り戻さないと変化球が生きてこない。1年間通じてシーズンで稼働することにも不安があるかなと。先発と救援の違いはありますが、澤村の方が計算はできると思います」
複数のメディア報道によると、有原の契約内容は3年総額15億円。この好待遇に見合った成績を残せるか。澤村と共にその活躍が注目される。(今川秀悟)