
2月に下がりやすい業種は?
2月相場は、3月決算企業の決算を控えて利益確定売りが増えるため、株価が下落する傾向があるといわれています。値動きが激しい2月相場の中でも特に、株価が下がりやすい傾向にある銘柄をご紹介します。株価が下がりやすい銘柄を事前に知っておくことで、不用意に損失を被るリスクを回避できるでしょう。
今回は、2月の株式相場においてどのような業種が下がりやすいのか、日経平均採用銘柄(225銘柄)の過去の株価データから統計的に検証してみました。
検証条件
■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)■検証期間:2000年1月1日〜2022年12月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:1月末の寄り付きで買い
■売り条件:25営業日経過後の翌営業日寄り付きで売り
1月末にある業種の銘柄をすべて購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。検証対象の業種の勝率が50%以上で損益がプラスならば、2月は株価が上がりやすく、逆に勝率が50%未満で損益がマイナスならば、株価が下がりやすい月となります。
以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。
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2月相場の業種ワースト3
検証の結果、値動きが激しい2月相場の中でも、特に勝率の低かった業種を順に紹介します。1位:繊維(4銘柄)

勝率:38.82%
勝ち数:33回
負け数:52回
引き分け数:7回
平均損益(円):−2,230円
平均損益(率):−1.11%
平均利益(円):12,318円
平均利益(率):6.16%
平均損失(円):−11,762円
平均損失(率):−5.88%
合計損益(円):−205,121円
合計損益(率):−102.56%
合計利益(円):406,508円
合計利益(率):203.26%
合計損失(円):−611,629円
合計損失(率):−305.83%
PF(プロフィット・ファクター):0.665
平均保持日数:23.74日
2位:建設(9銘柄)

勝率:40.50%
勝ち数:81回
負け数:119回
引き分け数:3回
平均損益(円):−1,979円
平均損益(率):−0.99%
平均利益(円):14,513円
平均利益(率):7.26%
平均損失(円):−13,255円
平均損失(率):−6.63%
合計損益(円):−401,763円
合計損益(率):−200.89%
合計利益(円):1,175,568円
合計利益(率):587.80%
合計損失(円):−1,577,331円
合計損失(率):−788.69%
PF(プロフィット・ファクター):0.745
平均保持日数:23.74日
3位:陸運(2銘柄)

勝率:50.00%
勝ち数:22回
負け数:22回
引き分け数:1回
平均損益(円):−404円
平均損益(率):−0.20%
平均利益(円):10,194円
平均利益(率):5.10%
平均損失(円):−11,020円
平均損失(率):−5.51%
合計損益(円):−18,165円
合計損益(率):−9.08%
合計利益(円):224,266円
合計利益(率):112.14%
合計損失(円):−242,431円
合計損失(率):−121.22%
PF(プロフィット・ファクター):0.925
平均保持日数:23.73日
以上が、2月相場で不調だった3業種の検証結果です。検証結果を見てみると、どれも勝率が50%以下で、1トレード当たりの平均損益もマイナスになっています。したがってこの3業種は2月に下がりやすい傾向があるといえるでしょう。
2月相場の低成績ランキング
では最後に、これらの業種の中でも特に下落傾向が強く、2月相場で軟調に推移する傾向がある銘柄をご紹介します。
表は、先ほどの検証において、勝率40%以下の銘柄のランキングです。平均損益もマイナスとなっており、2月に繊維や建設といった業種の銘柄をトレードする際は注意が必要でしょう。
株の売買を行う前に今回のように簡単な検証を行うことで、これから行おうとしている投資が、どの程度リターンを期待でき、どの程度リスクがあるのか事前に把握することができます。検証を行ってから投資すれば、きっと安心感が違うことでしょう。みなさんも投資する際には一度検証してくださいね。
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文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
(文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー))