第2回WBC決勝・韓国戦で、勝ち越しの中前安打を放つイチロー 3月に開催されるWBCに臨む侍ジャパン。第5回を迎える大会で、今回のメンバーが「最強軍団」の呼び声が高い。
【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは? その理由は、メジャー組が参戦していることが大きな要因だろう。大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)、オリックスからポスティング・システムでメジャー挑戦する吉田正尚(レッドソックス)が参戦する。大谷は投打の二刀流で世界トップレベルの選手に。昨季は投手で15勝、打撃でも打率.273、34本塁打をマーク。メジャーでも異次元の選手だ。ダルビッシュも昨季メジャーで自身最多タイの16勝をマーク。36歳を迎えて円熟味が増している。この5選手が侍ジャパンの中心になることは間違いないだろう。NPBからも山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)を筆頭に実力者たちがそろう。「最強軍団」と形容されるのは違和感がない。
だが、過去の侍ジャパンを取材してきたスポーツ紙記者は、「第2回WBCが最強メンバーだと思います。あの時のチームは試合を重ねるたびに強くなっていった。栗山ジャパンは頂点に立った時に初めて最強軍団と言える」と持論を展開する。
第2回大会は2009年。原辰徳監督が率いる侍ジャパンは松坂大輔、イチロー、城島健司、岩村明憲、福留孝介とメジャーから5選手が参加。投手陣は松坂、岩隈久志、ダルビッシュが先発3本柱で、救援に田中将大、涌井秀章、杉内俊哉、馬原孝浩、渡辺俊介、山口鉄也と豪華な名前が並ぶ。守護神・藤川球児につなぐのが必勝パターンだった。
打線は長距離砲がいなかったが、切れ目のない攻撃が特徴だった。イチロー、中島宏之、青木宣親の1、2、3番がチャンスメークし、4番以降で城島、福留、小笠原道大、内川聖一、稲葉篤紀がポイントゲッターに。下位打線を打つ岩村、川崎宗則も出塁率が高い。1次ラウンドは韓国に敗れて2位で通過、2次ラウンドを通過すると、準決勝・米国戦は9−4で快勝。
決勝・韓国戦は内川が攻守で活躍し、同点の延長10回にこの大会で打撃不振だったイチローが中前に運ぶ決勝2点適時打。因縁の相手を破り、大会連覇を飾った。
テレビ関係者は「選手たちの能力が高いだけでなく、原監督の手腕も光りました。イチローは不調でも1番から動かさない一方で、先発の柱だったダルビッシュを準決勝以降は抑えに起用する驚きの采配をみせました。藤川の状態は決して悪くなかったですが、勝負師としての勘が働いたのでしょう。結果うんぬんではなく、原監督が腹をくくった決断ができるのが強みだった」と指摘する。
短期決戦では、選手の起用法が大きなカギを握る。村上、鈴木、ヌートバーが不振だった時にスタメンから外すか、我慢強く使い続けるか。打線を組み替えた場合に誰をどの打順に据えるか。大谷を投手として起用する場合はどの役割を託すのか。起用法一つで、勝負の明暗が分かれる。栗山英樹監督の采配で世界一に導いた時、誰もが「最強軍団」と認めるだろう。(今川秀悟)