
3歳クラシックに向けて重要な一戦となるGIIIきさらぎ賞(中京・芝2000m)が2月5日に行なわれる。本来、京都・芝1800mという条件で施行されるレースだが、同競馬場の改修工事によって、一昨年、昨年に続いて今年も中京・芝2000mが舞台となる。
クラシックに向けて重要な一戦というだけあって、過去の勝ち馬にはサトノダイヤモンドやルージュバックなど、その後の大一番で上位争いを演じた面々の名前が並ぶ。ただし、過去10年で1番人気が勝ったのは、その2頭のみ。2着も2回、3着も2回と、そこまで信頼が置ける存在ではない。
また、日刊スポーツの奥田隼人記者によれば、「きらさぎ賞は例年、少頭数で行なわれるのが特徴。そのわりには、中穴から大穴まで期待できるレース」だという。
「過去10年を見ても、10頭以上で行なわれたレースは3回しかなく、同期間での出走頭数の平均は9頭。重賞では極端に少ないです。
それでいて、堅く収まるというわけではなく、1番人気は2016年のサトノダイヤモンドを最後に現在6連敗中。4番人気以下が10年で4勝と波乱含みです。2019年には8頭立てながら、1着=3番人気、2着=6番人気、3着=7番人気で決着し、3連単では14万円超えの高配当が生まれています。
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つまり、"クラシックの登竜門"とはいえ、まだキャリアの浅い若駒による一戦。ひと筋縄でいかない印象があります」
そして今年も、出走馬はわずか8頭。しかしながら、過去の傾向を踏まえれば、伏兵の台頭は十分に考えらえる。奥田記者はその候補として、2頭の名前を挙げた。
「まず気になるのが、ノーブルライジング(牡3歳)です。新馬戦(9月18日/中京・芝2000m)4着も、2戦目の未勝利戦(10月8日/阪神・芝2000m)で勝ち上がり。前走は、今回も人気が予想されるフリームファクシ(牡3歳)が勝った1勝クラス(1月5日/中京・芝2000m)で4着でした。
そのレースでは勝ち馬のパフォーマンスが評価されていますが、ノーブルライジングも"負けて強し"の競馬をしています。スタートから行き脚がつかずに最後方でレースを運ぶ形となって、4角でもしんがりの9番手。それでも、直線ではメンバー2位タイの上がりを繰り出して4着まで追い込みました。
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3カ月の休み明けで、馬体重も12kg増。そうした状況にあって、いい脚力を見せましたし、今回は久々を叩いた上積みも見込めます。
この中間は、折り合い面とゲートに重点を置き、新たに試しているクロス鼻革が効果を見せています。同馬を管理する宮本博厩舎の川合豪助手も、『クロス鼻革を着けて調教したら、いい感じに折り合いがつく。レースでも着ける予定です。柔らかくて背中のいい馬。調教の雰囲気は結構いいですし、能力は足りていると思います』と手応えを感じている様子でした。
血統的にも、昨年のGIジャパンCを制したヴェラアズールら活躍馬を多数輩出しているアドマイヤサンデーからなる血筋というのは魅力。一発の可能性は十分にあると思います」
奥田記者が推すもう1頭は、トーセントラム(牡3歳)だ。
「昨夏の函館でデビュー。6戦目の未勝利で勝ち上がって、以降は自己条件の特別戦からリステッド競走、重賞にも出走して経験を積んでいます。メンバー最多の11戦というキャリアは、出走数が少ない他馬に比べてアドバンテージであることは間違いないでしょう。
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持ち味は、何と言っても安定感のある末脚です。昇級後の5戦は着順こそパッとしませんが、上がりタイムはすべてメンバー3位以内をマーク。そのうち、メンバー最速の上がりを記録したことが3度あります。スローペースの流れが多い分、なかなか結果を出すことができませんが、最後は確実に脚を使ってくれます。
あと、トーセントラムにとっての追い風は、今の中京の馬場です。今週は開催最終週。芝は先週からBコースに替わりましたが、見た目にも馬場の痛みは目立っており、外伸び傾向にシフトしている印象が強いです。
レース全体もそれなりに時計を要するようになっていて、直線では確かな脚が要求される馬場となっています。ならば、確実に末脚を繰り出すことができるトーセントラムの出番があっても、不思議ではないでしょう」
今年もわずか8頭で行なわれるきさらぎ賞。再び人気薄馬が波乱を演じるようなら、ここに挙げた2頭がその一端を担うかもしれない。