
2023年クラシック候補たち
第4回:ダノンザタイガー
「クラシックの登竜門」と称されるだけあって、GIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)には毎年評判の素質馬が集結する。そして今年も、楽しみな1頭が参戦予定だ。
美浦トレセンの国枝栄厩舎に所属するダノンザタイガー(牡3歳/父ハーツクライ)である。
昨年6月の2歳新馬(6月12日/東京・芝1800m)でデビューした同馬。母シーズアタイガーがアメリカのGIウィナーということもあり、単勝1.4倍という断然の支持を集めたが、同レースでは2着に終わった。直線、大外から脚を伸ばすが、2番手から先に抜け出したオンザブロッサムを捕えきれなかった。
それでも、2戦目の2歳未勝利(8月13日/新潟・芝1800m)ではきっちり勝利。道中は16頭立ての6、7番手で運んで、直線を迎えると自慢の末脚を炸裂させた。残り200mをきったあたりで先頭に立って、そのまま突き抜けた。
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上がりタイムはメンバー唯一の33秒台をマーク。2着に2馬身差をつけての完勝だった。
続いて挑んだのが、GII東京スポーツ杯2歳S(11月19日/東京・芝1800m)。よどみないペースで流れるなか、中団やや後方でレースを進めた同馬は、初陣と同じく直線では大外から仕掛けていった。
ライバルたちと熾烈な叩き合いを演じ、ゴールを目前にしてガストリックとの一騎討ちとなった。どちらも譲らぬまま、最後はガストリックが先にゴール板を通過。ダノンザタイガーはクビ差及ばなかった。
ともあれ、"負けて強し"のレースを見せたダノンザタイガー。共同通信杯でも最有力視されており、そこで結果を出せば、クラシックの"主役"に躍り出ることは間違いないが、陣営は同馬のことをどう見ているのだろうか。関東競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。
「前走の東スポ杯2歳Sでは馬体重がプラス12kgと大きく増えていましたが、国枝調教師によると『今回もプラス体重になりそう』とのこと。ただ、『絞れていないわけではなく、成長分』だと言っていました。
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体つきはもともと頼りない面があったので、『体が増えて、ようやく牡馬らしくなってきた。理想的な成長曲線を描いている』と国枝調教師。クラシックの頃には『さらによくなるのでは』と、先々への期待も膨らませていました」
実際、共同通信杯の1週前追い切りでもすばらしい走りを見せていたようだ。トラックマンが続ける。
「その追い切りでは、最後が猛烈な向かい風でタイムが出にくい条件でした。にもかかわらず、ダノンザタイガーは最後の1ハロンを11秒4でまとめる好内容を披露しました。
追い切りに騎乗した主戦の川田将雅騎手は、『まだ動ききれていない。もっとよくなってくるはず』と辛口ジャッジでしたが、それは求めるものが高いからこそでしょう。その動きからして、現時点でも十分に世代トップクラスと見ていいのではないでしょうか」
陣営が描く青写真は、共同通信杯を勝ちきってクラシックへ向かうこと。成長急のダノンザタイガーの走りから目が離せない。
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