「14歳の中学生女流棋士」鎌田美礼　師匠も期待する終盤戦での力

 　AERAの将棋連載「棋承転結」では、当代を代表する人気棋士らが月替わりで登場します。毎回一つのテーマについて語ってもらい、棋士たちの発想の秘密や思考法のヒントを探ります。渡辺明名人、「初代女流名人」の蛸島彰子女流六段、「永世七冠」の羽生善治九段らに続く23人目は、「中学生女流棋士」の鎌田美礼女流2級です。発売中のAERA 2023年2月13日号に掲載したインタビューのテーマは「将棋以外の楽しみ」。


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「女流タイトル挑戦」


　2022年5月。地元・茨城県取手市役所で記者会見に臨んだ鎌田美礼は、色紙にそう目標を記した。


「一回はタイトル挑戦をしてみたいです」


　当時まだ中2で13歳。現役最年少の女流棋士として、デビューしたばかりだった。


「棋譜を見られて恥ずかしくない将棋を指したいです」


　娘が女流棋士となり、将棋好きの父の夢はかなった。


「私より喜んでいました」


　そして、若くして亡くなった母の夢でもあった。
「お母さんが『女流棋士になってほしい』と言ってて、なりたいなと思いました」


　鎌田の好きな女流棋士は、優しい姉弟子の加藤結李愛女流初段（19）。師匠の石田和雄九段（75）にとっては、門下2人目の女流棋士となった。


「2人で切磋琢磨して、女流棋界で旋風を巻き起こしてもらいたい」


「美礼ちゃんのことを一言つけ加えますとね。彼女は13歳（当時）で将来ほんと見込みあるんだけどね。終盤戦、鋭いんですよ。非常に将棋自体に素質があると思うの。その点を買っておりまして、期待をしているわけです」（石田）


　現在の最年少女流棋士は、鎌田より17日遅く生まれた木村朱里女流1級（14）。鎌田と木村は仲がいい。


「LINEで将棋の話をしたりしています」


　賞金をもらったら、なにに使うか。デビュー戦後、記者からの問いにはこう答えた。


「プロセカっていうゲームが好きなんですけど、そのゲームのグッズを買いたいです」



　プロセカとは「プロジェクトセカイ　カラフルステージ！　feat．　初音ミク」のことだ。


「称号でいうと『皆伝12粒』で、初級者ではありません（笑）。ガチャで爆死して、いやになって、最近はあまりやってないです（笑）。好きなボカロPは『せきこみごはん』さんです」


　ほかに好きなゲームは？


「『原神』とかやってます。マイクラ（マインクラフト）もやってたんですけど、Switchのソフトが（家の中で）どっかにいっちゃって。弟（小6）はゲームがうまくて、一緒にやると、私がへたで怒られるんです」


　YouTubeではボーカロイドの楽曲を聞くほかに、料理動画もよく見る。


「『きまぐれクック』とかおもしろいなって思います」


（構成／ライター・松本博文）


※発売中のAERA2023年2月13日号では、好きな食べ物や部活、勉強、将来の目標についても話しています。