「なぜクビにした」と惜しむ声も…巨人から他球団に移籍した“助っ人列伝”

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2023年02月07日 07:12  ベースボールキング

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巨人退団後も日本で活躍したホセ・ロペス (C) Kyodo News
◆ 昨オフは3人が他球団へ

 春季キャンプが開幕し、2023年シーズンに向けた戦いがスタートしたプロ野球。

 まず注目ポイントになるのが、各球団の新戦力たち。新外国人選手も話題を集めているが、その一方で今年は前阪神のジョー・ガンケルがソフトバンクへ、前中日のアリエル・マルティネスが日本ハムへ移籍するなど、新天地でプレーすることになった助っ人たちも目につく。


 特に移動が多かったのが“前巨人”組。グレゴリー・ポランコとC.C.メルセデスは揃ってロッテに移り、育成選手のエスタミー・ウレーニャも楽天へ。同年オフに3人の外国人選手がNPBの他球団に移籍をするのは、球団史上初の珍事だという。

 そこで今回は巨人から他球団に移籍をし、日本でのプレーを続けた助っ人たちの“その後”に注目。どんな選手がいたのか、彼らの顔ぶれを振り返ってみたい。


◆ 韓国・斗山→巨人→韓国・斗山→楽天

 まず一人目が、188センチの長身左腕・ゲーリー・ラスだ。

 2002年に韓国・斗山で16勝を挙げた実績を買われ、翌03年に巨人入り。5月9日の中日戦で初登板初先発すると、長身と長い腕を利して変化球を巧みに投げ分け、7回を4安打・無失点に抑えた。

 ところが、5−0とリードして降板後、8回・9回にリリーフ陣が炎上してまさかの逆転負け。勝利投手になり損ねてしまう。そんな不運にもめげず、5月16日の阪神戦では8回を6安打・無失点の好投で来日初勝利を挙げた。


 だが、6月4日の横浜戦では1試合3ボーク、7月12日の阪神戦では10失点を記録するなど、好不調の波が激しく、終わってみれば3勝4敗で防御率4.14。たった1年で戦力外になった。

 翌04年は斗山に復帰し、17勝を挙げて最多勝に輝いたラスは、今度は投手層の薄い新球団・楽天に移籍。しかし、ここでも3勝9敗の防御率6.33に終わり、これまた1年で退団となった。


◆ 日本ハム移籍するも「防御率54.00」

 2人目はドミニカ出身の右腕ウィルフィン・オビスポだ。

 2007年に育成で入団し、09年に故障のマーク・クルーンに代わって一軍昇格。6勝1敗とまずまずの成績を残したばかりでなく、クライマックスシリーズの中日戦、日本シリーズの日本ハム戦において、育成出身選手として史上初のポストシーズン勝利も記録した。


 その一方で、同年4月28日の広島戦では、ベンチ前で投球練習中に3度にわたって暴投。試合を中断させたことから、渡田均球審にベンチに戻るよう命じられる“珍ハプニング”もあった。

 その後、11年に須永英輝、紺田敏正との交換トレードで日本ハムに移籍したが、登板2試合で防御率54.00と結果を出せず。1年で戦力外通告を受けている。


◆ トレードでソフトバックに移籍も…成績が振るわず退団

 3人目はベネズエラ出身の右腕レビ・ロメロ。

 09年に育成選手として入団し、翌10年6月に支配下登録をかち取ると、6試合に登板。196センチの長身から繰り出す150キロ台の速球を武器に、1勝0敗、防御率0.00と中継ぎとして安定した成績を残した。

 11年は41試合に登板し、1勝3敗11セーブ・8ホールドを記録するも、抑えとしては安定感に欠けるシーンも目立ち、翌12年6月に2対2の交換トレードでソフトバンクへ。

 だが、新天地でも巨人時代同様、走者を出すと乱れる欠点を修正できず、登板3試合で防御率10.13と振るわないまま、退団となった。


◆ DeNAで大活躍したホセ・ロペス

 巨人から他球団に移籍をした外国人選手の中で、最も活躍した選手と言えば、メジャー通算92本塁打を記録したベネズエラ出身の内野手ホセ・ロペスだろう。

 2013年に巨人の歴代助っ人として初めて初年度に打率.303をマークし、18本塁打・55打点。一塁守備でもゴールデングラブ賞を獲得するなど、攻守にわたってリーグ優勝に貢献した。

 日本シリーズ第6戦では楽天・田中将大から本塁打を放った直後、挑発的なガッツポーズを見せ、マウンドの田中と口論しながらダイヤモンドを一周したシーンも懐かしく思い出される。


 ところが、翌14年もチーム最多の22本塁打を記録しながら、打率.243がネックとなり自由契約に。

 だが、翌15年は長打力を見込まれてトニ・ブランコの後釜としてDeNAに迎えられると、16年から2年連続30本塁打以上を記録するなど、頼れる中軸打者として長く活躍した。巨人内部でも「あんな優良助っ人を何でクビにしちゃったんだろう」と惜しむ声が出たといわれる。


◆ 大田泰示につづけ…?

 最後に紹介するのは、メキシコ出身の内野手クリスチャン・ビヤヌエバだ。

 18年にパドレスで20本塁打を記録した長打力を買われ、翌19年に退団したケーシー・マギーの穴を埋めるべく、右の長距離砲として入団。「(本塁打を)33本以上打ってほしい」という原辰徳監督の願いから背番号33を着けた。

 しかし、20本塁打の一方で104三振という不安定さは日本でも矯正できず。出場73試合で8本塁打の52三振。4月21日の阪神戦では、一塁走者として二塁に滑り込んだ直後、ベース上に立ちはだかって両手で「セーフ」を示した珍パフォーマンスを見せ、「守備妨害ではないか」と物議をかもした。


 1年で巨人をお払い箱になったが、捨てる神あれば拾う神あり。リーグ唯一のチーム本塁打2ケタ台(93)にとどまった日本ハムが、長打力不足解消と正三塁手不在のチーム事情から“一石二鳥”とばかりに獲得。

 同じ巨人→日本ハムルートで長距離打者として開花した“第2の大田泰示”の期待もかけられたが、出場54試合で4本塁打と戦力になれず、こちらも1年限りで戦力外になった。

 こうして振り返ってみると、“失敗例”がほとんどだが、ロペスのようにハマった例もある。新天地で3選手がどんな成績を残すか注目してみたい。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

このニュースに関するつぶやき

  • ロペスの場合、ロペスがいたら阿部を一塁手として起用しづらいから自由契約にしたこと書かないとね。アエラじゃないんだからw
    • イイネ!4
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