
欧州サッカー最新フォーメーション イングランド・フランス編
後編「スペイン・ドイツ・イタリア編」>>
欧州サッカーの2022−23シーズンは後半戦に入り、毎週の各クラブの戦いぶりが熱くなっている。ここでは三笘薫が大活躍しているプレミアリーグの注目チームや、フランスのスター軍団、パリ・サンジェルマンなどの現状をフォーメーションとともに紹介する。
(※データは2月7日時点)
【マンチェスター・シティ】
プレミアリーグ:2位
(21試合/14勝3分4敗/53得点21失点/勝点45)
チャンピオンズリーグ:グループG1位通過
(6試合/4勝2分/14得点2失点/勝点14)
ラウンド16でライプツィヒと対戦
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FW:フォーデン(グリーリッシュ)、ハーランド(アルバレス)、マフレズ
MF:デ・ブライネ(パーマー)、ベルナルド・シウバ(ギュンドアン)
MF:ロドリ(K・フィリップス)
DF:アケー(ゴメス)、アカンジ(ラポルト)、ストーンズ(ルベン・ディアス)、ウォーカー(ルイス)
GK:エデルソン(オルテガ)
過去5シーズンで4度リーグを制している王者は、2009年にマンチェスター・ユナイテッドが成し遂げて以来となる、プレミアリーグでの3連覇を狙っている。
加えて悲願のチャンピオンズリーグ(CL)初制覇を遂げるため、夏にアーリング・ハーランドを獲得。現在22歳の怪物はすでに今季の全公式戦で29試合31得点と驚異的な数字を残している。リーグ戦で敗れた4試合はすべて、このノルウェー代表が沈黙した一戦だった。
冬の移籍期間にはジョアン・カンセロをバイエルンにローンで放出。その契約にはシーズン後に7000万ユーロで売却するオプションが付帯されている。ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で世界屈指のサイドバックに成長し、リーグ2連覇に大きく貢献したポルトガル代表の放出は、夏にオレクサンドル・ジンチェンコを売却したことを踏まえても、予想外のことだった。
どうやら出場機会の減少に不満を持ち、指揮官と揉めたことが急転直下の動きの原因のようだ。重要戦力の離反は、終盤戦にどう影響するだろうか。
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【アーセナル】
プレミアリーグ:1位
(20試合/16勝2分2敗/45得点17失点/勝点50)
ヨーロッパリーグ:グループA1位通過
(6試合/5勝1敗/8得点3失点/勝点15)
ラウンド16の相手は未定
FW:エンケティア(ジェズス)
MF:マルティネッリ(トロサール)、ウーデゴール(スミス=ロウ)、サカ(ファビオ・ビエイラ)
MF:ジャカ(ジョルジーニョ)、トーマス(エルネニー)
DF:ジンチェンコ(ティアニー)、ガブリエウ(ホールディング)、サリバ、ホワイト(冨安)
GK:ラムズデール(ターナー)
在任4年目のミケル・アルテタ監督が志向するテクニカルなスタイルの練度が高まり、観衆を魅了しながら勝利を重ね、王者シティを抑えて首位を快走している。
指揮官がアシスタントを務めていたシティ時代の教え子、オレクサンドル・ジンチェンコとガブリエウ・ジェズスが夏に加わり、戦術の浸透に寄与するとともに高い能力を発揮。夏にローンから戻ってきたウィリアム・サリバもすぐさま主力となり、堅陣を形成している。
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冬には前線と中盤の第一希望だったミハイロ・ムドリクとモイセス・カイセドを取り逃がしたものの、レアンドロ・トロサールとジョルジーニョは遜色のない即戦力だ。彼らなら、ベストメンバーを固定気味に戦っているチームを、もう一つ上のレベルに引き上げることもできるだろう。
ふたつの国内カップ戦で敗退したのも、より大きな目標を狙うには好都合か。19年ぶりのリーグタイトルと、ヨーロッパリーグ優勝を視界に捉えている。
【ブライトン】
プレミアリーグ:6位
(20試合/10勝4分6敗/38得点27失点/勝点34)
FW:ウェルベック(ファーガソン)
MF:三笘(エンシーソ)、ララーナ(サルミエント)、マーチ(モーラン)
MF:マック・アリスター(ギルモア)、カイセド(グロス)
DF:エストゥピニャン、コルウィル(ファン・ヘッケ)、ダンク(ウェブスター)、ランプティ(フェルトマン)
GK:サンチェス(スティール)
英国南岸のビーチタウンを本拠とするクラブが上昇を続けている。5シーズン前にプレミアリーグに初挑戦し、4シーズンは下位でなんとか残留を遂げたが、昨季に9位に浮上。昨年9月にその立役者グレアム・ポッター監督をチェルシーに引き抜かれても、気鋭のイタリア人指揮官ロベルト・デ・ゼルビを迎えて、さらに進化を遂げている印象だ。
なかでも新監督が左ウイングに固定したことにより、三笘薫がブレイクを果たし、最近では毎試合のように途轍もないパフォーマンスを披露している。その後方でサポートするペルビス・エストゥピニャンも夏に加入して主力となり、昨年12月には18歳のエバン・ファーガソンがデビューし5戦3発。
ギャンブルで財を成した英国人オーナーが、数学の天才を集めてリクルーティングや経営に生かしているという。それを踏まえると、冬にレアンドロ・トロサールを手放しても、ヤシン・アヤリやファクンド・ブオナノッテという今は無名の新戦力が、いずれその穴を補えるようになるかもしれない。
【リバプール】
プレミアリーグ:10位
(20試合/8勝5分7敗/34得点28失点/勝点29)
チャンピオンズリーグ:グループA2位通過
(6試合/5勝1敗/17得点6失点/勝点15)
ラウンド16でレアル・マドリードと対戦
FW:ヌニェス(ディアス)、ガクポ(フィルミーノ)、サラー(ジョタ)
MF:チアゴ(エリオット)、ヘンダーソン(ケイタ)
MF:ファビーニョ(バイチェティッチ)
DF:ロバートソン(ツィミカス)、コナテ(ゴメス)、マティプ(ファン・ダイク)、アレクサンダー=アーノルド(ミルナー)
GK:アリソン(ケレハー)
昨季に4冠に迫りながら2つの国内カップ獲得に留まったチームは、その疲れなのか、モチベーションの低下なのか、かつての常勝軍団の面影を完全になくしてしまった。
CLでは悠々とグループを突破したものの、国内ではリーグ戦で10位に沈み、リーグカップでは宿敵シティに敗れ、FAカップでは三笘薫の逆転ゴールによりブライトンに敗退。CL16強の相手がレアル・マドリーであることを考えると、すでにすべてのタイトルの可能性が極めて低くなってしまっている。
夏に放出したサディオ・マネの喪失感は大きく、後釜候補に獲得したダルウィン・ヌニェスはまだまだ代役になれていない。さらにルイス・ディアスとディオゴ・ジョタが離脱中の前線に、カタールW杯で活躍したコーディ・ガクポを迎えたものの、今年のリーグ戦ではいまだ白星に恵まれていない。
【パリ・サンジェルマン】
リーグ・アン:1位
(22試合/17勝3分2敗/54得点17失点/勝点54)
チャンピオンズリーグ:グループH2位通過
(6試合/4勝2分/16得点7失点/勝点14)
ラウンド16でバイエルンと対戦
FW:エムバペ(エキティケ)
MF:ネイマール(ファビアン・ルイス)、メッシ、カルロス・ソレール
MF:ヴィティーニャ(レナト・サンチェス)、ベッラッティ(ザイール=エメリ)
DF:ヌーノ・メンデス(ベルナト)、セルヒオ・ラモス(キンペンベ)、マルキーニョス(ダニーロ・ペレイラ)、ハキミ(ムキエレ)
GK:ドンナルンマ(セルヒオ・リコ)
オイルマネーで買い揃えた攻撃のスーパースターを共存させるには、どんなシステムが最適なのか。困難な課題に直面している1年目のクリストフ・ガルティエ監督は、序盤は3−4−3を採用していたが、最近は4バックを用いることが多い。だが今年に入ってからのリーグ戦は3勝1分2敗と、苦戦を強いられる試合も出てきた。
先のカタールW杯でリオネル・メッシが優勝し、キリアン・エムバペが得点王となり、彼らをパリSGで雇うカタールの首長たちにとって、最高の大会になったはずだが、クラブでは初の欧州制覇を遂げない限り、満足はしないはず。
ただ2月1日のモンペリエ戦でエムバペが負傷し、CL16強のバイエルン戦の出場に黄信号が灯り、先行きに不安も。