
1.はじめに
東京都港区に位置する「乃木坂」駅は、赤坂や南青山、六本木と各エリアの一部を含んでいることから、アクセスの良いエリアです。
ただ、スーパーがミッドタウンの中で生活感が無かったり、JRの駅まで距離があるため、敬遠されることが多いようです。
実際使ってみると、千代田線『乃木坂』駅だけでなく、日比谷線『六本木』や大江戸線・半蔵門線・銀座線『青山一丁目』、丸ノ内線『赤坂見附』も徒歩圏にあるため、そんなに不便ではないと思います。
スーパーに関しては、赤坂の方まで行けば、有名な吉池を筆頭に、マルエツプチや肉のハナマサなどもあるので、個人的には下手な地下鉄の駅と比べると、便利だと思っています。
なお、2018年10月には、南青山一丁目エリアにカフェ、ショップ、オフィスが共存する施設『SHARE GREEN MINAMI AOYAMA』がオープンしました。
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●1-1.都心でありながら緑豊かな「乃木坂」
乃木坂は地下鉄であることや周囲には大きな駅があり、そこまで目立たない駅ではありますが、新国立美術館や乃木神社など、文化施設、神社仏閣があり、都心にありながら緑の多い街です。
●1-2.六本木七丁目付近では痴漢など不審者情報が多い
「日本不審者情報センター」のサイトを確認すると、周囲に女子校などもある六本木七丁目付近では、痴漢などの不審者情報がよくアップされているので注意が必要です。
●1-3.「住みたい街ランキング」はランク外
続いて、リクルートSUUMOが毎年発表する「住みたい街ランキング2021」を確認してみるとランクインしていませんでした。
隣接する有名な駅に隠れ、目立たない存在になっている可能性が考えられます。
●1-4.乃木坂はランチ激戦区!大人のデートスポットとしても人気
乃木坂駅は、六本木や西麻布エリアが位置し、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどお洒落なショップもあることから、大人のデートスポットとしても人気のエリアです。
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イタリアンの老舗やエスニック料理など、世界各国のレストランが集まるランチ激戦区でもあります。
この記事では、複数の再開発が進む乃木坂駅周辺を実際に歩いて、周辺の利便性や将来性、街の特徴について可能な限り詳しく解説していきます。
マンション等、駅周辺の不動産購入を検討している方は最後まで読み、参考にしてみてください。
●2-1.乃木坂他3駅との年収の比較について
まず、乃木坂駅と表参道駅、青山一丁目駅の年収別世帯数の割合を比較してみました。
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乃木坂駅は、年収1,000万円〜1,500万以上の世帯が最も多く、約13.6%程度を占めることがわかりました。
また、年収1,500万円以上の世帯数も他の駅に比べ割合が多く、約10.1%だということがわかりました。3駅の中で実は最も富裕層が好むエリアであることがわかります。
乃木坂は表参道や青山一丁目よりも華やかさはありませんが、本物のお金持ちが好む立地であるといえるかもしれません。
●2-2.乃木坂他3駅との世帯数比較について
上記は、乃木坂駅と表参道駅、青山一丁目駅の世帯数を比較したグラフです。乃木坂駅は単身者よりも2人、3人といった世帯の割合が、他の駅に比べ多いことがわかりました。
年収の高いファミリー層に好まれていることが数字としてはっきり見えています。他の2駅よりも落ち着いた生活を望む、本当にゆとりがある世帯が住んでいるようです。
3.六本木のそばである乃木坂は治安が悪いイメージもあるが実際は?
上記のグラフは、エリアを管轄する赤坂警察署が発表した、過去5年間における刑法犯の推移です。
治安が悪いイメージの乃木坂ですが、刑法犯・粗暴犯ともに犯罪件数は以前に比べ減少はしています。しかし、他のエリアと比べるとやはり犯罪件数は多いといえるでしょう。
「警視庁犯罪情報マップ」を確認すると、六本木方面が赤色となっており、最も犯罪件数が多いことがわかります。
もし、乃木坂駅周辺で住まいを探す際には、犯罪件数の多い六本木方面ではなく、比較的治安の良い赤坂方面、表参道方面で物件探しすることをおすすめします。
実際歩いて見ると、駅周辺の再開発が今まさに行われている乃木坂エリアですが、その中でいくつか行ってみて良かった地域をピックアップして、解説していきます。
●4-1.2018年10月、倉庫跡地をリノベーションした新施設がオープン
2018年10月、新しい“PARK LIFE STYLE”を提案する施設「SHARE GREEN MINAMI AOYAMA」がオープンしました。
「多くの人々が自然と集まり、一緒に緑をシェアしながらコミュニケーションが生まれる新しい形のスポット」をテーマに、倉庫跡地をリノベーションしたそうです。
緑いっぱいのスペースには、こだわりのコーヒーが楽しめるオシャレなショップも併設の注目スポットとなっています。
●4-2.2023年2月竣工予定の「南青山三丁目計画」
三菱地所が開発し2020年6月に竣工した「the ARGYLE aoyama」の対角に、新たな再開発が着手されています。
「人・街・文化が混ざり合う青山の新たな交差点」という意味を込めた「南青山 New Junction」をコンセプトに、バルコニーやルーフトップテラスに加え、敷地内を通り抜けるポケットパークなど、外部空間と連続した緑豊かな環境で働くことができる、新たなオフィスを目指したビルが2023年2月竣工予定です。ちなみに、1階部分には商業施設も入る予定です。
●5-1.これまでの人口推移と人口予測
次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを見てみます。
上記のグラフは「国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省」のデータを国際航業が編集・加工した情報を元に作成されたグラフです。
データによると、どの駅も大きな変化は予測されず、乃木坂はすぐに減少を気にすることのない手堅いエリアであることがわかります。
こちらは港区全体の人口推移を表したグラフです。2020年までは年々上昇傾向にあり、3,000人近く増えています。
しかし、2021年は、コロナ禍による郊外需要や外国人の帰国が影響し、減少傾向にあることが推察されます。
●5-2.各駅の乗降客数の推移は?
次に、東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、「乃木坂駅」を利用する乗降客数の推移を考察していきます。
データによると、乃木坂駅の乗降客数は2007年までは年々増加していました。
2010年に減少に転じましたが、コロナウイルスの影響が出るまでは徐々にではありますが増加傾向でした。
●6-1.乃木坂駅周辺の地価公示を見てみると?
次に、乃木坂駅の地価を確認していきます。以下のグラフは、商業地域に区分されている『港5-29(乃木坂駅)』、住宅地に区分されている『港-18』の近隣駅の3地点のデータを基に、2012年から2021年までの価格をグラフにしたものです。
6-1-1.商業地に区分される「乃木坂駅」について
商業地の地価は、アベノミクスの影響もあり、2012年から20年にかけて大きく増加しています。
2021年には減少に転じましたが、2012年から21年にかけて101万円/平方メートル(約68%)増加しています。
6-1-2.住宅地に区分される「乃木坂駅」について
住宅地の地価も増加傾向にあり、2012年から21年にかけて76万円/平方メートル(約52%)増加しています。
●6-2.乃木坂駅周辺のマンション価格の推移は?
ライフルホームズが発表している『住まいのインデックス』のデータを基に、実際の乃木坂駅周辺の中古マンションや土地に関する価格推移を確認します。
まずは、下記のグラフをご覧ください。こちらは、2010年からの乃木坂駅周辺の中古マンションに関する価格をまとめたものです。
乃木坂駅の中古マンションの価格は、戸建て同様、徐々に上昇はしていますが、どちらかというとあまり変化のないグラフでした。
直近3年間に限れば8.63%程度の上昇にとどまっており、東京都全体の変動の13.86%に比べてやや低めの水準でした。
さらに、土地の価格を確認すると、2018年7月に急上昇しましたが、そこからは急激に下落し、19年7月に盛り返しましたが、また下降するなど今後の値動きに注視が必要です。
都心ということもあり、利便性の高いマンションを購入するなら良いのかもしれません。
●6-3.ファミリー向けマンションの価格まとめ
このように堅調に推移している乃木坂駅の住宅価格ですが、さらにいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。
一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。
まず、大手仲介サイトであるホームズでは、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70平方メートル前後の中古マンションの平均価格は7,698万円(364万円/坪)でした。
次に、新築マンションの相場に強い、マンションエンジンでは、平均価格13,578万円(641万円/坪)でした。
他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチでは、平均価格14,525万円(686万円/坪)でした。
最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産は平均価格11,334万円(535万円/坪)でした。ちなみに、どの相場も2021年11月時点の数字です。
上記を参考に、マンションエンジンの新築価格とその他3つのサイトの平均価格(11,186万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では、約21%もの乖離がありました。
他の地域も同様ですが、将来の家族構成や職場の変化などマンションの再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が万が一のことを考え、安心だと思います。
ここからは不動産を購入するうえで欠かせない、地盤や災害の影響について解説していきます。
乃木坂駅周辺はどのエリアが影響を受けやすいのか、そもそも災害の危険度が高いエリアなのかを見ていきます。
●7-1.地震情報サイト『JIS』が発表した『東京都港区・地域別危険度』
大名屋敷が多かった南青山1丁目〜7丁目を確認すると、総合危険度では南青山3丁目が最も危険度が高いことがわかりました。
3丁目も他の地域同様、地盤はしっかりしていて、揺れにも強い地域なので、そこまで心配する必要はありませんが、南青山の中では比較的古い建物や住居が集まっているエリアです。
●7-2.港区作成の「水害ハザードマップ」
乃木坂駅周辺を確認すると、南青山1丁目の一部で1.0〜2.0mに達する被害が想定されている箇所があります。
しかし、他のエリアに比べ水害の被害は圧倒的に少ないといえます。
乃木坂駅周辺は、高級マンションや高層ビルに囲まれつつも、緑が多く青山霊園や青山公園、乃木神社などもあり、都心では珍しく広い空を感じることができるエリアです。
また、飲食店の種類も多く、余裕ある大人が喧騒から離れ楽しむことができる街といった雰囲気もあります。
実際、乃木坂に住む人の年収は周辺のエリアに比べ高くなっていました。
現在、大きな再開発の予定は無いものの、自信と実力に裏付けされた街の力を感じる、ステータス抜群の場所といえます。
家賃が高く物件数も少ないため、乃木坂に居住したい方は、このエリアに強い不動産会社複数に相談することをお勧めします。
商店街やスーパーなどの庶民的な商業施設は圧倒的に少なく、六本木にある価格設定の高い商業施設を利用することになるので、生活費には注意が必要です。