チェルシーMFマウントへの批判は「奇妙」 英『ガーディアン』記者が語る

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2023年02月11日 17:17  サッカーキング

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チェルシーのMFマウント [写真]=Getty Images
 イギリス紙『ガーディアン』のジェイコブ・スタインバーグ記者が10日、同紙でコラムを執筆し、今季一部のファンから批判を受けているチェルシーのイングランド代表MFメイソン・マウントについて語った。

 マウントはチェルシーの下部組織出身。昨年引退し、マウントと同じく育ったクラブでのプレーを続けた元ウェストハムのMFマーク・ノーブル氏を引き合いに出しながら、以下の通り綴っている。

「ウェストハムはノーブルが引退した時、単なるMF以上のものを失った。クラブの主将、リーダー、シンボルを。ピッチ上のことではない普段の会話や練習場でのやりとり、人間性は、ピッチ内外での基準を高く保つことに関して非常に重要だ。

彼はウェストハムを理解していた。『マーク・ノーブルを失ったのは痛かった』とデイヴィッド・モイーズ監督は開幕3連敗の後に語った。『昨季多くプレーしていなかったが、物事を視ることが出来たし、クラブの周辺で重要だった』。その代償に、ウェストハムは調子が悪化。残留争いに、契約問題…チームは混乱。時折、彼らは走っていないようにも見えた」

「だが、チェルシー戦を前に雰囲気は変わった。SD(スポーツディレクター)にノーブルが就任した1月2日以降、1度しか負けていないのは偶然ではない。ナイフ・アゲルドの復帰後のパフォーマンスや、モイーズによるルーカス・パケタの配置転換などは称賛に値するが、ノーブルも貢献している。スカウトとネットワーキングは、彼の主な2つの仕事だ。だが、それ以外に注目されていないポイントは、彼がチームの周辺に存在を感じさせることによって、助けの手を差し伸べたことだ。ニューカッスル戦で、彼らには明らかな団結があった。より懸命に走り、守った。パケタが同点弾を決めた。成長を続ければ、ウェストハムはチェルシーに勝つチャンスを空想するだろう」

「チェルシーに何を期待するかは誰にも分からない。ジョアン・フェリックスが出場停止から復帰し、エンソ・フェルナンデスが新たな中盤の柱になった。だが、マウントは? 契約は残り1年半だが、交渉は進展せず、SNSでは一部のファンから怒りを集めている。誰かがマウントを攻撃しない日は滅多に無い。一部のアカウントは、名前を『Mount Out』に変更している」

「それは奇妙だ。ノーブルのように、彼は下部組織出身の選手だ。派手ではないが、効果的だ。2021年のチャンピオンズリーグ(CL)決勝ではアシストもした。『アンフィールド』と『サンティアゴ・ベルナベウ』でも重要な得点を決めた。トーマス・トゥヘルが指揮していた時、彼はチェルシー最高の選手だった」

「だが、未来は不透明。下部組織出身の選手がいつも笑顔で(契約延長に)うなずくのを当然と考えることもある。彼はチェルシーで最も稼ぐ選手になることを目指しているが、新たな賃金体系が入ってくる。新オーナー陣は、ロマン・アブラモヴィッチ氏の下でのそれが法外だと信じており、移籍金は多く費やすも、サラリーについては厳格だ」

「ミハイロ・ムドリクとエンソは高い給与でサインしていない。もっと効率を高めたいと思っている。マウントは船に乗るだろうか? 彼は大切にされていると感じたい、そう思っている。クラブは合意に楽観的も、感傷的になりたくない。ピッチ外の雑音もあるのか、今季のパフォーマンスは標準を下回っている。リーグでは3ゴール2アシスト、シュート成功率は29%。おそらく景色を変える必要がある。リヴァプールは水面下で獲得を狙っており、延長に至らないなら、今夏の売却もあり得ない話ではない」

「シーズンが終わる前に、多くのことが変わる可能性がある。選手はまだ力を持っている。中盤での競争は激化も、マウントはウェストハム戦でレベルを上げ、交渉での立場を強化することに繋がるかもしれない。しかし、彼を遮るのが、デクラン・ライス。14歳でチェルシーの下部組織から放出された彼は、欧州最高の守備的MFの1人になった。CLでプレーしたいという希望は、今夏ウェストハムからの退団が不可避であることを意味する」

「問題は、ライスの行き先だ。マウントとは親友で、かつてチェルシーで再会するという仮定もあった。しかし、サッカー界の動きは早い。チェルシーは昨夏ライスについて問い合わせたが、今でも興味を持っているのかは疑問。エンソを英国史上最高額で獲得し、他のポジションの選手を探している」

「ライスは高賃金を望むだろうが、プロジェクト全体も見るだろう。アーセナルは上昇中で、ミケル・アルテタの下でのプレーを希望している。チェルシーは安定性が低い。彼はマウントを見て、チェルシーが適切な環境を与えてくれるか疑問に思うだろう。それが、アーセナルをより可能性の高い移籍先にする。チェルシーは注意しなければならない。コストを合理化する彼らの試みは理に適っているが、ストップをかける時を認識する必要もある。マウントはチェルシーを新しい時代に導く存在となるはずだ。ノーブルが証明したように、クラブを知る存在には価値がある」
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