「2時間で食道に穴」のコイン型電池、5週間後に摘出も助かった1歳児(米)

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2023年02月14日 05:11  Techinsight Japan

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ボタン電池を誤飲した1歳男児(画像は『GoFundMe 2023年1月19日付「Help Luke Eat again」』のスクリーンショット)
おもちゃやゲームなど子供たちの身近なものに使われているコイン型リチウム電池。誤飲して食道に停滞した場合、「2時間で食道に穴が開く」などと言われ、死亡例も報告されている。そんな危険な電池が5週間も食道に留まっていたという1歳男児の母が今月、誤飲後の恐ろしい経験を語った。米ネットメディア『The State』などが伝えた。

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米アリゾナ州メサに住むルーク・マックミラン君(Luke McMillan、1)は今から約9か月前、耳を痛がるような素振りを見せて発熱、小児科医に抗生物質を処方してもらった。

生後10か月だったルーク君は当時、よく耳の感染症に罹っていたそうで、薬の服用で症状は一時改善したものの、固形物を口にすると嘔吐するようになった。

エリカさんは「『体調が良くないせいだろう』と思って、流動食に切り替えてみたの。でも抗生物質を飲み切っても嘔吐は続いてね。心配になってもう一度診察を受けたのよ」と振り返り、このように続けた。

「小児科医には『胃の内容物が食道に逆流しているのでしょう』と言われ、薬をもらって帰宅したわ。でもどうにも納得がいかなくて…。『何か別の原因があるに違いない』とセカンドオピニオンを求めることにしたの。」

こうして最初の診察から5週間後、エリカさんはルーク君と別の小児科医を訪れた。するとその医師は、それまでの症状を聞いてすぐにレントゲン検査を実施、食道に異物があることが判明した。

医師はこの時、コイン(硬貨)や洋服のボタンなどの誤飲がなかったかどうか質問をしてきたそうだが、エリカさんには全く覚えがなく、ルーク君はそのままより設備が整った病院へと緊急搬送された。


エリカさんは当時のことを「病院の医師らは困惑していたわ。『もしコイン型電池を誤飲していたとしたら、2時間で食道粘膜の損傷が始まる。異物が電池だということはあり得ない…』と頭を抱えていたの」と回顧、医師から次のように告げられて衝撃を受けたという。

「胸に銀色の異物がある。ただ摘出には危険が伴う。翌日、チームを作り緊急手術を行う。手術は4時間を要するが、万が一のことも覚悟しておくように。」


ところが手術が始まって1時間後、1人の医師がやって来てこう言ったという。

「ルーク君の食道の中にコイン型リチウム電池を発見しました。電池を包んでいた絶縁テープが、彼の命を救った可能性が高いです。」


こうして命の危機を乗り越えたルーク君。しかしエリカさんがほっとしたのも束の間、悪夢は続いた。

ルーク君の食道の粘膜の一部はかなりの損傷を受けており、固形物を飲み込むことができないほど狭くなっていた。そのため食道を広げる手術を6か月間に6度受けたものの上手くいかず、エリカさんは手術方法が違うユタ州ソルトレイクシティの小児病院に助けを求めた。


そしてこの治療が成功し、ルーク君は食道の一部を切除し再建するという大掛かりな手術をせずに順調に回復、エリカさんは「ルークは6か月ぶりにバナナを食べることができたのよ!」と嬉しそうに述べている。ただユタ州の病院は保険診療が受けられず、現在クラウドファンディングサイト「GoFundMe」で寄付を求めているという。

なおエリカさんは5人の男の子を育てており、電池類は常に、子供たちの手の届かないところに置いていたという。この一件後、家の中にあるおもちゃなどのコイン型(またはボタン型)電池を全て取り出したそうで、「私たちの身の回りにはこういった電池がたくさん使われている。でもそれらがいかに危険であるか、多くの人に知ってもらいたいの」と注意喚起した。


ちなみに2年前のクリスマスイブにはスコットランドで、1歳男児がボタン電池を誤飲し、心臓にまで穴が開き死亡した。腹部を触ると音が出るサルのおもちゃに使われていた電池だったという。

画像は『GoFundMe 2023年1月19日付「Help Luke Eat again」』『FOX 11 2023年2月8日付「Too much in toddler’s x-ray: Battery found lodged in his esophagus for weeks」(Erica McMillan)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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