生後まもなく養子に出された男性、58年ぶりに実母と再会(英)

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2023年02月14日 21:12  Techinsight Japan

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58年ぶりに再会した男性と実の母親(画像は『BBC 2023年2月5日付「Adoption: Son finally meets birth mum after 58 years」(TIMOTHY WELCH)』のスクリーンショット)
生後間もなく養子に出されたイギリス在住の男性が、58年ぶりに実母と再会を果たした。養父母の亡き後、自分のルーツに興味を持ち始めた男性は、あるFacebookグループの協力を得て実の家族に会うことができたという。英国の公共放送『BBC』が伝えている。

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英ロンドン在住のティモシー・ウェルチさん(Timothy Welch、59)は昨年9月、実の母親であるジューン・メアリー・フェルプスさん(June Mary Phelps)と58年ぶりに再会した。

生後6週で養子に出されたティモシーさんは、養父母であるビルさん(Bill)とユニセさん(Eunicé)夫妻に育てられた。


しかし2018年にビルさんを、そして2020年にユニセさんを亡くしたことをきっかけに自分の本当の家族に興味を持ち始めたそうで、その心境を次のように明かしている。

「養父母との生活はとても幸せで、彼らはいつも私に『養子として私たちのところに来てくれた君は特別な存在だ』と言ってくれました。実の家族を見つけたいという思いは常にありましたが、それを行動に移すかどうかは別の問題です。養父母とは違う人格を持つ自分はいったい何者なのか…その正体を明らかにするには何十年も遡らなくてはなりませんから。」

「ですが養父母の亡き後、世の中や自分自身に対する思いが変わってきました。あるカウンセラーによると、養父母の死後に自分の血縁に好奇心を抱く人が多いそうです。なぜなら誰もが繋がりを求めているからだと。まさに私もその通りで、自分自身について考えるきっかけになったのです。」

そして2022年1月、実の親捜しを始めたティモシーさんは自分が生まれたハンプシャー州ヤテリーにある母子支援施設「ヘブン(Haven)」の写真を発見した。

またそこで誕生した子供たちと母親のためのFacebookグループを見つけた彼は、主催者であるペニー・グリーンさん(Penny Green、62)に連絡したところ、ティモシーさんの生い立ちに興味を持った彼女が実の親捜しを助けてくれることになったそうだ。

地元コミュニティ「ヤテリー協会(Yateley Society)」によると、1945年から1970年までバプテスト教会によって運営されていたヘブンでは1800人近くの赤ちゃんが誕生したそうで、ペニーさん自身もそこで生まれたという。

「当時は未婚の母であることが社会的に認められていなかったので、そのような女性たちはヘブンに身を寄せていたのです。母親たちは我が子が養子に出されることは知っていてもその日時までは知らされず、別れを告げることもできなかったそうです。ある母親は子供が養子に出される際に持たせるおもちゃを作っていましたが、それを渡すこともできませんでした。中にはトラウマを抱えて閉じこもってしまった母親もいました。」

そのように明かしたペニーさんは、この施設に縁がある人々のためにFacebookグループを作成したそうだ。

その後、ティモシーさんはペニーさんのアドバイスに従い、市民登録局で出生証明書のコピーを請求した。そこには生年月日と出生地、母親のフルネームが記載されており、ペニーさんは選挙人名簿とインターネット検索を利用して実の母親であるジューンさんの居場所を突き止めた。

さらにティモシーさんは、ジューンさんの現在の夫であるマイケル・モーティマーさん(Michael Mortimer)にメールを送った。

マイケルさんはメールの内容を息子のクリスさん(Chris)とグレッグさん(Greg)に伝え、ティモシーさんは異父弟の2人と会うことにした。

「2人とも親切で思いやりのある素晴らしい男性でした。私は人生のこの時期に異父弟たちに出会えたことをとても幸運に思っています。さらにクリスのパートナーのアマンダ( Amanda)やグレッグのパートナーのジェマ(Gemma)、そして彼らの子供たちにも会えたことが本当に嬉しいのです。今後は彼らとの交流を楽しみたいと思っています。」


そして2022年9月19日、ついにジューンさんとの再会を果たしたティモシーさんは当時のことをこう振り返った。

「母の瞳に映る自分の姿を初めて見ることができて、感動的であると同時に自然な感じもしました。私たちはいろいろなことを話しましたが、一番楽しかったのはただ母を見て母という人間を受け入れることでした。母は3人きょうだいの末っ子で、10歳年上の姉オードリー(Audrey)と8歳年上の兄ビル(Bill)がいて兄はまだ健在だそうです。」

「私の父はイラン系イスラム教徒で名前はヘダヤット・ママガン・ザーディ(Hedayat Mamagan Zardy)、母は17歳で妊娠し18歳で私を出産しました。母は1966年に結婚し、2人の息子であるクリスとグレッグが生まれたとのことでした。また母は16歳の時にも男児を出産したそうですが、養子に出されて以来、その子とは会っていないそうです。」

実の母に会えたことで、実の父のことやさらに兄がいることも知ったティモシーさんは、父と兄を捜す旅はまだ始まったばかりだと話す。そんな彼は実の家族に出会えた経験についてこのように述べている。

「自分の生い立ちを調べるには、心は広く、自らは強くいることが大切です。弟たちに出会えたことはとても楽しいことであり、刺激的なことでもあります。私は今後も母を訪ね、そして仲良くできることを楽しみにしています。」

画像は『BBC 2023年2月5日付「Adoption: Son finally meets birth mum after 58 years」(TIMOTHY WELCH)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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