“未来の三遊間コンビ” ヤクルト・池山隆寛二軍監督に未知なる可能性を聞いた【夢追うツバメたち】

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2023年02月27日 06:50  ベースボールキング

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池山隆寛二軍監督が注目する若き逸材は…? [写真=別府勉]
◆ 第42回:「ネクスト村上」注目の若手

 2月1日から24日まで、宮崎県の西都市でヤクルトの二軍キャンプが行われた。

 若手選手が必死に汗を流し、来るべきシーズン開幕を見据えて準備を進めていく。そのファームを束ねているのが、池山隆寛二軍監督だ。

 23歳の主砲・村上宗隆がWBC参戦のため不在の中、次世代の若手たちはどれだけ一軍入りへアピールできるか。池山二軍監督が、将来性豊かな注目の選手について話をしてくれた。


 「球団、スカウトがそこまでの評価をしている。(背番号)『36』を嬉しいことに縁起の良い番号にしていただいていたので、そういう風に育っていってほしいなという目では見ています」と期待を寄せたのが、18歳の西村瑠伊斗だ。右投げ左打ちのドラフト2位ルーキーで、池山二軍監督が現役時代につけた36番を背負う。

 「守備の方はこれから勉強していかなければいけない。まったく内野手は一からのスタート。サードで動きを見てどこができるかというところだと思う」と、京都外大西高では投手と外野手だった西村を、一人前の内野手に育て上げる。

 打撃スタイルについては「青木(宣親)や川端(慎吾)を連想していただくと、ああいうタイプかな」と、首位打者も獲得したミート力の高い2人をイメージしていた。その力を十分に秘めているという。


 「高校レベルで上位に勝ち抜いてきてこの(プロの)世界に入ってきているわけだから、(プロの世界の)壁をいかに乗り越えていくか」と、池山二軍監督。

 西村本人は「打率を残せる選手になっていきたいですけど、村上選手みたいになれるならなりたい。日本で一番良いバッターだと思う」と、輝く将来を見据える。

 令和の三冠王に憧れを抱く一方で、「まずは二軍の方になると思いますけど、そこでしっかり結果を残して何とか一軍に上がれるように頑張っていきたいです」と話し、「3年目ぐらいにはレギュラーを獲っているようにしたい」と意気込みを語った。


◆ プロ2年目・小森航大郎の素質

 その西村が「いま仲良くさせてもらっているので、(三遊間を)一緒に組めたらいいなと思っています」と話した相手が、今年2年目の小森航大郎だ。

 宇部工高から2021年ドラフト4位で入団した右投げ右打ちの遊撃手。将来的に西村が三塁のポジションを奪い、1つ年上の小森が遊撃を守るという構図は、チームの新しい可能性を感じさせる。

 小森について、池山二軍監督は「去年は1年間ケガで苦しんだ選手。1年目より2年目は、守備力、スイング力を見ても少しずつ上がってきている。(1年目は)毎日練習していかなければいけないというところだったと思うので、環境の慣れ、時間の慣れとか、自分の生活パターンのサイクルが合ってくると、どんどん伸びていくのかなと感じている」と、今後のさらなる成長に期待している。

 身長172センチ・83キロという体型だが「スイングのパンチ力は小柄ながらも持っている。そういうところが伸びていければいいと思う」と話す。

 将来的な打順については「何番を打てるかはまだまだ未知数だと思う。ここからクリーンアップを打てる素材になるかもしれない。クリーンアップは長打だけじゃなくて信頼を勝ち取らなければいけない」と、主軸を任せられるようになるための「信頼」を口にした。


 小森には、プロの世界で生き抜く心得を教えてくれた人がいる。昨季限りでNPBを引退し、現在は独立リーグの大分に在籍している内川聖一だ。

 昨年ヤクルトで共にプレーし、1月には志願して自主トレに参加させてもらった。その内川から印象的な言葉を授かった。

 「何で打率を5割目指さないんだ。打席に立ったら打つか打たないかの5割のはずなのに、そこを3割でOKと決めつけちゃうから2割前半しか打てないんだよ」。内川が2008年に打ち立てた右打者としての歴代最高打率「.378」も、5割を目指して失敗した結果だったという。

 「そうやって1打席、1打席を大切にしている。(内川さんのような)凄い選手でもしている。気が抜けない」

 内川の言葉を受けて、小森は気持ちをあらたにした。


 打撃面だけではない。「土橋コーチや城石コーチ、裏方さんにもいろんな方についていただいている。その感謝も込めて、守備力もしっかり上げてそこでもアピールできるようにしたいなと思っています」と、攻守でレベルアップを図る毎日だ。

 小森にとって成長した姿を一軍の舞台で見せることが、支えてくれた人たちへの恩返しにもなる。一方で、良き先輩としての一面ものぞかせる。

 「自分が1年目のときに近い年代の人がいなくてちょっと寂しかった。気疲れとかもしたので、なるべく気疲れとかしないようにと思って、けっこう話しかけるようにはしているんですけど」と、1つ年下の西村と野球以外の話題で盛り上がるなど、リラックスできる環境をつくっている。

 まだ19歳だが、その人間性から周囲を惹きつける魅力が小森にはある。池山二軍監督が話した「信頼」を得るためにも、十分な素質を秘めている。


 小森自身が理想に掲げる打順は1番か3番。「まずは二軍でしっかり結果を出して、『ちょっと小森を呼んでみるか』と言ってもらえるようなシーズンにしたい」と、今季こそ一軍デビューを果たしたいと意気込む。

 未知なる可能性を感じる「ネクスト村上」の2人。西村と小森は“未来の三遊間コンビ”として、日々確実に成長を続けている。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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