プールA:パナマ 多くのメジャーリーガーを生んだ中米の野球大国

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2023年03月01日 07:54  ベースボールキング

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ベースボールキング

パナマ代表
◆ パナマ野球の歴史

 ロッド・カルー(ツインズなど)、マリアーノ・リベラ(ヤンキース)という殿堂入りの名選手を生んだパナマは中米の野球大国と言っていいだろう。

 パナマ運河建設を巡ってアメリカの後押しでコロンビアから独立したという歴史は、この国の野球人気を導いた。

 常夏の気候は、年中のプレーを許し、マイナー下位の選手で構成されている冬のプロリーグ、「プロベイス」より、ウィンターリーグ終了直後に実施される高校世代による全国大会や、各州代表がしのぎを削る夏季のアマチュア国内リーグの方が人気を博している。

 WBCには、2006年の第1回大会に出場。続く第2回大会にも参加したものの、2大会連続の第1次ラウンド敗退で、第3回大会からは予選からの出場となった。しかし、本大会前年に行われる予選にはメジャーリーガーの参加は望めず、以後2大会は予選敗退の屈辱を味わった。そして、昨年秋に地元、パナマシティで行われた予選において、初出場のアルゼンチン、第3回大会予選決勝で苦杯をなめたブラジルに連勝して、3大会ぶりにWBCの舞台に戻ってくることになった。

 この国の野球の歴史は1880年代にさかのぼる。まだコロンビア領だった時代の1883 年1月に、現在も冬季プロリーグのフランチャイズのひとつとなっているチリキ州で地元チームと運河建設のための作業員としてパナマにやってきたカリブ海諸島からの労働者で構成されたパナマ・クリケット&ベースボールクラブの間で野球の試合が行われたことが当時の新聞記事に記されている。

 しかし、別の説では、現在のルールの原型ができて間もない1855 年には、この年に開通したパナマ地峡横断鉄道で働いていたアメリカ人によってすでにプレーされていたとも言われる。


◆ 72年ぶりにラテンアメリカ野球の頂点に

 20世紀に入ると、多くのクラブチームが設立され、人々の間で野球は人気を博するが、1946年には、最初のプロリーグが発足し、2年後にはMLBの傘下に入った。さらにその翌年、た中南米カリブ地域のプロリーグチャンピオンの集うカリビアンシリーズが開始されると、記念すべきシリーズ開幕戦で「スパーコーラ・レフレスケロス」が、プエルトリコチャンピオンの「マヤゲス・インディオス」を破り、歴史にその名を残している。

 そして翌年の第2回大会では、「カルタビエハ・ヤンキース」が優勝を飾り、ラテンアメリカ野球の頂点に立っている。

 また、1955年には、川上哲治らを擁する巨人が、春のキャンプを兼ねた中南米遠征を決行。パナマでもカルタビエハなどのプロチームと試合を行った。

 しかし、このプロリーグもメジャーリーグに選手を引き抜かれるようになると、ファンの興味を失い、一旦休止となった。

 1961-62年シーズンには、国内リーグ最後のチャンピオン「マルボロ・スモーカーズ」と「セルベッサ・バルボア」がニカラグアリーグに参加、マルボロが優勝を飾り、キューバ革命に伴って休止となったカリビアンシリーズに代わる国際シリーズ、インターアメリカンシリーズに出場した。

 国内リーグはその後復活して1971-72年まで続いたが、国内経済状況の悪化などもあってプロ野球の歴史にはピリオドが打たれることになる。

 長い空白期間の後、2001年に現在のプロリーグ、「プロベイス」が発足。4チームによるリーグ戦を開始するが、首都パナマシティでの集中開催はファンの心をつかむに至らず、1シーズンで休止に追い込まれている。

 その後、2010年にドジャースの副社長、ラファエル・アビラによってプロ野球復活が試みられるが、これも1シーズンで頓挫。2011年にプロベイスが復活し、現在に至っている。


 リーグチャンピオンは、2013年よりコロンビア、ニカラグア、メキシコ(ベラクルスリーグ)とともにラテンアメリカンシリーズに出場。

 この大会は2019年の第7回大会をもって終了するが、この最後の大会の後、ベネズエラの出場、開催返上を受けて、パナマにカリビアンシリーズへの招待状が届く。

 パナマは急に舞い込んだ自国開催と出場を受諾。代表チーム、「エレーラ・トロス」は、急遽メジャーリーガーをかき集め、自軍のユニフォームを着せてシリーズに臨み、見事優勝。72年ぶりにラテンアメリカ野球の頂点に立った。


◆ マイナーやメキシコや台湾でプレーする選手が中心

 今回の代表チームは、マイナーリーガーやメキシコや台湾でプレーしている選手に中心の陣容に名なっている。

 投手陣には、エンゼルスで2018年には2ケタ勝利を挙げ、昨シーズンも11回先発を務めたハイメ・バリア、ロッキーズのリリーフとして3勝を挙げたジャスティン・ローレンス、それに台湾の中信兄弟でプレーするアンディ・オテロらの名がある。これをまとめるのはレイズ控え捕手、クリスティアン・ベタンコートということになるだろう。

 野手陣では、昨シーズンレイズとアスレチックスで101試合に出場したクリスティアン・ベタンコートや2017年にカージナルスで100試合に出場したこともあるアレン・コルドバ(ユニオンラグナ/メキシカンリーグ)の名があるが、一方で、マイナーでは2013年を最後にプレーしていないルイス・カスティージョ(元タイガースマイナー)をロースターに入れるなど層が決して厚くはないことをうかがわせる。

 パナマは、台湾で開催されるプールAで第1次ラウンドを迎える。このプールには地元台湾のほか、2大会連続で4強入りしているオランダ、第2回大会準優勝のキューバ、イタリアが名を連ねている。


文=阿佐智(あさ・さとし)






【公式発表】パナマの最終ロースター
Team Panama's #WorldBaseballClassic roster: pic.twitter.com/NOljDMDUhC— World Baseball Classic (@WBCBaseball) February 10, 2023

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