推定年齢214歳! 潮干狩り中に重さ1キロ超の二枚貝を発見(米)

0

2023年03月03日 18:11  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

手のひらに収まり切らないほど大きな貝を持つ発見者の男性(画像は『Tallahassee Democrat 2023年2月27日付「Clam believed to be 200+ years old ― named ‘Aber-clam Lincoln’ ― found at Alligator Point」(Alicia Devine/Tallahassee Democrat)』のスクリーンショット)
このほど浜辺で貝を集めていたアメリカの男性が、重さ1キロを超える非常に大きな二枚貝を発見した。手のひらに収まり切らないほどのサイズであるこの貝を調べてみると、なんと214年前の1809年に誕生したことが分かったのだ。貝は樹木と同じように貝殻の増えた層の数で年齢を確認することができ、2世紀以上も生きているこの貝を一目見ようと多くの人が集まったと地元ニュースメディア『Tallahassee Democrat』などが伝えた。

【この記事の他の写真を見る】

米フロリダ州フランクリン郡セント・ジェームズ島アリゲーターポイントにて先日、チャウダー(スープ料理)を作るために浜辺で貝を集めていたブレイン・パーカーさん(Blaine Parker)が、ひときわ大きなホンビノスガイを発見した。

ホンビノスガイは主に北米東海岸に生息する二枚貝で、見た目はハマグリに似ている。通常は体長約7.1〜10.9センチ、重さは約680グラム以下であるが、今回発見された個体は体長約15.24センチ、重さはなんと約1.17キロと規格外のサイズだった。この大きなホンビノスガイ1つだけで2人前のチャウダーを作ることができ、貝殻はスープボウルとして使えるほど大きなものだったという。このホンビノスガイを持ち帰ったブレインさんは「普通に食べるつもりでしたが、よくよく考えると特別なものかもしれないので、殺さないでおこうと思いました」と調理直前で食べるのを止めたという。

ブレインさんはエッカード大学(Eckerd College)で環境学と海洋科学の学位を取得したばかりで、同州にある非営利で運営を行う教育施設および海洋研究所「Gulf Specimen Marine Laboratory」に検体収集メンバーとして所属していた。ブレインさんは発見したホンビノスガイを同研究所に持ち込み、本当に特別なものなのかを調べてもらうことにした。貝は樹木の年輪と同じように年を取るごとに貝殻に層が増えていくといい、1つの層は1年を表すため研究者らはこの層から貝の年齢を推定するという。実際に貝殻に増えた層を数えてみると、このホンビノスガイの年齢は214歳であり、2世紀以上も生きていることが判明したのだ。

214年前の1809年は、第16代アメリカ合衆国大統領であるエイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の誕生年だった。このことからブレインさんは英語で二枚貝を意味する“Clam”という英単語を使い、発見したホンビノスガイに“エイブラクラム・リンカーン(Aber-Clam Lincoln)”と名前を付けた。


同研究所の関係者によると、エイブラクラム・リンカーンは史上4番目に長生きの貝であると考えられているという。最も長寿の貝は2007年にアイスランド沖で発見された“ミン(Ming)”という名前のアイスランドガイだ。ミンは507歳であると記録が残っており、これは世界最高齢の生き物として2013年11月にギネス世界記録として登録されている。

エイブラクラム・リンカーンを含めホンビノスガイの驚異的な寿命の長さについて研究者らは、ホンビノスガイの代謝率が驚くほど低いことが一因であると考えている。カンザス大学が299種類の絶滅した二枚貝と現存する二枚貝のエネルギー必要量を調べたところ、エネルギー必要量が少ない種は絶滅を免れたことが判明した。同研究で共同リーダーを務めたブルース・リバーマンさん(Bruce Lieberman)は米ネットメディア『Christian Science Monitor』にこのように語っていた。

「適者生存の代わりに、生命の歴史を表すより良い比喩表現は“最も怠惰な者は生き残る”、あるいは“少なくとも怠惰な者は生き残る”になるかもしれませんね。」


なお貝の正確な年齢を知るためには、解剖のような詳しい検査が必要になるという。最高齢のミンのケースでは、詳細検査を行ったことで当初推測されていた年齢より104歳も年を取っていたことが判明していた。このことからエイブラクラム・リンカーンもさらに高齢である可能性が十分にある。

エイブラクラム・リンカーンの発見がニュースになると話題を呼び、200年以上も生きた貝の姿を一目見ようと一日に100人もの人が同研究所を訪れたという。一時的に人気を集めたエイブラクラム・リンカーンだったが、先月24日にメキシコ湾沖に放たれた。ブレインさんは「飼育環境下で長く生きることは難しいだろうと考えました。エイブラクラム・リンカーンは海に留まる権利を得たのです」とコメントを残した。

画像は『Tallahassee Democrat 2023年2月27日付「Clam believed to be 200+ years old ― named ‘Aber-clam Lincoln’ ― found at Alligator Point」(Alicia Devine/Tallahassee Democrat)』『Gulf Specimen Marine Lab 2023年2月20日付Facebook「Aber-clam Lincoln in all his glory!」「The oldest Ocean Quahog is “Ming” which was found off the coast of Iceland in 2006」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

    前日のランキングへ

    ニュース設定