プールC:アメリカ 年々本気度を増す優勝候補筆頭

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2023年03月03日 23:11  ベースボールキング

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連覇を目指すアメリカ
◆ アメリカ野球の歴史

 言わずと知れた野球の母国。トッププロリーグである『メジャーリーグベースボール(MLB)』はもはやアメリカのリーグというより、世界のトップリーグとして世界中からタレントを集めている。

 その結果、球団数が増えても、プレーレベルが下がることはない。その世界最高峰の舞台で鍛えられた野球大国、アメリカ人メジャーリーガーを集結させたナショナルチームは、無論のこと「世界最強」であるはずだ。


 19世紀からの長いプロ野球の歴史をもち、そのメジャーリーグを頂点に、幾重にも連なるマイナーリーグ、それに独立リーグが続く層の厚さは、世界中からそこに集まる選手とも相まって他の追随を許さないプレーレベルを保ち続けている。

 伝統的に国際大会においてはプロは積極的にはかかわってこなかったが、大学生を中心としたナショナルチームでも世界トップレベルと渡り合い、「プロ解禁」となった五輪ではマイナーリーガー主体のチームでも、金(2000年/シドニー大会)、銀(2021年/東京大会)、銅(2008年/北京大会)とそれぞれメダルをひとつずつ野球の母国に持ち帰っている。


 しかし、WBCの舞台では、2017年の第4回大会で優勝するまでは、準決勝まで駒を進めたのは1度のみ。ファンの期待を裏切っている。ちなみに、準決勝に進んだ2009年第2回大会では、侍ジャパンに決勝進出を阻まれている。

 これはチームUSAが強くなかったというより、「本気度」の問題であることは、前回大会で強豪プエルトリコ相手に8−0という圧勝で決めた優勝を見ればわかるだろう。

 大会の認知度が回を重ねるごとに増すなか、ファンも選手もこの大会に対するモチベーションは上がってきている。契約社会のアメリカらしく、シーズンへのリスクを恐れて、あるいは契約上の問題から出場を辞退する選手もいるだろうが、これはどこの国も同じ。

 ただし、アメリカの場合はその層の厚さから少しばかりの辞退者にはビクともしない。当然、今大会も「オールメジャー」の布陣で、チャンピオンフラッグを守るつもりでいる。


◆ 超豪華布陣で連覇を狙う

 投手陣に関しては、参加を表明していたサイヤング賞3度のメジャー通算197勝左腕クレイトン・カーショー(ドジャース)が高額な年俸を大会参加に伴う保険でカバーできないという理由で辞退することとなり、世界中に衝撃を与えた。

 ファンにとっては勝敗度外視で、国際舞台で彼がどんなピッチングをするのか楽しみなところだったが、このような問題は今後も大会の課題として残っていくだろう。


 その先発陣だが、通算195勝のアダム・ウェインライト(カージナルス)や2ケタ勝利8度のランス・リン(ホワイトソックス)らで賄うだろう。

 加えて、当初大会途中から参加可能の指名投手枠に入っていた元ソフトバンクのニック・マルティネス(パドレス)や、巨人で2015年から3シーズンプレーし、2度の2ケタ勝利を記録ししているマイルズ・マイコラスもロースターに名を連ねることとなった。ともに日本野球を知りつくしているだけに対決することになれば、侍ジャパンにとって厄介な存在となるだろう。

 アジアの野球を知っているという点では、韓国で4シーズンプレーし、先発投手として48勝を挙げたダイヤモンドバックスのメリル・ケリーの存在もチームUSAにとっては心強い存在だ。

 ブルペンには、昨季メッツで19ホールドのアダム・オッタビーノ、レイズで22ホールドのジェイソン・アダムらがセットアッパーとして控え、試合の最後はブリュワーズで15セーブを挙げたデビン・ウィリアムズ、パイレーツで19セーブのデビッド・ベッドナーで締める算段だ。


 攻撃陣は投手陣にもまして豪華だ。

 何と言っても今回は大谷の相棒、マイク・トラウト(エンゼルス)が参加を表明。キャプテンとしてチームを引っ張る。

 昨季ナ・リーグMVPのポール・ゴールドシュミット(カージナルス)、46本塁打で本塁打王に輝いたカイル・シュワバー(フィリーズ)、打点王のピート・アロンソらスラッガーぞろいの打線は今大会1、2を争う豪華打線だ。

 扇の要のキャッチャーにも、昨季22本塁打・21盗塁の走攻守三拍子そろったJ.T.リアルミュート(フィリーズ)に、24本塁打のウィル・スミス(ドジャース)がおり、打線に切れ目がない。ヤンキースの日系4世カイル・ヒガシオカは、日の丸ではなく星条旗の下、世界一を狙う。


 アメリカはプールCで1次ラウンドを迎える。このプールには北米大陸のライバル・カナダとメキシコに加え、2度目の本戦出場となるコロンビア、初出場のイギリスが入っている。正直なところ、比較的楽なプールと言えよう。この点は、この大会が、MLBによる招待大会であることが作用していることは否めない。

 このことは、開催地についても当然のごとくアメリカに有利に働く。今大会の米国内の会場は、ともにメジャーのキャンプ地の集まるアリゾナ州とフロリダ州となっている。選手の移動の負担は、他チームに比べ極めて小さい。

 また、不入りに悩むマイアミ・マーリンズの本拠ローンデポ・パークで準々決勝以降を行うところには、ビジネスのうまさを感じる。

 一方で、「完全ホーム」の状態で行われる大会で恥はかけない。チームUSAの目指すのは連覇あるのみだ。


文=阿佐智(あさ・さとし)




【公式発表】アメリカの最終ロースター
Team USA's #WorldBaseballClassic roster: pic.twitter.com/gaRgkK5f11— World Baseball Classic (@WBCBaseball) February 10, 2023

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