【東北高校】ヒロシさんの道徳の時間、心に響いたバケツの話し

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2023年03月10日 12:31  ベースボールキング

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本日3月10日、今月18日に甲子園球場で開幕するセンバツ高校野球の組み合わせ抽せんが行われました。大会初日の第一試合で山梨学院(山梨)と対戦するのが東北高校(宮城)。佐藤洋監督が掲げる「エンジョイベースボール」が話題を集めていますが、佐藤監督の就任後、チームはどのように変わったのでしょうか? 佐藤響キャプテンにお話を聞きました(取材は昨年12月)。



■練習メニューは自分たちで決めていきたい
ヒロシさんが監督になるまでは、練習で疲れ果てて、全体練習後の個人練習などは全くできないような状態でした。それが、自分たちで中身の濃い練習メニューを考えて取り組めるようになったことで、良い意味で余力が残った状態で、全体練習後も室内練習場が部員でパンパンになるくらい、みんな20時過ぎまで個人練習を行うようになりました。

毎日の練習メニューは各ポジションのリーダー達と意見を出し合いながら決めています。リーダー達が「あ、こういう練習も必要だな」とか考えながらやっているので、大体は「それ、俺もやりたいと思ってた」みたいな感じで、スムーズに決まることが多いです。みんなの意見が合致したときは「チーム一体だなぁ」と感じます。でも、毎日毎日そういう時ばかりではなくて、意見がぶつかるときも多々ありますが。



小中学校時代も含めてになりますが、これまでは監督の目を気にしながら、決められたメニューをこなすという部分がありました。でも、今は自分たちでメニューを考えますし、それが楽しいです。
監督がいない日は「そういえば今日、監督いなかったな」くらいの感じで、監督の目を気にせずに練習に集中できています。やっぱり、自分たちが考えて「コレをやる!」と決めた以上は、それを全うしないといけないと思っていますし、それが一番集中できると実感しています。
今までは、練習をやらされている雰囲気というのは正直あったのですが、自分たちで練習メニューを決められるようになってからは毎日がとても充実しています。

ヒロシさんがきて、これまでとやり方が180度変わって、それで秋の宮城大会で優勝できて、東北大会も準優勝することができました。初めて、自分たちのやってきたことは正しかったんだなと思いましたし、今の練習メニューを自分たちで決めるやり方を一生続けていきたいなと思いました。


■大切にしている「4つの言葉」
伝統ある東北高校の野球部が丸坊主をやめて髪を伸ばすとか、練習が緩く見えるとか批判の声を耳にすることもありました。自分がたまたま練習を見に来た外部の人間だったとしても「なんじゃこりゃ!?」ってなると思います。でも、やっぱり主役は自分たちですし、「楽しそうにやってるなぁ!」と評価してくれる方も多いですし、批判的な声に対しては、自分たちが結果を出すことによって、良い意味でそれを裏切っていきたいと思っています。



チームのなかで一番大事にしているのはヒロシさんの「道徳の時間」です。みんなも話を聞きながらメモを取ったりしています。
自分が印象に残っているのは「無償の愛」、「一糸乱れず」、「人事を尽くして天命を待つ」、「勝利の女神は綺麗好き」という4つの言葉です。その言葉の意味は、どれも自分たちに欠けていたことばかりだったと思います。この話を聞いて、それを意識するようになってから、日頃からそういう言葉が飛び交うようになって、自分たち=(イコール)この4つの言葉、という感じができてきました。試合中もこの4つの言葉が選手達の口からバンバン出てくることによって、みんなが落ち着いて、練習通りのプレーができるようになったと感じています。

もう一つ、道徳の授業でヒロシさんにしてもらった話で大切にしている話があります。それは、一つのバケツがあって、自分がそれまでやってきた掃除とか、自主練とか、人としての行いとか、そういったものが一つずつ水滴になってバケツに溜まっていって、それが溢れたときに甲子園というものが現実になるという話です。
それが心に染みて、自分が野球をやっている意味とかを振り返るきっかけにもなりました。
道徳の時間は、難しい単語が出てくることはありますけど、分かりやすくて初めて聞く話が多いです。たまにオヤジギャグも出ますけど(笑)。(取材・写真:永松欣也)

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