石灰化した胎児を9年間も腹部に抱えていた女性、栄養失調で死亡(米)

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2023年03月12日 05:11  Techinsight Japan

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死亡した50歳女性の腹部(画像は『Metro 2023年3月10日付「Woman died of starvation after carrying unborn foetus inside her for nine years」(Picture: BMC)』のスクリーンショット)
このほどアメリカで、石灰化した胎児を9年間も腹部に抱えていた女性が死亡したことが明らかになった。女性は胎児が亡くなったことを知っていたものの、医師に対する不信感からその後の治療を受けなかったという。英タブロイド系ニュースメディア『Metro』などが伝えている。

アメリカを拠点とする女性の健康情報ウェブサイト『BMC Women’s Health』に今月7日、栄養失調で死亡した50歳女性の症例が掲載され、多くの注目を集めている。女性は中部アフリカに位置するコンゴ民主共和国の出身で、難民としてアメリカに渡ってきた。

女性はアメリカに到着して1か月が経とうとした頃、腹部に不快感があり米ニューヨーク市内の病院を受診した。女性は当時、医師に「消化不良を起こして、食後にいつも腹部からゴボゴボという異音がする」と訴えていたそうだ。医師は女性がアメリカに到着する半年前に受けた、難民に義務付けられた健康診断の報告書を確認したところ、石灰化した胎児が腹部にあることと、原因不明の本態性高血圧であることが分かった。

検査の結果により、石灰化した胎児は女性の腸を塞いで重度の腸閉塞と栄養失調を引き起こしていたことが判明した。この石灰化した胎児は、女性が9年前に身ごもった第9子だった。当時の女性は、紛争から逃れるためタンザニアに渡って難民生活を送っていたが、その時に妊娠したという。

しかし胎児の胎動が感じられなくなり、心配した女性は難民キャンプの医療施設を訪れた。そして残念なことに、医師からは死産を告げられてしまった。その際に「2週間経っても胎児が自然に体外へ排出できなかった場合、再度受診するように」と医師に言われたこともあり、うまく排出できなかった女性は再受診した。

だがこの時、医師から「麻薬の使用で子供を殺した」と非難され、それが原因で医療施設に行くことを止めてしまったそうだ。その後、胎児を腹部に残したまま数年が経ち、アメリカに渡った。ニューヨーク市内で受診した医師からは石灰化した胎児を取り除く手術を勧められたが、女性は「アメリカに来る前、地元の魔女に呪いをかけられた」と主張して手術を拒否したという。

その後も女性は手術を拒み続け、最初の受診から14か月後に栄養失調で死亡した。この女性の症例は「患者の医療不信」の問題に焦点があてられ、米国内に拠点を置く医師の間で「移住してきた難民を治療する際のより良い医療モデルを追求するように」と呼びかけられた。

ちなみに今回のように子宮内で死亡して石灰化した胎児を「石胎(せきたい)」と呼び、非常に珍しい症例とのことだ。2017年にはインドで、当時52歳の女性が15年もの間、腹部に放置されていた石灰化した胎児を摘出する手術を受けていた。女性は「中絶したと思った」と語っていたという。

画像は『Metro 2023年3月10日付「Woman died of starvation after carrying unborn foetus inside her for nine years」(Picture: BMC)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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  • 不用意に非難した医師が悪かったね。女性には生きてほしかった。
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