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昨年まで中日ドラゴンズでプレーし、現役を引退した平田良介さん(34)の「引退セレモニー」が3月18日、バンテリンドームナゴヤで開かれた。長年、ファンから親しまれた「背番号6」が、本拠地で節目の晴れ姿を披露した。
この日は楽天とのオープン戦があった。選手登録されていない平田さんは試合には出場しなかったが、試合前と終了後、ファンの前に姿を現した。
まずは楽天の試合前練習が終わった午後1時すぎ。現役時代のトレードマークだったオレンジ色のバットを持って、グラウンドへ。スタンドから温かい拍手と、「平田〜!」という歓声が響いた。
通常なら個人練習はない時間帯だが、この日は特別に打撃練習用のケージが用意された。球団の粋な計らいだ。
平田さんは笑顔を見せながら、14スイング。楽しそうにバットを振った。大阪桐蔭高の後輩でもある、楽天の浅村栄斗選手から花束を受け取った。
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さらに、試合前の中日のシートノックに参加。右翼の守備位置につき、打球を追った。最後に受けたノックは、右前への打球。本塁までダイレクトで送球し、ファンを驚かせた。
試合前の円陣にも加わった。「勝ってウィニングボールを僕にください」と選手たちを鼓舞。始球式では捕手を務め、長男の投げた球をしっかり受け取った。
2005年のドラフト会議で、高校生1巡目で中日に指名されて入団した。中日一筋で、現役生活17年間を全うした。1227試合に出場し、通算成績は打率2割6分8厘、1046安打、105本塁打、484打点。日本一も、リーグ最下位も経験した。
近年は成績が振るわず、昨秋、戦力外になった。他球団からのオファーを待ったがかなわず、セレモニーの類いは、ここまで催されなかった。
試合後、約3万2千人の観客の多くがスタンドに残り、平田さんのあいさつに聴き入った。
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「まだやりたいという気持ちがないといえば、うそになります。しかし、引退発表するまでに納得することができた。体はもう思った通りに動かない。だからこそ、現役をやめることができました。今まで毎朝、ご飯を作ってくれた家族のみんな、ありがとう。そして、プロ野球選手になる体をつくってくれたオトン、オカン、ありがとう。これでプロ17年間……、にピリオドを打つことができます」
涙がほおをぬらしていた。(山田佳毅)
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