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コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。定食屋チェーン「やよい軒」は2006年の創業時から朝食メニューを提供しており、21年3月にリニューアルして現在に至る。メニューの開発経緯や戦略について、運営企業のプレナス(東京都中央区)に取材した。
やよい軒は全国364店舗のうち294店舗で朝食メニューを展開(23年2月末時点)しており、想定ターゲットは30代以上の男性だという。実際には通勤前のビジネスパーソンはもちろん、シニアの方や若い女性も含め、しっかりと朝食を食べたい幅広い世代が利用しているそうだ。
朝の時間帯は限られた時間で店を選び、食事を済ませる必要があるため、「一度利用して満足してもらえれば、リピートの可能性が高まる」(担当者)と考えているという。そのため和洋食の定番をそろえているほか、毎日でも利用しやすい価格帯に抑えている。
●人気のメニューは?
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人気のある朝食メニューは「目玉焼き朝食」(480円)、「納豆朝食」(370円)、「しらすおろし朝食」(390円)。人気の理由について担当者は、「価格の手ごろさはもちろん、多くの人に親しみやすい定番だからではないか」と話す。実際の利用者からは、注文を受けてから焼いている「焼魚の品質」も評価する声も多いという。
やよい軒ではご飯のおかわりが自由(無料)であることをご存知だろうか。朝食の利用者層についても、「しっかり食事を摂りたい」ニーズをとらえていると担当者は説明する。
コロナ前までは利用客が自身で炊飯ジャーからご飯をよそう方式だったが、感染対策が必要になったコロナ禍でも同サービスは廃止せず、20年9月に「ごはんおかわりロボ」を全ての店舗に導入して対応した。
「ロボ化」したとはいえ、コロナ前からおかわりはセルフサービスだった。あくまで感染リスクを下げるための対応で、コスト(人件費)削減を意図したものではない。なぜここまでして「ご飯おかわり自由」の継続にこだわったのか?
担当者は「やよい軒といえば『ご飯おかわり自由』という位お客様に認知していただいている」とした上で、「ご飯の残量を気にせず、好きなだけ、お腹いっぱい食べられる」ことを特に重要な提供価値と捉えているからだという。使用する米にもこだわっているそうで、1994年に自社精米を導入し、計画的に精米を行うことで鮮度の良い状態で店舗へ届ける体制づくりを構築したとのこと。
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定着したブランドイメージは価格競争に巻き込まれにくいといわれているが、飲食店にとって冬の時代ともいえるコロナ禍に投資を行った背景には、こうした優位性を保つための判断だったといえるだろう。
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