
美術館に入ろうとする猫と、防ごうとする警備員のやりとりで話題になる尾道市立美術館(広島県)。約4カ月ぶりに再会を果たした場所は、正面玄関ではなく事務所の裏口でした。
ケンちゃんと馬屋原さん
近くのレストランで飼われているケンちゃんが、最初に注目を集めたのは2017年3月。
開催中だった「猫まみれ展」の会場に入ろうとして、警備員・馬屋原定雄さんに阻止される様子がツイッターで紹介されたのがきっかけでした。
その後も「猫と警備員の攻防」としてたびたび話題になっていますが、侵入を試みるのは警備員が馬屋原さんの時がほとんど。
馬屋原さんが来るのは特別展の時だけなので、そのたびに美術館職員は攻防戦を期待してカメラを構えています。
2月末からウロウロ
昨年、ケンちゃんと馬屋原さんが最後に会ったのは11月6日。
秋の特別展「隙あらば猫 町田尚子絵本原画展」の最終日でした。
今月11日から春の特別展が始まり、約4カ月ぶりに出勤中の馬屋原さん。
ケンちゃんも「そろそろかな」とわかるのか、2月末から美術館周辺に現れ、クンクンとにおいを嗅いで回ります。
「冬の間は姿を見せなかったんです。レストランに会いに行った時も『ほとんど家から出ない』と聞いていたので、やっぱりわかるんですかね」
そう話すのは、いつも攻防を撮影している美術館職員です。
始業前の裏口で
会期2日目の12日、昼ごろにケンちゃんが正面玄関に現れますが、遠目に見るだけで近寄ってきません。
ガラス越しに馬屋原さんが近づこうとすると、今度はプイッとあっちへ行ってしまいました。
まるで避けられているかのようですが、それから5日後の朝、無事に再会を果たします。
始業前、事務所の裏口にやってきたケンちゃん。
まるで「ドアを開けて」と言わんばかりに、前でじっと座っていると、気づいた馬屋原さんが開けてあげます。
「よう来たのぉ」と体をなでられると、しっぽをピンと立てて「ニャーン」と応えました。
12日昼に近寄ってこなかった理由について、美術館職員はこう推測します。
「馬屋原さん以外に来館者も多くいたので遠慮したのかもしれませんね。裏口で甘える姿を見るとそうとしか思えないです」
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