東京ファッションの100年を紐解くショーをAIが演出　ディレクターは山口壮大

　「東京クリエイティブサロン 2023」に参画している「渋谷ファッションウイーク」が、ファッションディレクター山口壮大が主催する文化服装学院のラボ 「CULTURAL LAB.」とコラボレーションしたファッションショー「SHIBUYA RUNWAY “THE
INCUBATION”」を開催した。ランウェイショーに登場した衣装は3月21日から27日まで西武渋谷店B館1階で展示され、アーカイヴ動画は3月31日に公開される。

　ショーのテーマは、「偉大なデザイナーのマスターピースや時代を築いたコレクション、ストリートを風靡した現象を未来を担う学生の多様な視点で新たに紐解き、ファッションの変遷として一望する」。文化服装学院に残る膨大なアーカイヴデータを、文化服装学院のデザイン科・流通科の学生たちが現代の目線から再解釈して制作したコレクションルックは、着物をもとにしたものに始まりモガファッションやゴスロリ、2000年代のギャル風、廃棄問題等の環境へのメッセージを思わせる現代的な表現へと歴史を追うように構成され、往年のデザイナーによる1980年代のアーカイヴピースも登場した。
　ショーの演出には、「ステーブル ディフュージョン（Stable Diffusion）」というAIが使用された。文化服装学院に残る約1万点のファッションスタイルの資料をもとに年代、デザイナー、デザインの特徴等を機械学習させたファッション特化のAIを構築。AIが生成した当時のムードを持ちながらも実在しない未知のアーカイフヴスタイルをベースに作られた華やかな映像でショーを彩った。情緒的にアーカイヴからインスピレーションを得る学生のルックと、知性的に学習したAIが構築するコレクションピースを並べることで、多角的に歴史を振り返ることができるショーに仕上げたという。
　ショー終了後、渋谷ファッションウイーク実行委員長の大西賢治は、「ファッションカルチャーの年表を体感するかのようなランウェイショー
を楽しんでいただけたら嬉しい。渋谷は多様なファッションを包み込む街。そして、いつの時代もカルチャーを生み出し発信してきた。人それぞれの装いで春の渋谷で楽しんでほしい」とコメント。山口壮大は「歴史にと学生に向き合い丁寧に紡いでいきたいと考えて取り組んだ。現状、まだまだクオリティがアンコントローラブルなAIを活用する非常に挑戦的な取り組みだったので、熱心に頑張ってくれる学生たちとでなければ難しかった。一緒に挑めて良かった」と、学生たちとの活動を振り返った。

■渋谷ファッションウイーク 2023 春 期間：2023年3月11日（土）〜3月31日（金）会場：渋谷駅周辺エリア各商業施設ほか
参加施設：cocoti SHIBUYA、SHIBUYA109渋谷店、渋谷キャスト、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ストリーム、渋谷ヒカリエ、渋谷ヒカリエ ShinQs、渋谷マークシティ、西武渋谷店、東急プラザ渋谷、MAGNET by SHIBUYA109、RAYARD MIYASHITA PARK、Bunkamura
公式サイト ■「SHIBUYA RUNWAY “THE INCUBATION”」衣装展示期間：2023年3月21日（火・祝）〜3月27日（月）会場：西武渋谷店 B館1階所在地：東京都渋谷区宇田川町21-1