WBCで侍ジャパンの打線が奮闘する理由 ヌートバーは「ペッパーミル」でファンの心掴む

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2023年03月21日 07:30  AERA dot.

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侍ジャパンで1番打者として活躍するヌートバー
 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表(侍ジャパン)は準決勝でメキシコと対戦する。大谷翔平だけでなく、ラーズ・ヌートバー、近藤健介、村上宗隆にも注目が集まっている。AERA 2023年3月27日号の記事を紹介する。


【写真】貴重な大谷のバントヒットの瞬間はこちら*  *  *


 WBCで侍ジャパンの打線の奮闘が見逃せない。特に1番のラーズ・ヌートバー(カージナルス、25)、2番の近藤健介(ソフトバンク、29)はチャンスメイクの役割で期待以上の働きを見せている。


 ヌートバーはWBC日本代表に日系人大リーガーとして初めて選出された。日本野球機構(NPB)でプレー経験がなく選出された時は評価が分かれたが、今大会のシンデレラボーイとなっている。


 1次リーグの4試合で14打数6安打、打率4割2分9厘。出塁率5割7分9厘と2回に1回以上出塁している。2戦目の韓国戦では3点を追いかける三回無死一、二塁で中前適時打を放ち、逆転の呼び水となった。


 中堅の守備でも球際に強い。中国戦の1点リードの三回1死で中堅前に飛んだ浅い飛球をスライディングキャッチ。韓国戦でも1点リードの五回1死一塁でダイビングキャッチした。いずれも試合の行方がまだどちらに転ぶか分からない状況だっただけに、チームに勇気を与えるビッグプレーだった。


■「ペッパーミル」も定着


 ファンの心もがっちりつかんでいる。打席に入る際にスタンドから「ヌーーート!」の掛け声が。ヌートバーが発案したコショウをひく「ペッパーミル」のパフォーマンスもナイン、ファンの間で定着した。韓国戦では死球を受けて怒りをあらわにする姿も。試合後のヒーローインタビューでは「ちょうど凝っていたところに当たってほぐれたので良かった」と心配を吹き飛ばす冗談を返し、「ニッポンダイスキ! ミンナ、アリガトー!」と絶叫。スタンドから大歓声と拍手が注がれた。


 近藤もMVP級の活躍だ。当初は鈴木誠也(カブス、28)を右翼で起用する構想だったが、大会前に左脇腹を痛めて出場辞退。打線の組み替えが迫られた中、「2番・右翼」で組み込まれたのが近藤だった。


■ミート能力と選球眼


 日本は国際舞台で犠打などの小技と機動力を絡めた「スモールベースボール」で戦うイメージが強いが、卓越したミート能力と選球眼の良さに定評がある近藤が2番に入ることでチャンスが広がり、ビッグイニングにつなげている。1次リーグ4試合で15打数7安打、打率4割6分7厘。出塁率はヌートバーを超える6割と驚異的な数字だ。韓国戦ではアーチを放つなどツボにハマれば一発もある。相手バッテリーからすれば、これほど神経を使う打者はいないだろう。


 侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は、村上宗隆(ヤクルト、23)をキーマンに挙げる。1次リーグは全4試合で4番に座り、14打数2安打、打率1割4分3厘と打撃の状態が上がらなかったが、準々決勝のイタリア戦は「5番・三塁」でスタメン出場し、五回に今大会初の長打となる左中間適時二塁打。七回にも左翼のグラブをはじく二塁打でマルチ安打と復調の兆しを見せている。


 このスポーツ紙記者はこう期待を込める。


「大谷に対しての警戒が強まり、相手バッテリーがまともに勝負しないケースが出てくるでしょう。後を打つ打者が大事になってくる。村上は4、5番とどの打順でも不思議とチャンスに打席が回ってくる。大舞台での強さを発揮してほしい」


 準決勝のメキシコ戦は日本時間3月21日午前8時から。勝利したら3大会ぶりの頂点が見えてくる。ラストスパートは文字どおり、総力戦で戦う。(ライター・今川秀悟)


※AERA 2023年3月27日号より抜粋


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  • WBCで侍ジャパンの打線が奮闘する理由? いや、国際大会だし奮闘するのが普通だろ。しない理由は無い。
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