アニメ映画『SAND LAND』のビジュアル (C)バード・スタジオ/集英社 (C)SAND LAND製作委員会 『ドラゴンボール』などで知られる漫画家・鳥山明氏の漫画『SAND LAND』(サンドランド)が、映画化されることが決定した。アニメーション制作はサンライズ・神風動画・ANIMAが担当し、8月18日に全国で劇場公開される。
【画像】鳥山先生色が強い!公開された『SAND LAND』のビジュアル 3種類 同作は、『週刊少年ジャンプ』で2000年23号〜36・37合併号に短期集中掲載された作品で、魔物と人間が共存する、水を失った摩訶不思議な砂漠の世界を舞台に、悪魔の王子・ベルゼブブが、魔物のシーフ、人間の保安官・ラオと奇妙なトリオを組んで砂漠のどこかにある「幻の泉」を探す危険な旅に出るストーリー。
全1巻で完結する読み切りでありながら「冒険、アクション、ユーモアのバランスが完璧。鳥山明氏の魅力がすべて詰まっている」「鳥山先生の真骨頂である戦車とじいさんと冒険。ストーリーと絵のクオリティを存分に味わえる傑作」など、今なお熱く語り継がれている伝説的な名作として知られている。
また、1978年に漫画家デビューしてから多くの歴史的作品を全世界に送り出してきた鳥山明氏が、週刊連載にも関わらず、冒頭から結末まで、アシスタントなしで一人で描き上げた唯一の作品となっている。
映像化については昨年12月に千葉・幕張メッセで行われたイベント『ジャンプフェスタ2023』内で発表されており、その際、3DCGを独自の技術で2Dセル画のように仕上げた作風の55秒の映像が公開されて話題となっていた。
■鳥山明(原作者)コメント
――「SAND LAND」はいつどのように誕生したのですか?
「ドラゴンボール」も終わり、いろいろ短編や読み切りも試してみたし、最後のつもりで今の自分を出し切った作品を描いてみようと思いました。今思っても、コミックス1巻分限定とはいえ、週刊連載だったのにアシスタント無しで、すべて一人だけでよく描いたな。って自分で驚きます。
――「SAND LAND」が最も好きな作品と言い切れる部分はありますか?
自分で漫画を描く場合、好みなのは地味目で軽い内容。という受けにくいもの。じつはこれでも、軽いって部分を抑え、頑張って真面目なストーリーにしたつもりなんですよ。
理屈からいえば、自分の最新作の漫画が一番好きなはずです。しかし今から思えば、少なくても画力と気力はこの「SAND LAND」を描いたあたりはスゴかったなって感じがします。
――鳥山先生ご本人だけが感じる、本作の独自の魅力や特徴とは?
「SAND LAND」は、ペン入れした紙原稿をスキャンしてPCに取り込み、ソフトを使ってベタ塗りや自作のトーンを貼って仕上げました。たぶんほとんど寝てなかったんじゃないかな…。
全話描き終えた後、デビュー前から使っていた愛用の木製ペン軸を失くしてしまいました。ナイフやサンドペーパーであれこれ削ったり、使っているうちにすり減ったりして長い時間をかけて手に馴染んだペン軸でした。新しいペン軸を買って、あれこれ削ってみたものの、どうもしっくりきません。以降、漫画をほとんど描かない言い訳にしています(笑)
――キャラ、メカ、世界観、ストーリーが凝縮された「鳥山先生色」がとても強い作品と評されることをどう思いますか?
たしかにそうかもしれませんね。読者のことももっと考えなきゃいけないのに、好みを優先してしまった気がします。プロ失格かもしれません。
――23年経って映画化されることをどう思いますか?
これを楽しいって言ってくれる人って、まさに僕にとっては、わかってる神ファン!って感じじゃないでしょうか。
――現状の制作中の映像等を見てどのように感じられますか?
拝見したのはまだまだ未完成な部分が多い映像でしたが、それでも非常に高いクオリティは十分に感じられました。まさか映像化されるなんて思ってもみなかった上に、このクオリティですから、この時点で夢のようです。