フェラーリ499Pのレースでの“遅さ”に驚くトヨタ「予選セットアップは一切しない」/WEC第1戦

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2023年03月22日 11:40  AUTOSPORT web

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スタート直後のみ、レースをリードしたフェラーリ499P 2023年WEC第1戦セブリング
 WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルをワン・ツーで終えたトヨタGAZOO Racingのテクニカル・ディレクター、パスカル・バセロンは、レースにおけるトヨタGR010ハイブリッドと、フェラーリ499Pとのペース差に「驚いた」と語った。

 デビュー戦のフェラーリ499Pは50号車アントニオ・フォコのアタックにより予選でポールポジションを獲得。しかし、レースではトヨタが圧倒的なペースを見せつけ、7号車GR010ハイブリッドのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスがシーズン開幕戦を制した。

 フォコのポールタイムは、トヨタの予選ベストタイムを約0.2秒上回るものだった。しかし、レース中のベストラップでみると、最速だったトヨタ8号車のセバスチャン・ブエミに対し、フェラーリ勢のベストラップは約0.6秒、遅いものだった。

 決勝レースは、スタート直後こそフェラーリがリードしたが、2台の499Pが序盤のセーフティカーでピットインした後は、トヨタが主導権を握る展開に。50号車フェラーリ499Pが、セーフティカー終了時にフォコがライン手前でアストンマーティン・バンテージGTEをオーバーテイクしたとしてドライブスルーペナルティを受けた一方、トヨタはロングランで強いペースを保ち、圧倒的な勝利を手にした。

 トヨタのバセロンは、「明らかに、レースへのアプローチが違っていた」と指摘する。

「我々にとって、予選は決して優先事項ではない。我々は常に、決勝でのペースを考え車両を開発している。F1のように、上位グリッドにつければ良いレースができるわけではない。我々は予選セットアップは一切しない」

「このことが、この結果を説明しているのだろう。我々は、レースペースの差に驚いている」

 一方、フェラーリのGTおよびスポーツレースカー担当のフェルディナンド・カンニッツォは「予選ではかなり良い準備ができたと思うが、レースではもっと改善する必要がある」と語っている。

「もちろん、非常に難しいと感じたのは、トラフィックでの走行だ。とても難しかったので、今後に向けては考えなければならないことがあるかもしれない。しかし、このレースでは多くの情報、多くの興味深いものを得ることができた」

「ミスがあったとしても、そこから学んで、今後同じことを繰り返さないようにすることができる。すべての領域で、小さなことでも改善できることがたくさんあると思う」

■「彼らはすぐに我々に近づくだろう」と警戒するバセロン
 バセロンはまた、ハイパーカーのいくつかのライバルがこのクラスに初めて参加することを念頭に、トヨタにとってはセブリングでできるだけ多くのポイントを獲得しておくことが、「目標」であったと述べた。

 フェラーリのル・マン・ハイパーカー(LMH)だけでなく、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとキャデラックのチップ・ガナッシ・レーシングも、ともにWECに初めてLMDh車両を投入。“伸びしろ”はあるものと考えられる。

「我々は、いくつかのニューカマーに感銘を受けた」とバセロンは述べている。

「フェラーリは、そのクルマでトラブルなく8時間を走った。キャデラックも、とても印象的だった。彼らはすぐに我々に近づくだろう」

 ロペス、可夢偉とともにポイントリーダーとなったコンウェイは、トヨタが序盤のレースで、ロングランでの戦い方を確認したことを示唆した。

「最初の数スティントは、タイヤマネージメントとダブルスティントをこなすことで、僕らがライバルに対してどのように戦うかを確認することができた」

「とてもうまくいったし、特にタイヤをキープする必要があるときは僕らにペースがあったようで、それがアドバンテージになった」

「フェラーリは戦略から外れてしまい、彼らの思い通りにならなかった。その後は、僕らのレースペースで、リードを広げることが目標となった」

 フェラーリから抜け出した後、トヨタの2台はレース中ずっと拮抗していたが、中盤に差し掛かったところで可夢偉が8号車の前に出て行ったときに初めて、差が広がった。

「近年、我々は楽なレースをしてきたと言われるが、決してそうではない」とバセロン。

「今日もまた、とてもストレスの多いレースだった。我々の2台のマシンは全開で、それを管理するのが難しかった」

「8時間後に2台が3秒以内でフィニッシュしているのだから、複雑で、とても難しいのだ。事実上、同等だったと言える」

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