侍ジャパンの救世主・ヌートバー 次回WBCは米国と「争奪戦」の可能性

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2023年03月22日 19:35  AERA dot.

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会見で話す日本代表のラーズ・ヌートバー
 WBC決勝・米国戦で3−2と激闘を制し、14年ぶりの世界一に輝いた侍ジャパン。村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)にアーチが飛び出し、投手陣も米国の強力打線を2失点でしのいだ。そして最後は劇的なフィナーレが待っていた。「3番・指名打者」でスタメン出場の大谷翔平(エンゼルス)が1点リードの9回に抑えで登板。最後はエンゼルスのチームメートのマイク・トラウトを空振り三振と無失点で締めて、マウンド上で勝利の雄たけびをあげた。


【写真】「やっぱり“侍ジャパン”に選んでほしかった投手」がこちら この試合で逆転の2点目を奪う内野ゴロを放ったのが、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)だった。村上のソロで追いつき、なお1死満塁の好機で左腕のアーロン・ループ(エンゼルス)に2ナッシングと追い込まれたが、簡単には終わらない。3球目の内角に食い込むツーシームに詰まりながらも一ゴロを放ち、三塁走者の岡本が勝ち越しの本塁生還をした。ナインたちにハイタッチで迎えられたことが、価値ある凡打であることを証明していた。


 1次ラウンド4連勝の立役者の一人は、間違いなくヌートバーだろう。「1番・中堅」で全試合スタメン出場し、14打数6安打で打率.429をマーク。2番・近藤健介と共にチャンスメークした。外野の守備でも好守を連発。凡打でも全力疾走を怠らず、闘争心を前面に出すプレースタイルでファンの心をつかんだ。ナインにも片言の日本語で積極的に話しかけ、ミドルネーム「たつじ」の愛称から「たっちゃん」と呼ばれ、すっかり溶け込んだ。安打や適時打を打った際に塁上で行う「ペッパーミルパフォーマンス」はベンチだけでなく、観客を巻き込んで大ブームに。ヌートバーは決勝戦後のインタビューで、「言葉にできないし、チームに入れて光栄です。信じられない。(侍ジャパンでWBCに出場できたことは)人生最高の決断です。全ての方々に感謝しています」と語り、「ニッポンダイスキ!ミンナアリガトー!」と日本語で満面の笑みを浮かべた。


 ヌートバーの真骨頂は出塁率だ。決勝ラウンドの準決勝、決勝で安打は出なかったため打率.269と下がったが、この指標だけでは貢献度を図れない。際どい球を見極める選球眼で計7四死球を選び、出塁率.424。ナインもヌートバーが優勝に不可欠な存在であることを認めている。優勝後にマウンド付近で行った胴上げ。栗山英樹監督、ダルビッシュ有(パドレス)、大谷に続いて胴上げされ、3度宙に舞った。


 日本の野球ファンからは「次回のWBCにもたっちゃんが出て欲しい」と早くも待望論が出ているが、米国駐在の通信員はこう語る。


「ヌートバーはまだ25歳と若く、メジャーで将来を嘱望される若手として注目されています。現時点で言えば、米国代表のスタメンに入る実力に至っていませんが、これから大きく伸びる可能性を秘めている。次回のWBCで米国代表として声がかかる可能性がある。日本も当然招集を熱望するでしょう。その時にヌートバーがどういう決断を下すか注目されます」


 次回のWBCで、どのような決断を下しても野球ファンは理解を示すだろう。今回の活躍でヌートバーのファンが日本国内で一気に増えた。メジャーリーグでの今後の活躍を願うばかりだ。(今川秀悟)


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  • たっちゃんの場合、子供の時から「僕は日本人。日本代表に入りたい」って言ってたから本人の意思が尊重されるなら日本じゃないかな。大谷、ダルも参加するなら尚更。
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