生後間もなく肝疾患が見つかった女児、臓器提供してくれた女性と対面を果たす(米)

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2023年03月23日 23:11  Techinsight Japan

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ある日、肌が黄色く黄疸が出ているように見えた女児は、生後間もなく「胆道閉鎖症」と診断され肝臓移植が必要だと告げられた。その後無事に生体肝移植手術を受け、肝臓の一部を提供してくれた匿名ドナーだった女性と対面することができた(画像は『Good Morning America 2023年3月8日付「Infant meets woman who saved her life by donating a piece of her liver」(Courtesy The Murphy Family)』のスクリーンショット)
昨年11月、アメリカで暮らす生後7か月の女児が生体肝移植手術を受けた。生後まもなく「胆道閉鎖症」と診断され、医師から肝臓移植が必要だと告げられた女児は、匿名ドナーの協力により一命を取り留めることができたという。そして手術から3か月が過ぎた今年2月、女児は命の恩人であるドナーと初めて対面した。米メディア『Good Morning America』が伝えた。

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米オハイオ州で暮らすトリシア・テラオ=マーフィーさん(Tricia Terao-Murphy)は昨年3月17日、娘のエマちゃん(Emma)を出産した。

出生時は健康そうに見えたエマちゃんだったが、それからほどなくして胆道閉鎖症を抱えていることが判明した。

胆道閉鎖症とは肝臓で作られる胆汁の通り道である胆管が閉塞または消失してしまう疾患で、生後間もない赤ちゃんに発症するという。

この病気の原因は不明だが、胆汁を排泄できずに肝臓内に溜まってしまうと黄疸を引き起こし、放っておくと肝臓の組織が破壊され「胆汁性肝硬変」に進行し、最終的には死に至るため早期の治療が必要だ。

トリシアさんはエマちゃんの病気が発覚した時のことをこう振り返った。

「エマが生まれた時、健康上の問題はなく全てが順調でした。でもある日、少し黄疸が出ているように見えたのと、体重があまり増えていないことが気になったんです。娘の肌が黄色く見えるのは家の照明のせいなのか、または私が心配しすぎなのか…それを確認するため私たちはエマを救急外来に連れて行くことにしました。そして診察を受けたところ、残念ながら良い結果ではなかったのです。」

その後、医師から肝臓移植が必要だと告げられたエマちゃんは昨年11月、匿名のドナーから肝臓の一部を譲り受け、同州のクリーブランド・クリニック(Cleveland Clinic)にて腹腔鏡による生体肝移植手術を受けた。

同クリニックによると、肝臓移植を受ける人のうち生体肝移植を受ける人は全体の約5%だそうで、ドナーから提供された肝臓の一部が患者の体内で成長することで肝機能を正常に回復させることができるという。また、ドナーの肝臓は数か月で通常の大きさと容量に再生するとのことだ。

手術後、エマちゃんの命を救ってくれたドナーがどんな人物なのか気になっていたというトリシアさんは、「私と夫はエマに肝臓を提供してくれた人は誰なんだろう…と話していました。男性なのか女性なのか、家族に移植を受けた人がいる人なのか。私たちは他の人の命を救うために自分の身体にメスを入れることができる心優しい人たちを尊敬しているのです」と語った。

そして手術から約3か月が経った今年2月7日、エマちゃんはついに自分を助けてくれたドナーのロリ・サイツさん(Lori Seitz)と対面を果たした。


ロリさんが臓器提供を行ったのはこれが2度目だそうで、彼女が初めてドナーになったのは2020年、当時腎臓がんを患っていた兄弟に腎臓を提供した時だった。

「当時は臓器提供によって何が起こるのか、何を期待すればいいのか全く分かりませんでしたが、このままだと兄弟が命を落としてしまうことは明らかでした。だから彼を助けるためにできる限りのことは何でもするつもりだったんです。」

そう振り返ったロリさんは腎臓摘出手術を終え、回復に向けて入院している間、再び臓器提供をしたいと思うようになったと明かした。

「私が臓器を提供したことによって彼がどれほど元気になったことか…彼の姿を見て自分は本当に素晴らしいことをしたのだと実感したのです。だから肝臓も提供したいと思い、再びドナーになれると分かった時はとても嬉しく思いました。だって私が他の人の命を救うことができるのですから。」


最初の出会いから1週間後、エマちゃんとロリさんは再会し家族と一緒にロリさんの誕生日を祝ったという。

奇しくもロリさんの誕生日である2月14日はバレンタインデーでもあり、さらにアメリカでは臓器提供に関する認識と教育を広めることを目的として制定された「ナショナル・ドナー・デー(National Donor Day)」にあたるそうだ。

画像は『Good Morning America 2023年3月8日付「Infant meets woman who saved her life by donating a piece of her liver」(Courtesy The Murphy Family)(Cleveland Clinic)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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