ASUS JAPANから「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip(CX5501)」(以下、CX55 Flip)が発売された。本製品がこれまでのChromebookシリーズと異なるのは、「ゲームに強いChromebook」をうたっていることだ。
ラインアップは、CPU別にCore i5-1135G7モデルとCore i3-1115G4モデルの2モデルが用意されている。同社の直販ストア「ASUS Store」での価格は、前者が11万9800円、後者が8万9800円で、今回試したのは後者のCore i3モデルだ。
●がっしりとした15.6型のボディーで多彩なスタイルに対応
CX55 Flipは、国内で売れ筋となる15.6型のノートPCだ。ボディーサイズは約357.6×244.16(奥行き)×18.5〜19.1(厚さ)mm、重量は約1.95kg(実測で1.954kg)と大きめで重量もそれなりにあるが、部屋から部屋の移動など屋内で利用するのであれば十分活用できる。
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液晶ディスプレイのサイズは15.6型で、画面解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)だ。パネル表面はグレアタイプなので映り込みはするものの、ゲーム画面などはパキッとして見える。液晶ディスプレイの上部に、約92万画素のWebカメラも内蔵されている。
CX55 Flipは製品名通り、ディスプレイを360度回転して使えるため、画面を開いてノートPCのように使う「ノートPCスタイル」、テントのように立てて使える「テントスタイル」、キーボード面をスタンドのようにして使う「スタンドスタイル」、360度回してタブレットのように使う「タブレットスタイル」の4つで利用できる。
画面は10点マルチタッチ操作に対応しており、液晶ディスプレイを開くとキーボード面に約3度の傾斜が付くエルゴリフトヒンジを採用する。また、液晶ディスプレイの天面はマグネシウム合金を採用しており、剛性感は十分にある。
●Chromebookとしては高速なCPUを採用
評価機のCPUはCore i3-1115G4(2コア4スレッド/3.0GHz〜4.1GHz)と、Chromebookの中では高速な部類に入る。より性能を求めるなら、上位モデルのCore i5-1135G7(4コア8スレッド/2.4GHz〜4.2GHz)を選びたい。
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GPUはいずれもCPU内蔵で、評価機がIntel UHD Graphics、Core i5モデルがIntel Iris Xe Graphicsとなる。メモリとストレージの容量は共通で、メモリが8GB(Core i3はLPDDR4X-2933、Core i5はLPDDR4X-3733)、ストレージはPCI Express 3.0 ×2対応の128GB SSDが搭載されている。
インタフェースは左側面にUSB 3.2 Gen2 Type-Cポート、USB 3.2 Gen2 Type-Aポート、3.5mmイヤフォンジャック、ボリューム調整ボタンと電源ボタンが並ぶ。一方の右側面にはUSB 3.2 Gen2 Type-CポートとHDMI出力ポート、microSDカードスロットが用意されている。
なおUSB 3.2 Gen2 Type-Cポートは、本体への給電(USB Power Delivery)とデータ転送、映像出力(DisplayPort Alternate Mode)が可能だ。無線LANはWi-Fi 6に対応し、Bluetooth 5.0もサポートする。
●テンキー付きキーボードを搭載
キーボードはテンキーを備えた日本語配列で、WASDキーにオレンジの縁取りがなされている。WASDキーはご存じの通り、ゲームではキャラクターの移動などに使う重要なキーであり、ゲームをメインに押し出している本製品ならではといえる。ゲームをプレイしていると画面に夢中になってしまうので、WASDキーが目立つ仕様は、少し下に目をやるだけでキーの位置を確認できるのでよいと思う。
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キーピッチは実測で約19mm、キーストロークは約1.4mmと十分にある。ただしテンキーは横幅が約9mmと狭くなっており、Enterキーなどとの間隔も空いていないのでミスタイプを誘いがちだ。また、「む」「ろ」「¥」キーが右隣のキーと隣接していたり、キー入力時はカチャカチャという音がやや耳障りに感じた。
一方、キーボードバックライトを備え、白色LEDが点灯するので、暗い場所でも打ちやすい。欲を言えば、ゲーミングキーボードのようにカラフルに光ってほしいところではある。
ちなみに、ゲームプレイで欠かせないNキーロールオーバーとアンチゴースト機能はサポートしており、ゲームプレイ時に複数のキーを同時押ししても対応してくれる。
付属のACアダプターはUSB Type-Cになっており、最大45Wの給電に対応する。バッテリー駆動時間(3セル/50Wh)は、Google独自の測定で約9.3時間となっている。
続いて、ベンチマークテストや実際のゲームタイトルで本機の実力を見ていこう。
●ベンチマークテストで実力を見る
ここからは各種ベンチマークテストを実行する。Chrome OSではAndroid端末用のアプリも動作するため、今回はAndroid版アプリで計測している。
クロスプラットフォームで計測できる「Geekbench 5」の結果は、シングルコアで1152ポイント、マルチコアで2691ポイントだった。これは以前紹介した、第10世代のCoire i7-10510U(4コア8スレッド/1.8GHz〜4.9GHz/TDP 15W)を搭載した「ASUS Chromebook Flip C436FA」と比べると、倍以上のスコアだ。本機のCPUがCore i3-1115G4であることを鑑みると、性能の差がはっきりあらわれたといえよう。
続いて、Webブラウザベースのベンチマークテスト「Octane 2.0」を実行してみたところ、スコアは58824ポイントだった。こちらもASUS Chromebook Flip C436FAのスコアである49295ポイントと比べ、大幅に差をつけている。
最後にWindows PCの総合ベンチマークテストアプリとしても有名な「PCMark」と「3DMark」のAndroid版をテストした。
まずは「Work 3.0」のスコアだが、12069ポイントだった。また「Sling Shot」と「Sling Shot Extreme」では「Maxed Out!」と振り切れており、フレームレートの結果を見てもほぼ60fpsを達成している。「Wild Life」のスコアも6204ポイントと健闘した。これだけの性能であれば、「ゲームができるChromebook」というASUSのうたい文句はその通りであるといえよう。
●実際にゲームをプレイしてみた
基本的な性能が分かったところで、ゲームをプレイしてみた。ChromebookではAndroidのゲームを遊べるが、今回の本題はそこにはない。試すのはNVIDIAが提供するクラウドゲームサービス「GeForce NOW」だ。
GeForce NOWではSteamやEpic Games、Ubisoftといったプラットフォームと連携でき、全てではないがGeForce NOWで動作するゲームをプレイできる。今回、ASUSが推奨するクラウドゲームプラットフォームでもある。同様なサービスとしては、「Xbox Cloud Gaming(β)」もある。
筆者の持つゲームライブラリーでも、「Fortnite」や「Apex Legends」といった人気FPSゲーム、「DEATH STRANDING」や「Battlefield V」などのタイトルをプレイしてみた。
搭載されているディスプレイのリフレッシュレートは、ゲーミングPCらしく144Hzと高速だ。GeForce NOWがサポートするリフレッシュレートは60Hzのため、十分に余裕をもってプレイできた。
また、本体に用意されているサウンド機能がharman/kardon監修を受けており、本体のスピーカーだけでもクリアなサウンドを楽しめる。実際、没入感の高いプレイが可能だった。
ゲームプレイ中も、システムの負荷はそれなりに高くなって冷却ファンの風切り音が耳に付くが、ボディーの発熱は抑えられている。
●仕事にもゲームにも活躍できるChromebook
ここまで見てきたように、ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip(CX5501)は、必要十分な性能を持つPCであるということが分かる。Windows PCの環境では、CPUがCore i3-1115G4と聞くと不安を覚えるが、Chrome OSのおかげかとてもサクサクと動く。
ゲーム面を強化したというスペックも、GeForce NOWでのプレイはミドルクラスのCPUを搭載したWindowsマシンと同様に十分に楽しめた。仕事にも遊びにも活躍が期待できるCX55 Flipは、それに十分に応えてくれるモデルだと思う。
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