プロに聞く「子どもの英語学習のコツ 」– 何歳までに始める? 親が気を付けるべき声がけは?

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2023年03月24日 16:31  マイナビニュース

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入園・入学など、新しい物事が始まる4月は習い事を始めるにも絶好のタイミング。



お子さんの将来のため、早いうちから英語を習わせたいと考えているものの、「何歳から始めたらいいんだろう」「英語学習を習慣づけるにはどうすれば?」と思案している親御さんも多いのではないでしょうか。



そこで、子ども向け英会話教室「イーオンキッズ」担当の柘植睦子先生に、英語学習を始めるタイミングや、楽しく英語を学ぶ環境づくりについて聞きました。


■英語学習、音声獲得の面では「6歳より前」のスタートがおすすめ



――子どもの英語教育を始めるおすすめのタイミングを教えてください。



研究が進んだ結果、「〇歳」とひと括りには言えないことがわかっています。



年齢よりも、何らかのきっかけでお子さんが英語に興味を持ったタイミングを逃さずに、学習の機会を与えてあげるのが一番です。親御さんが「英語を学ばせたい」と思うタイミングと、お子さんが「英語を学びたい」と思うタイミングが一致しているのが理想ですね。



さまざまな物事が始まる4月は、英語学習をスタートするにはとても良いタイミングではないでしょうか。



――「遅くとも〇歳までに英語学習を始めたほうがいい」など、目安となる年齢はありますか?



何歳から初めても遅いということはありませんが、聴覚は5〜6歳で完成すると言われているので「音声の獲得」という観点から言えば、それより前に学習を始めたほうが圧倒的に有利です。その意味では、遅くとも6歳になる前に、日常的に英語を聞いたり話したりして、音に慣れておくといいでしょう。



6歳までの子どもは右脳の働きが活発で、感覚的に英語をとらえることができます。加えて、小学校に入って「国語」として日本語を学ぶようになると、日本語のルールが急速に蓄積されていきます。その前に抵抗なく英語を吸収するという意味でも、6歳までに英語学習を始めるのがおすすめです。



――6歳までであれば、いつ始めても同じなのでしょうか?



実はそうではありません。2歳ごろに、母語の語彙が急増する「爆発期」と呼ばれる時期があります。さらに、3歳になると日本語のおしゃべりが上手になって、ある程度大人とコミュニケーションが取れるようになりますし、物覚えも良くなります。



これらを踏まえると、3歳までに英語学習を始めると非常に効果的ですし、日本語習得にも良い影響が出ます。



――「幼児が英語を学ぶと日本語習得に悪影響が出るのでは」と懸念する人もいますが、そのような心配はないのですね。



心配はいりません。家庭内で日常的に日本語を使っていれば、日本語習得に悪影響が出ることはありません。



年齢によっては「日本語を話している」「英語を話している」といった自覚はありませんが、子どもは柔軟なので、日頃家族や友だちとコミュニケーションを取る中で、感覚的に日本語と英語の区別ができるはずです。

■子どもを英語好きに育てるコツ



――子どもの英語学習へのモチベーションを上げるために、保護者はどのような働きかけをすればいいでしょうか?反対に、してはいけない言動はありますか?



お子さんを「英語好き」に育てたいなら、保護者の方が英語に対してポジティブな意識を持っていることがわかるような言動を意識していただきたいです。



実は "英語嫌い"にさせるのはすごく簡単です。「やらないと学校に行って困るよ」「お母さん、英語苦手だったんだよね」「お父さんは英語が全然わからなくて困ったけど、○○(お子さんの名前)には困らないでほしいから、今やったほうがいいよ」といった発言をしてしまうと、子どもは英語学習に対してポジティブな感情を抱きにくくなります。



ご自身に英語への苦手意識があったとしても、「やらないと困るよ」ではなく、「お母さんも/お父さんも、英語が使えるといいなと思ってるんだよね」とポジティブな表現に置き換えましょう。



その際は、英語学習を学校の成績や受験に結びつけるような発言はできるだけ避けて、英語ができるようになるメリットを、スポーツや音楽といった本人の興味・関心に関連づけるなどして、お子さんの個性に合わせて伝えてください。



「今英語でなんて言ったのかな?」など、保護者がお子さんの英語学習に興味を示すことも非常に大切です。



――お子さんと英語学習について話すときは、どのような声かけをすればいいですか?

問い詰めるように一方的に質問するのではなく、お子さんが習ったことを得意げに披露したくなるように、自然な会話の流れで学んだことを引き出してあげてください。



反対に、「今日のテキスト開いてみて。何習ったの?日本語で説明してみて」「この英語の文を読んでみて。それをお母さんに日本語で伝えて」のように、お子さんを"テスト"するような言動は避けたほうがいいですね。



レッスンの後は、「今日は楽しかった?どんなことを習ったの?」と英語で聞いてあげてもいいですが、保護者が英語が得意でない場合は、お子さんが習ったテキストの音源を一緒に聞いて、「今何て言ったのかな?お母さん聞き取れなかったけど、聞けた?」と尋ねるようにすると「○○って言ってたよ」という風に会話が広がっていきます。

■家庭での英語学習は「ルーティン化」と「学びたくなる空間づくり」がポイント



――家庭で英語を学習する際に、おすすめの教材を教えてください。



未就学児の場合、一番身近で情操教育にもつながるという点で、絵本の読み聞かせがおすすめです。



ディズニーやピクサーのアニメや映画、歌などもいいですね。「マザー・グース」と呼ばれる童謡は、歌ったりリズムに合わせて身体を動かしたりしながら楽しく英語が覚えられます。今はYouTubeでも簡単に動画を見ることができますよ。



また、「これ英語で何て言うんだろう?」というときにすぐ調べられるように、タブレットや辞書などがあると便利です。未就学児の場合は、絵のあるものがいいでしょう。



話の材料、あるいは外国に目を向けるきっかけとして、地球儀などもいいですね。「ここはどこの国かな?」「○○先生はイギリスから来てるんだって。イギリスってどこかな?」などと、会話が広がっていきます。



――子どもが楽しく英語を学ぶために、保護者はどのような環境づくりを意識すればいいのでしょうか?



「時間づくり」と「空間づくり」がポイントになります。まず時間づくりの面では、「朝食後の10分間を英語絵本読み聞かせタイムにする」など、英語にふれるルーティーンをつくるようにしてください。NHKのEテレなど、子ども向けの英語番組を見ることを習慣にしてもいいです。



1回あたりの時間は短くてもいいので、ある程度英語学習の習慣がつくまでは、英語にふれる時間帯や曜日を決めて、できるだけ英語と日本語をごちゃ混ぜにしないことをおすすめします。



空間づくりに関して言えば、英語に関するグッズをリビングの一画などに集めて、英語のコーナーを作ってしまうといいです。辞書なども、子ども部屋ではなく、すぐ手に取れるリビングに置いておいたほうがいいですね。

■英会話スクールは「年齢」と「レベル」に合わせて選ぶ



――英語教育は家庭とスクールの両軸でやっていくのが効果的かと思います。英会話スクール選びのポイントを教えてください。



お子さんの年齢や、英語学習の経験・レベルに合ったクラスやカリキュラムがあるスクールを選ぶといいと思います。



幼児で始める場合も、未就学児向けのクラスだけでなく、小学生・中学生・高校生向けのクラスもあって、長期的に英語学習に取り組めるスクールがいいでしょう。



また、ネイティブの講師だけでなく、日本人の講師もいるスクールがおすすめです。日本語を母語とする講師が英語を使って働いているのを見ることで、「大きくなったら先生みたいに話せるようになりたいな」という動機づけになります。



お子さんが、言いたいことをうまく英語で言えなくてもどかしい思いをしているときも、日本人講師は子どもの表情から気持ちを推し量って、話せるように持っていくのが上手ですし、文法の学習や英検対策などでも頼りになります。

■「グループ」or「マンツーマン」、それぞれのメリットを理解して選択を



――英会話スクールにはグループレッスンとマンツーマンレッスンがありますが、どのように選ぶといいのでしょうか。



それぞれにメリットがあるので、タイミングや目的に合わせて柔軟に選ぶといいです。



グループレッスンは、人前で英語を話すことに慣れて度胸がつくということと、ほかのお子さんとの協調や助け合いが学べるのがメリットです。一方、マンツーマンのメリットは1人ひとりのニーズに合わせて細かな対応ができることで、面接対策や資格試験対策ならマンツーマンに勝るものはありません。



英語学習が初めてのお子さんなら、最初の数回はマンツーマンレッスンを受けて、スクールの雰囲気や通うことに慣れてからグループレッスンに切り替えるという手もあります。普段はグループレッスンを受けつつ、長期休暇のときはマンツーマンレッスンを追加するなど、状況や目的に合わせて、柔軟にレッスン形態を変更したり、追加したりできるところもいいでしょう。



英語学習は、お子さんをその気にさせて、やる気が高まっているタイミングを逃さないようにすることが大切です。保護者の方には、「本当に続けられるかな」と深刻に考えすぎず、お子さんが一歩前に踏み出す後押しをしてあげてほしいですね。



春奈 はるな 和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。信念は「人生は自分でつくれる」。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・広報として活動中。旅行やECをはじめとした幅広いジャンルの記事を執筆している。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。ブログ「トラベルホリック〜旅と仕事と人生と〜(https://harubobo.com/)」も運営中。 この著者の記事一覧はこちら(春奈)

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