「第1回新潟国際アニメーション映画祭」押井守審査委員長が総括「かなり画期的」

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2023年03月25日 07:00  ORICON NEWS

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「第1回新潟国際アニメーション映画祭」コンペティション部門受賞者の記念撮影
 3月17日〜22日まで新潟市の合計8つの会場にて開催された「第1回新潟国際アニメーション映画祭」。会期中にはりんたろう監督の14年ぶりの新作のワールドプレミア上映や大友克洋レトロスペクティブ、片渕須直監督自身による最新作についてのトークなどが行われ、最終日のにはりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館にて、コンペティション部門の授賞式が開催された。

【画像】「第1回新潟国際アニメーション映画祭」受賞作品キービジュアル

 グランプリに輝いたのは、村上春樹の6つの短編(「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「めくらやなぎと眠る女」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」)を基にした『めくらやなぎと眠る女』(監督:ピエール・フォルデ)。

 審査委員長を務めた押井守は「ご覧になった方は非常に驚かれたと思いますが、一見すると非常に地味なスタイルなんですけども、現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員(ほかに国際審査員のジンコ・ゴトウ、デヴィッド・ジェステッド)の意見が一致した、唯一の作品です」と受賞の理由を明かした。

 ほか、同映画祭ならではのユニークな賞として創設された傾奇賞(かぶく)賞には『カムサ - 忘却の井戸』(監督:ヴィノム)が、境界賞には『四つの悪夢』(監督:ロスト※故人)が受賞したことが発表され、奨励賞を『劇場版「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン」』(監督:牧原亮太郎)が受賞した。

※傾奇賞(KABUKU Award):従来の価値観に捉われず、斬新で新しいものに挑戦し、創造していく作品に与えられるもの。「傾奇」とは戦国時代末期から江戸時代の潮流で、「歌舞伎」の語源ともなった言葉。当時、常識から外れた派手な装いや行動をする者を「傾奇者」と呼んだことに端を発する。

※境界賞(Evolve Award):「2D」や「3D」「コマ撮り」といった制作手法、またはジャンルのさまざまな境界に捉われず、アニメーションの世界に進化を与える作品に与えられるもの。英語の表記になった「Evolve」にはアニメーションの「進化」の意味が込められている。

■押井守審査委員長の総評

 この結果は、映画をご覧になった方は意外な受け止め方をしているかもしれません。もしかしたらひっくり返っているかもしれない。実は、今回審査にはいろいろと問題がありました。最大の問題は、これだけ多様な表現の作品が10本並んだところで通常の映画のような評価の仕方が果たして通用するのかどうかといったことが、審査の冒頭で議論になりました。

 アニメーションの表現は、本来からして多様なものなんです。その作品にフィットしたスタイルというものが必ず存在する。今回は作品の主旨をそれに一番適合したスタイルが存在するかどうか、通常の映画祭の審査とはやや異なる審査基準で決定しました。

 グランプリを除いた3つの賞を審査員が協議して新たに作り出した、いわばあまり前例のない賞なんですけれども、それぞれ作品の置かれている、あるいはアニメーションという表現が置かれている今日的な立ち位置、おかれた立場、それを象徴する賞となっています。

 境界賞には多少説明が必要だと思いますが、アニメーションの周辺には、劇映画だけではなくたとえばミュージッククリップであったり、隣接する領域の中で優れた作品がたくさん存在します。同じように、アニメーションの制作スタイルも時代に合わせて刻々と変わってきます。例えば、これからゲームで使用されているゲームエンジンを使って映画を作り出す時代が来ると思います。これだけ多様な表現があり、多様な制作方法があり、さらに言えば、地域で異なる制作の動機が存在します。それらを、従来と同じ審査基準で相対的に評価していくことはたぶん不可能、ということで3人の審査員の意見が一致しました。

 ことアニメーションに関して言うなら、そこに集まった作品の中から自動的に賞が生まれる。それが正しいやり方ではないかと。画期的ではありますけど、この映画祭の初回にふさわしい、今日的な賞になっているのではないかと自負しております。特にグランプリ作品に関してはですね、ご覧になった方は非常に驚かれたと思いますが、一見すると非常に地味なスタイルなんですけども、現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員の意見が一致した、唯一の作品です。

 最後に申し上げたいのは、今回参加していただいた10本の作品のクオリティの優劣を決めるための賞ではないということです。参加してくれた監督さん、プロデューサーの方々、関係者の方々、どうか僕を恨まないでください(笑)。今回の作品は、どれも大変素晴らしい作品が並んだと思います。僕の想像を超えて良い作品が集まって、とてもうれしいと思っています。やや意外な結果になったかもしれませんけども、新潟国際アニメーション映画祭、第1回に相応しい、かなり画期的な賞になったんではないかと考えています。それは違うだろ、というような考え方の方もいらっしゃると思いますが、それは私に文句を言ってください(笑)。どうもありがとうございました。

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