ブルーロック、弱虫ペダル、テニスの王子様……2.5次元でも大人気 舞台で“映える”漫画の条件

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2023年03月25日 07:01  リアルサウンド

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 「週刊少年マガジン」(講談社)で大好評連載中のエゴイストFW育成サッカー漫画『ブルーロック』(原作:金城宗幸・漫画:ノ村優介)が2023年5月に舞台化されることが決定した。


(参考:【写真】絵心甚八の再現度がすごい! 舞台『ブルーロック』のビジュアルを見る


 同作は、日本をW杯優勝に導く世界一のストライカー育成を目的とした「ブルーロック(青い監獄)」プロジェクトを描くサッカー漫画。第45回講談社漫画賞少年部門も受賞した人気沸騰中の作品だ。そんな最中の舞台化とあって注目度は高い。すでに公開されているキャラクタービジュアルも好評で、大きな期待が寄せられている。


 そこで、ふと考えた。そもそも『ブルーロック』は舞台化に向いているのだろうか。


 現在、年間170本を超える2.5次元舞台が上演されているという。しかしもちろん、その全てが舞台化に成功するわけではない。では、どのような漫画が舞台化に向いているのだろうか。舞台化したときに“映える”漫画の条件とは? これまでの2.5次元舞台の傾向から3つのポイントを挙げてみた。


1.個性あるキャラクターが多数登場する作品


 そもそも2.5次元舞台とは、一般的に漫画、アニメ、ゲームを原作とした舞台・ミュージカル作品全般を指す。原作から飛び出してきたかのようなキャラクターが、目の前で原作そのものの世界観を生きることが最大の魅力である。


 そのため、役者たちは“キャラクターそのもの”を表現することに力を入れるので、個性あるキャラクターが多数登場する作品ほど舞台化した際に“映える”。“普通の高校生”“平凡な見た目”では、メイクやウィッグなどの効果も限定され、生身の役者がそっくりそのままに似せるのは非常に難易度が高いからだ。


 逆に、個性豊かな見た目、キャラクターであればあるほど似せやすい。2.5次元舞台の中でもシリーズ化されているような人気作はいずれもこの傾向が強いと感じる。そうした点から見ると、全てのキャラクターに個性がある『ブルーロック』は舞台映えしやすい作品だといえる。


2.物語の区切りがある作品


 舞台の上演時間は、通常、休憩も含めて2〜3時間だ。(休憩がない公演もある)つまり、その2〜3時間という上演時間内に物語を終結しなければならない。


 例え続編を作る予定があったとしても、山場のまま次シーズンに持ち越す“ハングオーバー”はあまり好まれないと感じる。というのも、舞台は「生」だからだ。今はアーカイブ配信があったり、DVDなどのメディアが発売されることも多いが、基本は「劇場で生で観る」ことを前提にしているので、公演が終わってしまえば「見返せないもの」なのだ。続編が翌月から始まるならまだしも、1年後に上演が予定されているとしたら、それまでにせっかく盛り上がった気持ちも途切れてしまう。なので、モヤモヤを残さない、良い形で物語を終結することが大事になる。


 もちろん、例えば全20巻の漫画を3時間に収めることは不可能なので、どこかで区切ることになるのだが、その時に、読者がすんなりと受け入れられる“区切り”がある作品は舞台化しやすいといえるだろう。2003年から現在まで上演され続けているミュージカル『テニスの王子様』を例に挙げると、同作は基本的には毎回、2試合分の物語が描かれる。そうすると、全国大会の途中で物語が終わったとしても、試合自体は完結しているのでスッキリした気持ちで帰ることができるのだ。そう考えると、比較的スポーツ漫画は区切りをつけやすいように思う。『ブルーロック』は区切りという点でも、舞台映えしやすい漫画ではないだろうか。


3.2次元の世界を舞台上で表現できる作品


 2.5次元舞台の醍醐味の一つは、再現不可能と思われる世界観やキャラクターの動きをどうやって舞台上で表現するかにある。例えば、「テニミュ」といわれる人気作品『テニスの王子様』のミュージカルでは、光と音でテニスのボールを表現し、俳優たちがラケットを持って踊ることで試合を再現。舞台『弱虫ペダル』では自転車のハンドルを持った俳優たちが走ることで、自転車に乗っている姿を見せている。


 『進撃の巨人』‐the Musical‐はというと、映像やパペットで巨人を登場させながら、その物語の世界観をダンスで表現。このように、いかにして、原作の世界観をリアルに再現することは、舞台映えするか否かを分ける重要なファクターとなっている。ただ、これは舞台の魅力を引き立たせる漫画の条件というよりも、演出家、プロデューサーの腕にかかっているともいえるのだが…。


 舞台『ブルーロック』ではサッカーを舞台上でどう表現するのか。潔世一たちのサッカーの技術やプレイのやりとりをどう見せるのか。もちろん、それは幕が開いてみなければ分からない。


 とはいえ、舞台『ブルーロック』で演出を務める伊勢直弘は、これまでに同じくサッカー漫画の『アオアシ』の舞台化を手掛けており、2.5次元舞台の演出にも定評があることから、期待する声は大きい。ステージ上で、どのように潔たちは『ブルーロック』の世界を“生きる”のか。開幕を楽しみに待ちたい。


文=嶋田真己


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