内田篤人「ロールモデルコーチ」の役割は少し特別…監督にもズバッと指摘「トガさん、それじゃねーんじゃねー?」

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2023年03月25日 10:41  webスポルティーバ

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 ウズベキスタンで開催された「AFC U20アジアカップ2023」でベスト4に入ったことにより、世界への切符を手にしたU-20日本代表。

 これまでの世代別代表と大きく違うのは、ロールモデルコーチなる新たなポジションが設けられていることだ。ロールモデルコーチを務めるのは、2020年に現役を退いた内田篤人さん。監督ともコーチとも少し違う、彼の役割は少し特別だ。




 たとえば昨年6月、フランスで行なわれたモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際トーナメント)でのこと。冨樫剛一監督が新型コロナに罹患して指揮を執れなくなったため、船越優蔵コーチが代理で指揮を執った。

 船越臨時監督代行は「篤人がさ、俺の座を狙っているんだよ。『優蔵さんがコロナになったら、次は俺が監督できるんですかね』って言ってくる(笑)」と、本来のコーチに無自覚にもプレッシャーを与えていた。

 昨年11月のスペイン遠征中では、練習終了後に選手たちが内田さんを囲んで談笑するシーンを見かけた。テレビ出演の多い内田さんに「あの人に会ったことあるんですかー?」などと、10代後半男子らしいさまざまな質問が投げかけられていた。

 監督やコーチとは違う選手たちとの距離感を、山根陸(横浜F・マリノス)は「いい兄貴って感じです」と説明する。それは(内田さんだからこそではあるが)若くして引退したからこそ成立するものに感じられる。

 今回のウズベキスタンでのこと。敗れた準決勝イラク戦では120分で決着がつかず、PK戦に入った。その時のことだ。冨樫監督や船越コーチが選手たちに指示を与えるなかで、内田コーチは相手ベンチ前の様子をつぶさに観察していた。

「相手のベンチがGKにメモとか渡してないかな......と思って。佐野航大(ファジアーノ岡山)は一度PKを蹴っているから、対策してないかなとか。監督とコーチはチームのことは見ているから、俺は相手を見ておこうと思った」(内田)

 人員的な余裕があればこその動きではあっただろう。

【現在は3人の代表OBが就任】

 反町康治技術委員長は内田さんの現役引退直後、このロールモデルコーチというポジションを制定した。「最初は色眼鏡で見られるかも」としていたが、今では「必要性をすごく感じている」と話している。

 求めているのは、その名のとおり、選手たちの見本となる人物像だと強調する。

「指導者としての向学心があること。メディアの仕事をしても、ほかのチームに所属していても務められるから、立場的には楽かもしれないけど、その世代の最初から最後までしっかりやってくれ、というのが条件かな。

 あとは、その世代の監督がOKするかどうか。大岩剛の(U-22)チームは置かないと言うから、誰も入れてない」(反町)

 つまり、合宿などに中途半端に参加するのではなく、しっかりとそのチームの一員として活動を行なってほしいということ。お飾りでも名誉職でもないから、監督から求められる存在でなければ務めることはできないということだ。

 現状では内田篤人さんのほか、中村憲剛さん、阿部勇樹さんの計3人が各世代別代表でロールモデルコーチを務めているだけだ。

 冨樫監督は「役立たないロールモデルコーチなら呼んでいない」と断言し、「本当なら入れなくてよかったんだけど、(前段階で一緒に仕事をしていたこともあり)俺が入れてくださいって頼んだんだ」と内田ロールモデルコーチを望んでチームに入れたことを明かす。世界を経験した内田さんとのやりとりは、監督自身のためにもなっているそうだ。

「勉強になるよ。この大会でも選手交代含めていろんな話をしていくなかでね、『トガさん、それじゃねーんじゃねー?』って篤人が言ったところから議論して、『そうだな、(俺の案を)やめよ』って言ったこともあるし。

 ボソッと言った篤人のひと言で、俺が夜中眠れなくなって朝の5時に決めたこともある。結果的に篤人の意見のを採用したら、今度は篤人がそれに責任を感じて勝敗を気にしてずっとドキドキしている......なんてこともあったし」

 正規のコーチングライセンスを現状では持っていないながらも、スタッフの一員として責任を果たしている。

【若手にリアルなアドバイス】

 3年前まで現役だったこともあり、内田さんが選手に送る視線は温かい。内田さんのとなりで取材を受ける盒郷慮奸淵丱襯札蹈福砲吠垢海┐覽離で、こんな話をした。

「(ニコは)今日もがんがんオーバーラップしてたけど、思いきっていけるところまで行けばいいんだよ。抑えることはあとからいくらでもできるから、行ける時には思いきって行けばいい。行けなくなる時はくるんだからさ」

 その日行なわれたヨルダン戦(U20アジアカップ準々決勝)で左サイドを何度も駆け上がった盒兇離廛譟爾鮖廚さこし、自身の経験を重ねながら、同じサイドバックとしてフランクかつリアルなアドバイスを送る。

 内田さんだからできること、ロールモデルコーチだからできること──。混在はしてはいるが、特別な役割を彼がU-20日本代表でこなしていることは間違いない。

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