映画「シン・仮面ライダー」の評価が極端に分かれた理由、漫画家が分析

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2023年03月25日 12:32  ITmedia NEWS

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 庵野秀明監督の映画「シン・仮面ライダー」が公開され、さっそくボクも見てきました。すでにネット上には様々な感想が飛び交っていますが、そのほとんどが賛否のどちらかに極端に振れている印象です。なぜでしょうか。



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 まずシン・仮面ライダーの魅力の1つとして、いたるところに散りばめられたTVシリーズの小ネタやオマージュが挙げられます。ボクは仮面ライダーについてそれほど詳しくないのですが、そんなボクでも「これは……」と思うシーンがたくさんあったので、好きな人ならもっと色々楽しめる部分が多いのでしょう。そういった庵野監督の仮面ライダーへのこだわりを高く評価する人は多いと思います。



 また作品全体を通して石ノ森章太郎さんの原作に対するリスペクトを強く感じました。それはダークな雰囲気や暗めな画面構成もさることながら、特にストーリーに色濃く反映されていると思います。原作の物語の流れを縦軸に置きながら様々な怪人とのバトルを見せていくストーリーは、駆け足な印象は与えるものの、分かりにくいということはありません。諸々の細かい設定や世界観が難しいという点こそあれ、ストーリー自体はシンプルで誰でも理解できるようになっていると思います。



 一方で、登場人物の心理描写やバックボーンの描き方はかなり淡泊で、正直、登場人物に感情移入は全くといっていいほどできませんでした。ストーリーがシンプルだからこそ登場人物のキャラクターとしての魅力が重要になると思うのですが、人物描写があまりにも少ないため個人的には登場人物に魅力を感じず、話に没入できなかったのが残念です。



 シン・仮面ライダーは純粋に物語を見に行くというより、庵野監督の仮面ライダーへの愛やこだわりを感じに行くつもりのほうがより楽しめると思います。原作マンガや過去のTVシリーズはもちろん、現在もこの映画の登場人物のバックボーンを補完するスピンオフ的なマンガを連載しています。興味がある方は、これらを予習して少し知見を深めてから観に行った方がより楽しめると思います。



●著者紹介:サダタロー



1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。



●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場



漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。


このニュースに関するつぶやき

  • ま、良くも悪くも「庵野映画」ってのがオレの感想。時間と払った金の対価には値する。
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