日本代表戦をウルグアイはどう戦ったか 主力を欠く急造チームでも「相手の長所を出させない戦い」に成功

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2023年03月25日 17:41  webスポルティーバ

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 南米の強豪ウルグアイは、どのように日本と戦ったのか?

 日本戦後、ウルグアイ国内各紙のウェブ版を見渡しても、日本代表に関する記述は残念ながら乏しい。

「浅野(拓磨)に決められていたら、流れは変わっていたかもしれない」
「韓国と同じで、スピードは武器」
「後半、体力的に落ちたところ、西村(拓真)にゴールを決められた」

 最小限の説明で、批判はないが、称賛もない。

 そもそも、日本だってウルグアイに関するニュースは二の次だろう。サンティアゴ・ブエノ、フェリペ・カルバージョが代表デビューだったことやフェデリコ・バルベルデが初主将だったことが大きく報じられているわけではない。各国それぞれで重要度の高いニュースがあるのは当然だ。

 ただ、ウルグアイにとって、今回の一戦は事情が入り組んでいた。

 カタールW杯後、ウルグアイはディエゴ・アロンソ監督がグループリーグ敗退後に退任している。マルセロ・ビエルサ監督の招聘なども噂されるが、会長選の遅れなどもあって、後任は決まっていない。急遽、U‐20代表監督のマルセロ・ブロリが率いることになったが、今回のアジアツアーのために組んだ"暫定"だ。

「自分が率いるのは日本戦、韓国戦の2試合だけ。あくまで暫定監督で、できるだけ多くの情報を次の新代表監督に残すのが役目です」

 ブロリが記者会見でそう断っていたように、ひとつの興行の域を出なかった。
 
 もっとも、ウルグアイは日本を軽んじていたわけではない。彼らはピッチに立つ限り、勝負にこだわる。特に1対1の局面で負けることは、子どもの頃から許されていないだけに、かなりの激しさを見せた。球際では、熱いやりとりがあった。急造感のあるチームながら、日本のストロングポイントを出させないため、選手も戦術に適応していた。

「Recuperar rapido la pelota」(ボールを早く奪い返す)

 ブロリ監督はそれを主眼に置いていたことを明かしたが、日本が支配するゲームになることを前提にしていたのだろう。

 事実、ウルグアイは日本のよさを消していた。DF、MF、FWと3つのラインが緊密に距離を保ち、ミドルプレスでラインを越えさせなかった。その点で強固さを感じさせた。日本の攻撃が三笘薫一本やりで、左サイドバックは明らかな穴となっており、戦術的な練度が見えないのとは対照的だった。

【ゲームプランどおりの戦い】

「まずはプレッシャーをかけ、日本がやりにくい試合を目指しました。スペースを与えず、そこからのトランジションで攻撃も仕掛けた。すばらしいW杯を戦った日本代表をリスペクトし、ゲームプランどおりに戦うことができました」

 ブロリ監督はそう説明した。

 ウルグアイは短い芝に水を含んだスリッピーなピッチで戦うことにも、次第にアジャストしていった。ルイス・スアレス、エディンソン・カバーニ、ディエゴ・ゴディンなど、一時代を彩ったベテランから世代交代を図るなか、勝負を知り尽くしたチームの真骨頂だろう。好条件でないなかでも、悪い面を出さずに戦うことに長けていた。




 その中心にいたのが、バルベルデだろう。4−3−3のインサイドハーフというよりは、4−2−3−1のトップ下フリーマン的に入って、巧みに試合を動かしていた。バックラインの近くまで落ちてプレーメイクに参加したかと思えば、前線に入って強度を注入。また、日本を押し込んだらバックラインとボランチの間のスペースに入って、一番効果的で得意なフィニッシュを狙った。

 38分、ゴール正面からのミドルがバーを直撃し、跳ね返りを自らヘディングで押し込んだシーンは、バルベルデの戦術センスの高さが出ていた。遠藤航が1対1の強さで各ポジションを補強していたのを逆手にとって、釣り出されて止められなかったところを利用したプレーだった。その少し前にも、同じようなポイントでボレーを狙ったところ、鎌田大地に阻止されていた。

「中心としてチームを引っ張ってほしい」

 ウルグアイのメディアがバルベルデに求めていることだが、まさにそれを体現したと言える。

 後半30分、ウルグアイは失点を浴び、1−1と同点に追いつかれた。後半途中から、ミドルゾーンで構えたラインが下がり始めていた。長旅や時差の疲れが出た格好だろう。交代選手を繰り出したが、日本を凌駕することはできなかった。

「速さのインテンシティに苦労した」

 国内スポーツ紙の表現は、交代出場の伊東純也のスピードを意味するのだろう。同点弾につながる右クロスは象徴的だったが、一度はPK判定を受けたシーンも、同じく交代で出た上田綺世とのワンツーから抜け出し、危険な場面だった。

 ただし、後半途中からは試合自体がかなりオープンになっていた。選手、チームの評価を下げるようなものではない。終了間際には、日本のセットプレーの対応の弱さにつけ込み、決定機もつかんでいた。

 忘れるべきでないのは、多くの主力を欠いていた点だろう。DFロナルド・アラウホ(FCバルセロナ)、ホセ・ヒメネス(アトレティコ・マドリード)、MFロドリゴ・ベンタンクール(トッテナム)、ジョルジアン・デ・アラスカエタ(フラメンゴ)、FWダルウィン・ヌニェス(リバプール)などが不在。これで"敵地ツアー"で引き分けたのだから十分だ。

「今日はいい試合ができました。時間帯によっては、もう少し"深さ"を取るような攻撃をできたらよかったですが」

 ブロリ監督はどこか安堵したような表情だったが、暫定監督の難しさだろう。ウルグアイは"興行"を成功させ、韓国との一戦に向かう。

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