日韓は「意思関係なく協力の時代」を生きている 両国の事情よりも緊張する世界情勢で

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2023年03月26日 16:30  AERA dot.

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韓国政府が発表した解決策を批判し、市民団体がソウルで開いた集会の様子=3月6日
 日本と韓国は冷え込んだ関係改善に向けて舵を切った。韓国が示した徴用工訴訟問題の解決策を日本が評価したことで、尹錫悦大統領の訪日が実現した。今後の日韓両国の関係はどうなるのだろうか。AERA 2023年3月27日号の記事を紹介する。


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 日韓関係を困難な状況に陥れた徴用工訴訟、輸出管理措置、日韓GSOMIA問題は間もなく正常化する。では、本当に日韓関係は改善するのだろうか。改善する必要があるのだろうか。


 韓国の世論調査会社、韓国ギャラップは10日、韓国政府が6日に示した解決策についての世論調査結果を発表した。「日本の謝罪と賠償がなく、反対する」が59%、「韓日関係と国益のために賛成する」が35%だった。


 日本政府関係者は「メディアは6割反対に目が行くようだが、35%も賛成があるというのは画期的な事実だ」と語る。韓国は保守3割、進歩3割、無党派4割とされる。保守のなかにも日本嫌いの人がいるし、何より公の席では日本支持を語るのがはばかられる雰囲気がある。この関係者は「徴用工問題は、混乱しかもたらさなかった。北朝鮮のミサイル発射や中国・ロシアの動向に不安を覚えることも、関係改善を求める要因になった。若い世代が増えてきた状況も大きい」と指摘する。


 韓国のMZ世代(1980年代半ば〜90年代初めに生まれた「ミレニアル世代」と、その後から2010年までに生まれた「Z世代」の総称)は政治に強い関心を持たない一方、日本に対するコンプレックスもなく、是々非々で付き合う傾向が強い。あと20年もすれば、現在の韓国の激烈な政治対立も変化し、落ち着いた日韓関係を議論する雰囲気が生まれるだろう。


 日本も似たり寄ったりだろう。韓国政府の解決策を巡っては「韓国と付き合う必要はない」「絶対に徴用工原告団を助けるべきだ」といった極端な意見がみられるが、若い世代には違う傾向が見られる。現代は、21世紀初めの第1次韓流ブームで「冬のソナタ」などに熱狂した人々の次の世代が育っている。


 韓国が昨年6月、新型コロナウイルスの感染拡大で中断してきた外国人観光客への短期ビザの発給を再開すると、日本の韓国大使館領事部に発給を求める人たちの長い列ができた。



 そして、緊張する世界情勢は日本人や韓国人の事情などお構いなしに、両国を結びつけようとする。米国のバイデン大統領は韓国政府の解決策発表を受け、「日韓による本日の(徴用工問題を巡る)発表は、米国の最も近い同盟国である両国による協力とパートナーシップの新たな章の始まりだ」とするコメントを発表した。


 米国は昨年10月に発表した国家安保戦略で、中国を「国際秩序の再構築を目指す意志と力を持つ唯一の競争相手」と位置づけた。米国は中国の封じ込めを狙い、半導体などのサプライチェーン(供給網)の再編、同盟国の力を結集した「統合抑止」を推進している。ロシアによるウクライナ侵攻で明らかになったように、衛星通信などの情報網を米国と一元化しない限り、ハイブリッド戦争を勝ち抜けない。


 日本と韓国は自らの意思とは関係なく、共に協力せざるを得ない時代を生きているのだ。


(朝日新聞記者・広島大学客員教授・牧野愛博)


※AERA 2023年3月27日号より抜粋


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  • 早期回収、早期撤退、早期断交 日韓の未来はこれ以外にない。
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