
その数、なんと76頭。相当数の多頭飼いから保健所を経由し、保護された1頭のマルチーズ・マルカ。保護当時のお腹がパンパンでどうやら妊娠している様子です。保護団体・アルマ東京ティアハイム(以下、アルマ)では、慌ててこのマルカを引き取り、すぐに動物病院に連れていくことにしました。
【写真】76頭の多頭飼いの状況から保護されたとき。保護翌日に出産しました
病院への相談を前に、マルカの出産が始まった…
マルカを引き取った後、スタッフは動物病院で「マルカのお腹の中に何頭の赤ちゃんワンコがいるのか」「マルカの健康状態はどうなのか」「出産予定日はいつ頃になりそうか」を確認したいと考えていました。
しかし、すでにマルカの出産が始まってしまいました。6頭のワンコを産み、残念なことにそのうち1頭は死産でした。さらにもう1頭は出産時のダメージで後に亡くなってしまいました。
残されたのは4頭のワンコでしたが、マルカの母乳の出が悪く、生まれてきた子犬全員にいきわたるだけの母乳が出てきません。このため、4〜5時間置きに補乳しつつ1週間ほど経過を見ることにしました。
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乳飲み子ボランティアさんの助言
しかし、このままだとマルカの命にかかわる心配があることから、スタッフは乳飲み子ボランティアさんに相談しました。
乳飲み子ボランティアさんによると「子犬であっても、子猫の乳飲み子と同じようにやれば問題はない」と言います。ただし、マルカの下痢が3日間続くなど、母犬の体調が悪いことを伝えると「母乳の質は悪いだろうから、子犬にも影響するだろう」とのこと。
これらのことから「このままの子育ては難しい」という判断がくだされ、マルカのオッパイを飲めているオス1頭だけを残し、残りの3頭は、乳飲み子ボランティアさんに預かってもらい、徹底したケアをお願いすることにしました。
出産を控えたマルカを放っておけなかった
そのお陰で、まずマルカと残されたオス1頭のワンコは体調を回復。残りの3頭のうち1頭は残念ながら亡くなりましたが、乳飲み子ボランティアさんの献身的なケアのおかげで2頭は命を救うことができました。
マルカが産んだ子犬のうち、2頭を死なせてしまったことについてスタッフは「もっと早く病院に連れていけば、死なさずにできたかもしれない」と後悔し、あるいは「『慣れないことをやるからこうなるんだ』と責められても仕方がない」とも思いました。
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しかし、あのとき保健所で見た、「今にも出産を控えているマルカを見て放っておくことはできなかった」とも……。スタッフは「このときのことを思い出すと、メンタルが押しつぶされそうになる」と言いますが、それでも「1頭でも多くの命を繋げていきたい」という思いには変わりがないとも言います。
76頭もいる過酷な環境ですごし妊娠をし、縁あってアルマのスタッフに救われたマルカと子犬たち。今後も団体関係者、ボランティアスタッフなどでマルカと子犬たちをケアをし続け、健康状態が安定したところで、幸せな犬生に導いてくれる里親さんを探し、譲渡につなげていきたいと言います。
どうか、今後もアルマが発信する情報にもご注目ください。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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