数学の未解決問題「アインシュタイン問題」が解決? 1つの図形だけで敷き詰めても“周期性が生まれない”

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2023年03月27日 08:11  ITmedia NEWS

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Hatが、決して繰り返されることのないパターンを無限に生み出す

 英国の数学者らと、カナダのウォータールー大学と米アーカンソー大学に所属する研究者らが発表した論文「An aperiodic monotile」(プレプリント)は、繰り返しパターンを作らず、2次元の表面を無限に敷き詰めることができる単一のタイル形状を発見した研究報告である。



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 このような図形を非周期的なタイルと呼び、2次元の平面にタイルを隙間なく敷き詰めるが決して周期的ではない形状を指す。



 非周期的なタイルの最初の集合は、1966年に発見された2万種類以上のタイルの組み合わせだった。その後、タイルの種類を減らす方向に研究が進んだ結果、最も有名な非周期的なタイルとなったのが、ノーベル物理学賞を受賞した数理物理学者ロジャー・ペンローズ氏が1970年代に発見した、平面を2種類のタイルで埋め尽くした「ペンローズ・タイル」である。



 当然、1枚の図形で非周期的なタイルの集合ができないかと探究が進められていた。ちなみに、この未解決問題は別名「Einstein」(読み:アインシュタイン、ドイツ語のタイル1枚を意味するein steinをもじった名前)と呼ばれている。



 そして今回、1種類のみで非周期的なタイルの集合を作り出せる図形を発見した。13個の辺を持つ多角形である、この単一のタイル形状を研究者らは「Hat」と名付けた。研究チームは、コンピュータを用いた方法を含め、2つの異なる方法でHatが非周期的なタイルであることを証明したという。



 プロジェクトページも公開されており、Webブラウザ上でHatを試せるアプリケーションや、証明で用いたコードが掲載されている。



 Source and Image Credits: David Smith, Joseph Samuel Myers, Craig S. Kaplan, and Chaim Goodman-Strauss. An aperiodic monotile



 ※テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2


このニュースに関するつぶやき

  • 近いうちにこの図形を使ったジグソーパズルが出るんじゃないかな。全ピースどこにでも置けるから難易度爆上がりな予感。一方、全部白とかだと簡単になる。今までの常識が通用しない。
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