もしもわが子やお友だちがジェンダーで悩んでいたら。親としてできること【性の多様化・第5回】

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2023年03月27日 10:31  ママスタジアム

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前回からの続き。「ミュータントウェーブ。」はなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)の元選手で、現在は男性として生きるトランスジェンダーのおおちゃん、あさひさん、まささんの3人組YouTuber。もしもわが子が、そしてわが子のお友だちがジェンダーで悩んでいたら? 親としてできることのアドバイスをいただきました。

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「どんなあなたでもママは味方」親は一番の理解者であってほしい


──ママたちが「うちの子、もしかしたら?」と感じる場面もあると思います。親としてできることはありますか?

おおちゃん(以下、おおちゃん):僕は、ちゃんと尋ねてほしいなと思います。「○○くんが好きなの?」「○○ちゃんが好きなの?」とか。LGBTや多様性のことなど、世のなかの話も絡めながら尋ねてほしいですね。今は自分らしさや個性を大切にできるようになりつつありますし。とにかく「何があっても味方だよ」と。ただ、それを話したことでジャッジされるのは嫌だなと思うので、話したあとに「何も変わらないよ」とサポートする姿勢を伝えてくれるとうれしいと思います。

まささん(以下、まさ):親は一番安心できる場であってほしいというか。一番の理解者であってほしいなと思います。

おおちゃん:僕は以前に勤めていた会社で、LGBTの子たちの就職活動を支援する活動をしていました。ある子が希望している会社の活動が新聞記事になっていたとき、その子の親が「こんな記事を見つけたから、読んでみたら?」と手渡してくれたそうなんです。それが「すごくうれしかった」と。サラッと渡してくれたのがよかったみたいです。こっそりジェンダーについての勉強もしてくれていたようで、本も置いてあったとか。

あさひさん(以下、あさひ):それ、すごくいいね。うちもカミングアウトをしてから「こんな新聞記事があったよ」とか、すごく情報をくれるようになりました。それでより話しやすくなったというか。自分もそれに対していちいち反応するわけではなくても、同じ話を境界線なくできるようになれた感覚がありました。

思春期だって、親が気にかけてくれているのはうれしい


──小さい頃なら気軽に尋ねられたことが、思春期になると親のほうが躊躇(ちゅうちょ)する場合もありそうです。それでも尋ねてほしいですか?


おおちゃん:どんな返事をするかはわからないですけど(笑)、尋ねてくれること自体はうれしいんじゃないのかな。反抗期だと、「はいはい」でスルーするかもしれないけど。

あさひ:うん、内心では安心できるんじゃないかなと思いますよ。

まさ:僕は母親が大好きなマザコンなんですけど(笑)、やっぱり小さいときからそういう話はしたかったなと思います。

──「気にかけているよ」と伝わるだけでも大きいのでしょうね。そうした意味でも、みなさんのようなロールモデルは大切だなと思います。「こんな人もいて、こんな活躍をしているよ」という姿を見ることができるので。男性から女性になるケースはメディアでよく見かけますが、その逆はあまり目にしないような気がします。

おおちゃん:僕らのようなセクシュアリティは、声を上げる人がそもそも少ないんですよ。男性のなかに混じって普通に生活できるので、あえて言いたくはないと。そんななかで僕たち3人はたまたま同じ境遇にいて、今こうして活動しています。女性から男性になったからこそできることを、さまざまな活動を通して伝えていきたいなと思っています。

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「みんな違って当たり前」。親子の会話を通して教えてあげて


──わが子ではなく、「お友だちがそうだったら?」というケースもありますよね。わが子にどう教えればいいでしょう?


おおちゃん:それはまさに僕らがジェンダー教育で伝えていることでもあります。僕らが授業をするときは、「僕たちのジェンダーを当ててみて」というところからやっているんです。選択肢をLGBTそれぞれに分けてなぜそれを選んだのかを教えてもらうんですが、その子によって理由は全然違っていて。「みんな同じだ」と当たり前に思っているから、見落としてしまっている部分なんです。

大人でもそうですよね。「きっとみんな同じだろう」という認識になっているけれど、そもそもが違う人間なんです。だから「そもそもみんな違うことが当たり前」という話をしてもらうのがいいかなと思います。

あさひ:そこで親と子が、会話をすることが大切だと思います。僕たちが授業をするときは生徒と一緒に先生にも話を聞いていただくのですが、そこで一緒に学んでもらっている感覚もあって。僕たち自身も生徒の反応を通して、自分たちのバイアスに気づかされることもあります。会話を通してコミュニケーションを取ることで、相互理解が深まる感覚はありますね。どんな立場であっても、同じ目線に立って話すことは大切だなと思います。それが例え親子であっても。

まさ:僕の友だちは、僕らのYouTube動画を自分の子どもに見せて、僕のことを「この人はママの友だちで、昔は女の子だったんだよ」という話をしてくれたそうなんです。それ以来テレビに出ている人を指差しては、「この人も昔は女の子だったの?」と聞くようになったそうで(笑)。でもそれもいい会話だなと思います。話すことを通して、理解が深まるじゃないですか。

──皆さんが活動を通して、子育て中のママに伝えていきたいことはありますか?

おおちゃん:さっきもお話ししたような「当たり前だからこそ、見落としてしまう部分」。僕らはそこに気づくきっかけになりたいと思って活動しています。ママさんもそうだと思うんですよ。「ママだから、これが当たり前」ではなく、いろいろなママさんがいてもいい。その多様性を大切にしてほしいです。

まさ:子どもは親のことを本当によく見ていると思います。だからお父さんもお母さんも、自分のことを大切にしてほしいです。それが子どもが自分を大切にできることにもつながると思うので。

あさひ:多様性を知る意味でひとつのロールモデルになることが、僕たちの役目かなとも思います。僕らのYouTubeを観れば一発でわかると思うので(笑)、そこから会話を広げていってもらうのもいいかもしれません。

編集後記


人はみんな違って当たり前。みんな違って、みんないい。「ミュータントウェーブ。」の皆さんはそんな当たり前のことに改めて気づくきっかけになりたいと、活動されています。「偏見のない、多様性を認められる人間になってほしい」とわが子に願うのなら、まずは私たち親がそうである姿勢を見せること。でもそれは決して「子どもを教え導く」とか「諭す」ということとは違います。どちらかというと「知らない者同士、一緒に知っていこうね、一緒に学んでいこうね」という姿勢でいることが重要。そして親が自分自身を大切にする姿からも、子どもは何かを学んでいくのかもしれませんね。

取材、編集・Natsu 文・鈴木麻子 イラスト・よし田

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  • みんな違って当たり前の「みんな」にはLGBTに共感できない人達は含まれてないのが問題なんだよ。LGBTのイエスマンだけが「みんな」。どこが多様性?
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